十七話 決闘2
「でけぇ……」
「そうじゃろそうじゃろ」
城に入った俺はその豪華さに驚きを隠せなかった。ヴァンパさんが誇らしげに胸を張る。胸はレイルくらいか……。
いやいや、どこ見てるんだ俺!
「なんじゃ、わしの胸が気になるのか~?」
「いや、俺は大きいのがタイプで……!」
くっそ、言っちゃった。言っちゃった!
「むぅ、そうか……」
がっかりさせちゃった……。
「まあ、大きくできるんじゃがな!」
コウモリがヴァンパさんを包むと、大きくなったヴァンパさんが現れた。でも
「……スライム?」
上手く形が保てないみたいだ。十秒くらいしたら元のヴァンパさんに戻った。
「ぷはあっ! だからやりたくないんじゃ……。ヨイヤミ、お主も罪じゃの」
何が罪かわからないが、疲れる行為をさせてしまった。申し訳ない。
「そろそろじゃな」
そろそろ……?
入口のドアが勢いよく開くと、ヴァンパさんによく似た男が入ってきた。
「我が妹よ。人間と結婚するつもりなのかふざけるなあっ!!」
「落ち着け。結婚する気はない」
「そうか……」
こんな会話、さっき聞いた気が……。デジャブを感じる。
ヴァンパさんが俺を男に紹介する。男は俺に向かって頭を下げると名前を名乗る。
「ヴァンパの兄、イアだ。妹が珍しく我を呼んだから嬉しくて早く来てしまったよ、ははっ!!」
「審判じゃ。出番はない」
「な、な~~~~~~にい~~~~~~っ!?」
変に驚くイアさんを横目に、ヴァンパさんが俺の足をつつく。
「決闘の準備じゃ」
俺達は広い庭に出た。ヴァンパさんが高らかに叫ぶ。
「ルールは簡単。わしの全力、受け止めて見せよ」
「反撃は?」
「よいぞ。ただ、兄に攻撃が当たるだけじゃ」
「妹よおおおおっ!!」
俺は息を吐いてヴァンパさんを見る。ヴァンパさんも準備が出来たようだ。
「行くぞヨイヤミ」
「……」
「双方、よーい…………」
ヴァンパさんは仁王立ち、俺は剣を構える。
「始めっ!」
イアさんの合図で決闘が始まる。
「ブラストバレット!」
手始めに弾丸の嵐をヴァンパさんに飛ばす。
当たってない!?
「お、おいっ、ヨイヤミ、もう打つな我に当たる!」
「審判は黙っておれいっ!」
そのセリフと共に血が大きな鎌を形作る。だが俺はイアさんを見ていた。それが、命取り。
「死ねええええい!!」
「ッ――」
振り下ろされた鎌の先端をかろうじて避ける。魔法も強制停止。
左手で隠し持っていた銃で応戦。銃口を向ける。
「甘いわっ!」
ヴァンパさんは体をひねって弾丸を避ける。設置していた魔法陣に乗って距離をとる。が――
「わしから逃げる気か?」
「なっ……!」
一緒についてきたヴァンパさん。戦闘狂の顔になると
「遊びは、終わりじゃ」
鎌が弾け飛び、血が凝固する。まるで砲弾のような威力を持って俺を殺さんと襲う。
ヴァンパさん……マジだ!
「くっ……!」
全方向にシールドを展開。守りに徹する。
始めは耐えていたが、徐々に亀裂が入る。完全に割れるまで、数秒とかからなかった。
(やられる……!)
血が棘になる瞬間、俺は判断を止めていた。そして、身体中から痛みが走る。
「それまで!」
イアさんの声が響く。
「勝者、ヴァンパ!」
「はっはっは! 大勝利じゃー!」
バンサイして喜ぶヴァンパさん。改めて身体を見たけど、傷一つなかった。
それどころか、身体が柔らかくなってる気がする。
「ヴァンパさん……」
「お主のツボをマッサージした。どうじゃ、柔らかくなったか?」
感動して首を縦に降りまくる。ヴァンパさんの高笑いが響いた。
「さて、城に戻ろう。お主に振る舞いと話をせねば」
ヴァンパさんは俺を立ち上がらせようとして尻もちをつく。それを見たイアさんが大笑い。ヴァンパさんに追いかけ回されるのだった。




