友として
降り下ろせないこの刀、そこには自分自身が見えるから。
「な、な、な…⁉︎」
「凄まじいチカラを感じます、ここにいるのが苦しくなるぐらい…ですっ。」
体育会系教諭と養護教諭が動揺を隠せないでいる。
「……………これで2度目……だね」校長が呟く。
「…ああ。あの大馬鹿野郎がっ」主任憑鬼祓いが応える。
「副校長先生!私はどうすれば。」主任教諭は天を仰ぐ。
シュッという軽やかな音が聞こえたその刹那、目の前に整然と隊列をなす一団がそこにはいた。
「…古東組織委員会…」
「主任憑鬼祓い、街舵組織委員会指導課長殿」
ザッ、全員が服従の膝をつき頭を垂れる。相手への最大限の敬意の表れだ。
「もはや、貴殿のおチカラに縋るより他に手段はありません。この通りでございます。我々とともに、彼を止め、そして再びこの国の子供達の笑顔の為に、彼奴を討ち果たさんことを…お願い奉る。」
「……指導部長、総務部長、そして本庁組織委員会の皆様。お顔をお上げ下さい。私は、一主任憑鬼祓いです。部下に対して、そのような心遣いは無用でございます。ただ、ただ、私は主任憑鬼祓いとして、街舵組織委員会の長としてではなく、彼の友として、必ずや止めてみせます。ただし、その後のことは、街舵組織委員会の長として、よろしくお願い申し上げます。」
「お前達なら、きっとやれる。アイツを止めに行く。アイツが戻ったら必ず、部長補佐官殿…いや新しい内閣統括大臣を…倒してくれ。頼む。」
「しかし、どうやって副校長のもとへ行くと言うのだい?」あれ程博識の校長でさえわからないといった様子だ。
「先生、覚えてるか?俺とアイツが、喧嘩したあと必ず行った場所を。アイツはあそこだ。そして俺に止めてもらうのを待っている。俺にはわかるんだ。」
「掘り進め、滑空せよ、理の礎…閃」
煌めく光と共に…消えた。




