十六話 決闘1
「行くぞヨイヤミ」
「…………」
俺は、吸血族代表ヴァンパとの決闘に応じていた。
なぜこうなったのか。それは、昨日手渡しされた手紙から始まった。
「決闘か」
「受けるのか」
「受けたくないけど…………」
ヨイトとファルンは話を聞くなり受けて欲しそうにしている。受けたくないと正直な気持ちを伝えると、レイルは俺にこう言った。
「役に立つかどうか確かめるために受けてくればいいぴょん」
役に立つかどうか……。なんだが発破をかけられたみたいだ。
「受けるよ、決闘」
決めたはいいものの通信魔法とかがない。どうしようか悩んでいると、向こうからかかってきた。
「決まったな」
「ああ」
「時間は?」
「お昼食べたらすぐにでも」
「ん。了解じゃ」
通信が切れる。向こうも心配してこちらの様子を伺っていた、ということだろう。ありがたい。
「出来たぞ」
レイルの拘束が解かれ、真っ先に席に着く。今日は焼きそばにしてくれた。
「これは一体……」
「不思議な食べ物ぴょん」
どうやら二人にはなじみがないようだ。それもそうだよな。
「ファルン、これおいしい!」
「…………僕には味が濃く感じるが」
はしゃぎながら食べる二人を注意しながらファルンも食べる。こうやって見ると、お母さんと子供の様だ。じゃあ俺はお父さんか。そんなことを考えている内に食べ終わってしまった。
「いってらっしゃい!」
「迷惑のないようにな」
レイルとファルンの見送りを受けて、俺はカイロン帝国へ向かうのだった。
「お前、何者だ?」
「俺はヨイヤミって言います。吸血族の人に会いたいんですけど」
「ダメだ。何か見せろ」
帝国の門番の人に止められた。何かないかと探していると、偶然冒険者の証明書を見つけた。それを見せる。
「通れ」
門番の人にお礼を言って帝国の土地を踏む。
ハイネストと同じような……。いや、それ以上だ。出店が並び、大きな店もある。
「……」
その凄さに圧倒されながらヴァンパさんがいる場所を探す。
路地裏、抜け道、大通り。ヴァンパさんどころか吸血族の気配も感じられない。
「あ……」
いつの間にか帝国からエルフの里の裏にいた。
「迷った、な……これ」
「合っとるぞ」
声が聞こえた方向へ振り向く。
コウモリが集まって、ヴァンパさんが現れた。
「まさか帝国から入ってくるとは。エルフの里からの方が楽なのに」
「はあ……」
「じゃがな、門番がああするのは一度きり。良かったなヨイヤミ」
ヴァンパさんが「こっちじゃ」と俺の手を引く。ドーム型の透明なシートが見えた気がしたので何なのか尋ねる。
「吸血族は闇に生きる。朝と昼はこうやって日差しを防いでいるのじゃ」
ヴァンパさんに手を引かれたままシートの中に入る。暗い森、赤い空。ここが吸血族の住む土地。
俺は直々にヴァンパさんが住んでいる城に迎えられた。




