タイムトラベラーと召喚少女
鶴斗は名前を変えられたのでこれいこうツルシアスと呼びます。召喚士を名乗るシンラーと契約を結ぼうとするが......
どうやら俺は異世界に来てしまったらしい。そもそも元いた世界なんてよくわからないけど。まぁ何かと疲れていたので悩んでいたが眠気が抑えられず鎖をつけられたまま寝てしまった。知らない世界でよく眠れたな。それくらい疲れていたのかな。翌朝、俺は夢を見ることもなく起きた。目覚めると俺はあることに気づいた。鎖が外れていた。そもそもなんで鎖をつけられていたかも知らなかったので後でシンラーさんに聞くことにした。
さて、俺は昨日あったことを思い出す……そうだ!シンラーという召喚士に召喚されたんだっけ。詳しくは知らないのでそれも後で聞くことにした。
時刻は6時30分を過ぎた所。
俺はシンラーさんを探す。どこにも見当たらない。
(どっか行ったのかな?)
「あ、ツルシ起きた?」
「あぁ。起きたよ」
シンラーさんはなにやらスープを持ってきてくれた。
「これ、私が作ったのよ。朝ごはん、食べて!」
「へぇそうなんだ。じゃあいただきまーす」
シンラーさんは顔をニコニコさせながら、俺が食べているところをじーと見ている。
「ちょうどいい味の濃さで美味しいです。シンラーさん」
「そうー。本当に良かった!」
シンラーさんは顔を輝かせて喜んでいる。シンラーさんの笑顔、とっても可愛いな。気になっていたことを聞いてみるか。
「あのー。シンラーさん?俺は何をすればいいんですか?」
「あー、まだ話していなかったよね。実は、あなたと一緒に冒険をしてほしいの! 本当なら召喚で獣が出るはずだったんだけど、人族が出たら別になるらしいわ。獣が出たときには主従契約をして一緒に戦ってもらうんだけど、人族の場合はパーティ契約と、冒険者契約をして一緒に冒険することになっているわ」
「へぇー。じゃあ俺はシンラーさんと、パーティ契約をすれば良いってこと?」
「そういうこと。話が分かってもらえて嬉しいわ。じゃあパーティ契約をしてもらうところなんだけど……」
シンラーさんは大事なことを言いそうになったところで黙りこんでしまった。契約ならしても大丈夫だけど何か問題でもあるのかな?
「そのー……あなたの魔法の効果が分からないから今はパーティ契約できないの。」
えー!──俺は驚いた。俺の魔法……確か、転移魔法だっけ。確かに言われてみると俺にも効果が分からない。転移?なんだろう。何かを動かしたりする魔法なんだろうけど。
「じゃあどうすれば契約できるの?」
「魔法鑑定屋で魔法を鑑定してもらってギルドへの承認手形があればできるわ。だけど魔法鑑定って魔力水晶を使うからとても高いのよね。今、手持ちが少ないから冒険者組合で借りないといけないわ」
「えっ!そんなー。」
シンラーさんは顔を横に振った。
「いえ、問題ないわ。この町にも王立銀行があるはずだからそこでお金をおろせば足りるわ。結構あるのよ」
「分かった……」
「じゃあ出掛けましょう。まずは銀行でお金を降ろして、魔法を鑑定してもらって、パーティ契約と冒険者契約をする!」
ということで、俺はシンラーさんに連れられ宿を出た。見たところ、この宿はサンライトというらしい。日光という意味ぐらいは俺でも知っている。宿を出るとそこは裏路地だった。なんでこんなとこを入り口にしたんだろうと思いつつ、気付けば大通りを歩いていた。
「うわー。すごいなー」
初めての異世界の景色を見て呆気に取られてしまった。想像していた異世界よりはとても現実的で建物は全部レンガ造りだった。街はたくさんの人で賑わっていた。よーく見ると、思っていいのか分からないが、ほとんどの人が完全な人間ではなく、耳やしっぽを持っていた人や熊のような人、耳がとんがっているような人もいた。良くは知らないがここにいるほとんどの人が獣人族や熊人族、妖魔族、人族らしい。他にもこの世界には、角を持ち鬼のような大鬼族、狼のような狼人族、岩石のような岩人族がいるらしい。それらとは違う種もいてその種たちは人に似てなく本当に獣らしい。この王国では差別されることはないが、ある国では差別され奴隷にされることもあるのだという。
「銀行についたから降ろしてくる。そこで待っててね」
「うん分かった」
元いた世界にも銀行はたぶんあったのだろうが、俺はあまり使ったことはないと思う──何となく。すると、なにやら通りが騒がしい。少し見に行くと、少女らしき人族が獣人族と喧嘩をしていた。少女の方は黒髪の長髪でコートを着ていた。両方とも鋭そうな剣を構えている。本当にやるきなのだろうか。だとしたら止めた方がいいのかな。すると、シンラーさんが帰ってきた。
「お待たせー。ツルシ……あれ、どうしたの?」
「俺もあんまり分かんないけどたぶん、喧嘩。止めた方がいいのかな?」
「んー……待って」
その時、両者とも一斉に切りかかった。しかし少女が相手の腹を蹴って獣人を倒してしまった。
(ってすごいな! 蹴っただけで倒れるとか、どんだけ強いんだよ。見た目のわりに、)
すぐに獣人族の方の仲間らしき人達が倒れた人を担いで怯えながら去っていくと、少女も去って行った。野次馬も呆気に取られていたようだ。
「すごかったね!」
「うん、じゃあ魔法鑑定屋に行こーか」
しばらく歩き、魔法鑑定屋に着いた。中には、すごく頭の良さそうな髭をはやしたおじさんがいた。
「いらっしゃい。宝石鑑定かい? それともドロップ品の買い取り?」
「魔法鑑定をお願いします!」
「えっ!魔法鑑定?ということは分からない魔法があるってことなのか?魔法鑑定は久しぶりだから驚いちゃったよ。いくつ鑑定すればいいんだい?」
「7つです!」
「えっー!い、今7つって言った?7つなんて数初めてだよ。2つでも多い方なのに」
魔法鑑定屋のおじさんは驚きを通り越して怖がっているようだ。
「では、魔法...を見...せて...下さ...い」
「はい……」
シンラーさんは木の棒を使って
『超審査』
と、唱えた。すると昨日のように俺はパーティクルに巻かれた。結構痛いんだよなぁ──ずきずきする感じ?おじさんは俺のステータスを見て、今までで一番驚いた。
「本当だ……7つ全部見たことも聞いたこともない……この道20年なんだけどな。次にこの魔力水晶に手をかざしてくれ」
「こうか?」
俺は言われた通り魔力水晶に手をかざした。すると魔力水晶は割れてしまい水が溢れ出した。
「ひぇー!壊してごめんなさい、本当にごめんなさーい!」
「大丈夫よ。ツルシ、こういう物だから。この水に紙を浸けて浮かび上がったものを見るの」
「へぇー。じゃあ俺は壊してないんだね。あー、良かった」
俺は魔力水晶が液体になったのが俺のせいでないことを知りそっと胸を撫で下ろした。
「はい、どうぞ。まずこれがあなたの称号に関する詳細です」
俺はおじさんから紙を受け取りそれを見た。
恒例になりそうだった俳句は今回で止めました。
なんか人によっては中途半端だなぁと思うかもしれないので謝っときます。すいません。自分なりの終わりかたにしたらこうなってしまいました。自分は中途半端だということなのか?
次回は結構早いうちに出す予定です。
最後に評価よろしくお願いします!
次回 転移魔法と初めての冒険