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異世界転生して仲間入りした勇者パーティーを追放されました ‐でも最強スキルだから一人で無双します‐  作者: かるとるん
二章 ~最強と七の陰~

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二十一話 装備強化、獣王出陣2

 森を走っていると、大きくて長い何かが目の前を通った。ムカデのようなモンスターだ。


「ヨイヤミ。俺は顔を叩く。胴体を頼めるか」

「大丈夫です」

「よし、行くぞ!」


 素早く動くムカデの動きを予測する。


「ッ……!」


 足元から飛び出したムカデを避け、空気の刃を飛ばして動きを鈍らせる。


 ゴーメットさんの重い一撃が頭を叩き、ムカデを沈黙させる。


「…………」

「手ぬるいな。まだ用心するな、ヨイヤミ」


 精神を研ぎ澄まし、ムカデの位置を探る。


 猛スピードで俺に襲い掛かろうとするムカデを『未来視』で予測する。


影断(えいだん)ッ!」


 影が躍り出てムカデを半分に斬り裂く。


 ムカデの半身はゴーメットさんの方まで吹き飛んで動かなくなった。


「中々やるな。まだいるか」

「骨が折れそうですよ」


 ムカデの大群が木々から顔を覗かせている。


 遠くから俺達を狙っているのがよくわかる。一気に叩けるか……?


「俺に任せろ」


 前に出るゴーメットさん。


 カッと目を見開く。大気の流れが変わる。


 赤い炎が、戦斧に纏わりついていく。


戦神(いくさがみ)!!」


 ゴーメットさんがスキルを発動させる。


 背後に恐ろしい表情をした男神が現れると、ゴーメットさんに取り込まれていく。


恐斧(きょうぶ)……獣戦(じゅうせん)ッ!!!!」


 斧を振り下ろす。


 炎に包まれる森。ムカデの大群が燃え盛りながら倒れていく。


「…………」


 これが獣人族最強、ゴーメットの力。


「どうだ」

「…………燃えてない?」


 あれだけ燃えていたはずの森が、燃えていない。幻の炎か。


「俺には炎を操る力がある。レイルを守れるように特訓して手に入れたものだが……、こんな形で使うことになるとは」


 ゴーメットさんは俺の方を向くと礼を言った。


「感謝する。お前がいなければ、ここは守れなかった」

「いえ、俺も昨日力が使えるようになったばっかりで…………」


 そう言うとゴーメットさんは驚いた顔をした。


「本当か! お前は伸びしろがあるな」


 俺の頭をクシャクシャとかき乱す。レイルにもしたかったのかな……。


「ファルンとは、上手くやっているか?」

「大変ですよ。…………特に俺が」


 はっはっは、と大げさに笑うゴーメットさん。


「そうだ。お前に渡すものがある。家に上がってくれないか」

「え、でも」

「いいんだ、モーゴから話は聞いてある。五時間は待つんだろう?」


 まだ一時間しか経ってないの!?


 俺は頭を抱えた。


 でも、伝承のこともある。丁度いいと思うのだった。



 五時間後。モーゴさんからの電話で武器の強化が終わったことを告げられた。


 あと、レイルが好きだというお菓子を渡された。


 ゴーメットさんにお礼を言い、モーゴさんの待つ工房へ足を運んだ。


「いや~、すんごい武器だ。ハンマーの方は簡単だったけど、刀はおいらの血がたぎっちまった。これはきっと腕っぷしのいい鍛冶師が打った刀だな~」


 レイルのハンマーは木づちから鉄に変わっていた。


 重そうに見えるけど、獣人族なら持てるから大丈夫だそうだ。


 ファルンの刀は鞘こそ変わらないものの、刀を抜くと刃が空気に溶けて見えなくなった。


「この刀は相当いい刀だ。おらがコレクションしたいくらい欲しいな~」


 モーゴさんは笑顔で刀を振り回す。俺に当たりそうで怖い。


「説明書つけておくからな。困ったらおらに連絡してくれ~」


 モーゴさんはそう言って工房の奥に戻った。


 さて、帰るか。



 家に帰るとすぐレイルとファルンに武器を見せる。


「今まで木づちだったから新鮮な気分。ひんやりしてて気持ちいいぴょん」


 頬をハンマーにすりすりするレイル。ついでにお菓子も見せる。


「ああああっ!! タマポンだ~!」


 飛び跳ねて喜ぶレイル。ファルンの方はどうかな。


「…………」

「ファルン?」

「いい刀だ。これなら闇にも負けない」


 闇……か。正直、闇のことなんてこれっぽっちも知らない。


 知らなきゃいけないだろうか。いずれは、真実を。


「ところで、誰にもらったの?」


 タマポンの袋を抱えて尋ねるレイル。


 答えていいかどうかわからず、ためらってしまう。でも、伝えよう。


「ゴーメットさんがレイルにって」

「ゴー……メット?」


 袋を落とすレイル。明らかに動揺している。


「レイル」

「…………っ。ファルン……なんでも、ないぴょん」


 自分の部屋に戻るレイルを、俺達は黙って見送るのだった。



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