一話 異世界転生と追放
俺の名前はヨイヤミ。高校三年生。突然だけど、俺は死んだ。つまづいた拍子にコンクリートに頭をぶつけて死んだ。
まあ、そんなことはどうでもいい。目が覚めた俺は真っ白な空間にいた。今思えば、目の前にいたのは神様なのか、天使なのか。
「お前は転生しろ」
「…………は?」
俺は神様の一言で異世界転生した。
とりあえず冒険者になったけど、右も左もわからなかった。
それがようやくわかるようになった頃、俺に転機が訪れた。
「ヨイヤミ、パーティー組もうぜ」
「いいのか? こんな俺で」
「ああ。俺達は基本のパーティーだけど、それでもいいなら」
勇者からパーティーに誘われた。勇者、僧侶、魔術師、格闘家の一般的なパーティー。でも、ここにいれば強くなれると思った俺はすぐに仲間入りした。
その後も冒険を続けていたある日、俺は勇者に呼び出された。
褒めてもらえる。だが、有頂天になっていた俺にかけられた言葉は、最悪の言葉だった。
「俺達のパーティーから抜けてくれ」
「……………………は?」
固まった。意味がわからない。
「どういう意味だよ、それ。俺が役立たずだって言いたいのか!?」
「言えない事情があるんだよ」
勇者の言葉が気に入らない。役立たず。そう言われているみたいで、気に入らない。
「事情ってなんだよ。納得してるのかよ皆は!」
「納得してる。お前の追放に大賛成だ」
怒りが頭を埋め尽くす。気づくと俺は勇者の胸倉を掴んでいた。そして叫ぶ。
「なんでだよっ! なんで俺が出ていくんだよ!俺は確かに使えない奴かもしれないけど、あんた達とは上手くやってきただろ!」
「事情は事情。しょうがないんだ」
どうあっても認めないみたいだ。もういい。荷物はまとめてあるし、今すぐここを離れられる。
「……ヨイヤミ。もしお前が仲間にしろって言っても、俺はお前を仲間にする気はない。今後一切な」
その言葉が、俺の心を抉った。
「……悪い」
その言葉に答えず、荷物を持って勇者から逃げた。
俺はパーティーから追放された。
俺は、一人になった。