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分かっていること
全てのものが、腐り、壊れていく理由がわかった時、自分達の存在の意味がわかった。
そうだ、俺は分かっていた。先輩が話す完全とも思える、いや思いたかったストーリーの綻びを。
本庁の指導部を、仮に総入れ替えしたって、何も変わらないってことを俺は知っていた。ただの歯車なのは自分が経験してよくわかっている。
この俺でさえ、指導部を陥落させても何も変わらないことが分かっているのだ、ましてやあの先輩が、何をか言わんや。
先輩は、、、、「鬼」…だ。鬼自身だ。
人間と憑鬼の関係性を俺達は探ってきた。人間と憑鬼は、違うのか?生物学上の話ではない、存在としての話だ。
…実は人間の中に、元々憑鬼はいる。憑鬼の性質に左右されるのではなく、その人間そのもの。それが憑鬼。元々は一つの存在…⁉︎ガッ?
グラリと自分が、崩れ落ち…る?
「キミは、きっと辿り着くと思っていましたよ…」
…薄れゆく意識の中で、俺は先輩の声を聴いたような気がした……




