現状把握その2
最後に残されたこの刃で、終末を迎えるのは私かそれとも。
「ああ、それならある程度はわかりますよ。キミの得意な言霊がちょうどいいのではないですかね。また、憑いている憑鬼を祓うことも可能です、ですから入れ換えることもできます。ただし、ご自身の意思の強さ、実力が憑くモノと相応である必要がありますね。」
相変わらず先輩は、どうしてこんな事を知っているのか分からない事まで知っている。昔、俺が初めての仕事で右も左も分からないとき、サラッと手助けしてくれて、一度やればキミなら出来ますよってね。先輩以外は誰一人助けてくれないどころか足の引っ張り合いだった日々を思い出しながら俺は‥ただ一つだけ心に引っかかることに今日も蓋をした。
さて、では自分の部下達の現状を把握してみますか。
まずは体育会教諭からだ。考えてみれば、敵以外に使った事がなかったな…灯台下暗しってやつかね。
俺は慣れた手つきで、自分の両手に印を結び、言い慣れた言葉を紡ぎだす。「照らせ、現せ、破城の燈…在!!」
「イヤイヤマジっすか⁉︎まだあんまり心の準備とか出来てないんスけど…」
とか言われても、もう遅い、教諭の頭上に立ち上る。…むむむ、こりゃ珍しい、女の憑鬼。しかも、等級は2、憑鬼王とは。…てことは副校長級か、むー若いのに素晴らしいね、うん。
「女の憑鬼って初めて見るんすけど、なんか、こう美人っすよね!」
「現実で、女日照りが続くとこうなるんですね。」と主任教諭。
「ひでぇッスよ!」
やれやれ、仲が良くてなによりだ。さてサクサクいきますか。教諭にかけた言霊を解除した。
今度は、主任教諭に向けて、「照らせ、現せ、破城の燈…在!!」
……予想通りと言えば予想通りだが、現れたのは、これまた珍しい、皇帝憑鬼だ…しかも、等級は1。俺が今まで祓ってきた中でもここまでの憑鬼は一度いたかどうか。反射的に言霊を解除してしまった。
「イヤイヤ、ヤバすぎでしょ⁉︎あんなの背負いながら、ずっとやってるんスか?化け物ッスよ」
「言葉遣いには気をつけろよ?人を化け物扱いしやがって…」
うん、て言うか、化け物だよね。我ながら中々人を見る目?はあったのが嬉しいような、なんというか。
さて、最後は養護教諭だが…
「私は、遠慮させていただきたくお願い申し上げます。」
もちろん、無理にしてもらうものでもないからな。他の2人も頷く。とにかく自分達の現状はある程度把握できたな。
言霊一覧(現在まで)
副校長
「照らせ、現せ、破城の燈…在」
「開け、貫け、紺碧の槍…突」
主任教諭
「寄れ、剥き出せ、贋作の人形…吊」
「踊れ、廻れ、操りの糸…絞」
教諭
「弾め、集まれ、不屈の海流…濁」
裏切り主幹教諭
「沈め、潰れよ、鎮魂の宴ー呪」
「弾け、爆ぜよ、珠玉の翅…烈」
元教え子教諭
「飛べ、隠せ、砂上の鳥…隠」
主任憑鬼払い
「唸れ、叫べ、死人の洞穴…滅」
「軋れ、裂けろ、絶海の戒め…斬」




