手の上
…生にしがみ付けば付くだけ、苦しみは続く。自分で苦しみにしがみ付く滑稽さ。そうこの世界こそ地獄なんだ。
…火盧
「…結果的には目的に近づいたようだね。」
「はっ!」
そこには、元内閣統括大臣の老婆と、それに傅く、男が2人。
以前は、古東組織委員会委員長、総憑鬼祓長と呼ばれていた2人である。
「現時点での、こちら側の戦力、および皇帝憑鬼、鬼の状況について報告いたします。」
「ねー、お婆ちゃん〜暇だよ〜」と若い女教諭が割り込んでくる。
「おい、不敬だぞ…」と古東組織委員会委員長、いや元委員長が、厚く被ったフードの中からたしなめる。
「すまないね、もう少ししたら、たくさん働いてもらうから辛抱しておくれ」
「はあい、べー。」たしなめられた元組織委員長にベロを出しながら若い女教諭は立ち去った。
思いの他、若い声を出した元組織委員長はため息をつきながらやれやれ…こんな時、副校長先生ならどうするのだろう…と独りごちる。
「失礼しました。我が方の戦力は2S級の、組織委員長改め、内閣組織委員長の私と総憑鬼祓長、改め内閣憑鬼祓長の2名、S級の女教諭、1から2級の憑鬼祓いが30名であります。また皇帝憑鬼1200体、鬼15体をこちらの世界に待機させております。元本庁指導部長補佐官が、現実世界に戻した児童、保護者等は現状維持であります。」
「いいね。彼方さん方も準備を始める頃だろうさ。頼むよ。」
「はっ!」
「それから、北山学園統括校長殿」
「は!」と返事をするのは元総憑鬼祓長。
「例の副校長先生の動向には注意しておくれよ」
「は!そのように」
…若い男教諭は思う…先生、なんとかこちら側に来ていただきたい…ふむ。




