十二話 招待状
ポストに招待状が入っていた。
真っ白な封筒を赤いテープで止めただけ。誰に宛てたかわからないけど、開けてみたい。
でも、いたずらだったり間違いという可能性も捨てきれない。そう考えたレイルはファルンに相談しようと部屋を訪ねようとした。
「んんっ……! っ…………」
ドアをノックしようとした手が止まる。変な声が聞こえた。
一旦ドアから離れる。男勝りの性格をしているファルンがあんな可愛い声を出すわけない。
そう思ったレイルはドアに耳を当ててみる。
「はあっ、はあ…………ぐ、ううっ……。いっ!」
顔が真っ赤になってきたレイルは、扉の向こうの真実を知ろうとノックもせずにドアを思いっきり開けた。
「んなあっ……!」
レイルは思わず変な声で驚いてた。
朝日に照らされて光る汗、足元には水たまり、肩で息をしながらとろんとした目をして倒れている状態。当の本人は下着姿だった。
「…………?」
レイルの視線に気づいたファルンは、申し訳なさそうに呟く。
「タオル……欲しいけど、いい……かな?」
招待状のことなど忘れてレイルが問いただしたところによると、体を柔らかくするための運動や、可愛らしい座り方などをやっているのだそうで、そういうことは一切していないという。生真面目レベルの本人が言ったから間違いない……はず。
「さっきの可愛かった。あんなファルンを見れた私は役得ぴょん」
「…………」
いつもなら軽くあしらうファルンも今回ばかりはそれが出来なかった。レイルは招待状のことを思い出すと、ファルンに話しかける。
「招待状が入ってたぴょん」
「そう、か……」
「かわいい~」
ファルンは照れ隠しなのか雑に着替えを済ませた。ところどころ見えているから相当焦っているのがわかる。
レイルはうししと笑うと、ファルンにして欲しいことを頼むことにした。
「ファルンー。今日のことは秘密にするから~、名前で呼んで?」
「……」
「あの二人はいいから、せめて私だけでも呼んで欲しいなー。だめ……?」
可愛らしい仕草で首をこてんと傾げる。その仕草がファルンの何かを掴んだのか、レイルをギュッと抱き締める。
「……わかった」
「ありがとぴょん。……待って苦しい、待って、あの、締まる……ほんとに、だめ……」
ファルンの意図しない逆襲に、レイルは苦しみながら気絶してしまった。
机に置いてある封筒をヨイトが開ける。そこには、緊急会議のご連絡と書かれていた。
会議は定期的に開催されており、種族代表が集まって行うのが一般的だ。
緊急会議ということは……。
「余程のことが起こったわけか」
場所はエルフの里にある会議場。だが、今回はどうやら勝手が違うみたいだった。
「ヨイヤミ様お一人でお越しください……ヨイヤミくんに何かあるのか……?」
不思議に思いながらもヨイヤミを起こし、会議に行かせるため家を追い出した。
「……」
俺はエルフの里に来ていた。
正直、エルフをしっかり見たのは始めてだった。細く尖った耳、スラリとした体、確かにエルフだ。
「ヨイヤミ様でよろしいですか?」
後ろから声をかけられた。少し驚きつつも振り返ると、女性のエルフが立っていた。俺は頷き、女性の言葉を待つ。
「わかりました。こちらへどうぞ」
女性の後を追いかける。例の会議場はエルフの里の外れにあるため歩くのにも一苦労だ。
「ヨイヤミ様。緊張なさらず、リラックスしていればよいですから」
途中アドバイスをもらいながら、会議場へたどり着いた。
「一本道ですので」
「……はい」
行くしかない。俺は大きな不安を抱えて中に入った。




