フランソフィアの召喚士
精霊の
導きのまま
異世界に
彼女は自らを召喚士と名乗り、俺に命令をした。無論、彼女のことは知らない。俺は理解不能に陥りそのまま気絶した。再び眼を開けると、また暗黒に包まれた所に俺はいた。当然光もあったがさっきの光とはまた別なもので、少し青がかっていた。薄く消えそうな光だが神々しさはさっきの光に負けていない。なんなのだろう。そう思ったとき、光は俺に近づき言った。
「私は転移精霊、名をシャインと申します。あなたは我が主の一人であるマスタークロノス様によりこの世界に導かれました。あなたは前世の記憶を持っていますか?」
「前世?」
何を言っているのか分からない。俺は...俺は?
「俺は誰だ?」
「あなたは記憶を無くしたのではないのでしょうか?あなたの名前はスカリ…いえ、何でもありません。あなたの名前はツルシアス・スカルチアです」
「ツルシアス・スカルチア?それが...俺の名前か...」
「そうです。あなたは他の人間とは違うものを持っているがゆえに我が主によってこの地に導かれたのです。」
(他の奴等とは違う)
「大精霊、転移精霊❮スピリットトランサー❯の名において彼の者に主の福音があらんことを!!」
「あ、待って君は一体?」
話しかけようとしたが、シャインと名乗る目の前のスピリットトランサー、すなわち薄青い光はたちまち俺を包み込み最後にこう言った。
〖あなたは勇者ではありません〗
と、
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気がつくと俺はベッドで寝ていた。ガシャンという音がして起き上がると腕が鎖に繋がれているのが分かった。驚きを隠せない俺に少女は忍び足で近づき、
「私はあなたを召喚せし、者。名を名乗り、私と、召喚獣の契約をしなさい!」
いきなりそう言った。
俺は「我は魔王だ!」とか「人間ごときに契約するもんか!」とかは言わずに名を名乗ることにした。
「俺の名前は……なんだっけ?」
「え?」
「いや、あのその…」
「名前は?」
名前が思い出せない。どうしてなんだ?俺の名前は...
「ツ…ツルシアス……」
「は?」
頭にポンと思い浮かんだ言葉は、考える前には既に言葉に出ていた。
「俺はツルシアス…スカルチア!」
「ツ…ツルシアス・スカルチア……もしかしてあなた…」
「人族…?」
「そうだとも」
「う、うそ!」
「え?」
「ほんと!?あなた、本当に人族なの?」
「さっきから言ってるとおり、俺は、にんg…人族だ!」
「本当に?本当なのね。やったーーー!」
俺にとっては何に驚く要素があったか全く分からない。俺はそこまで珍しい存在なのだろうか。こっちとしては、俺を驚くそっちに驚きを隠せない。
「え?」
「私、召喚の儀式は初めてなのよ!なのに、なのに私、人族を召喚しちゃった!あなた、ツルシアスって言うんだっけ?私はシンラーヴェル・アイシー・コルガーよ!気軽にシンラーって呼んでね。よろしく!」
「あぁ。よろしく...俺もツルシって気軽に呼んで…ね」
なぜか話が勝手に進み、俺がすごい!みたいなことを言ってきたが、なんなのか良くわからずどうすれば良いのか理解できない。シンラーと名乗る彼女はとても透き通った白い長髪を持ち、背丈は俺と同じくらいのであった。女性だということはその特徴からすぐに分かるだろう。世の男の理想とはちょっと離れているだろうが…それでも彼女の姿はまるで白鳥のように美しく、神々しささえ感じた。こうしてまじまじと見ていると神々しさゆえに金色に輝いているかのように見えなくもない。
「あの、シンラーさん?……この鎖、どうにかしてもらえませんか……」
「あ、ごめん。ちょっと待ってて。」
そう言って、自らをシンラーと名乗る彼女は、カバンから木の棒のようなものを取り出し、
「超審査」
と、なにやら言うと俺はパーティクルのようなものに巻かれた。
するとシンラーさんは驚き、
「あなた、元いた世界では何してたの?」
(元いた世界?なんのことだ...)
俺はどこから来たのか?冷静に考えてみると分からない。沈黙を続けてるとシンラーさんは良く分からないことを言ってきた。
「ツルシ、何でそんなに魔力量が多いの?平均を越しているどころか、結構多いって言われてる私を越してるなんて…あなた何者?しかも上位魔法まで覚えているなんて。やばすぎでしょ。召喚の儀式って良く分からないけど確か、魔法は初期化されるはずなのよ。て言うか、私の知らない魔法しかないじゃない!なんなのよこの転移マスターっていう称号?初めて聞いたわよ。」
いきなりそんなこと言われても分からない。シンラーさんにそれを見せてもらうと。
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個体名:ツルシアス・スカルチア
種族:人族
性別:男性♂
血液型:B型
称号:転移マスター
肩書き:召喚獣
魔力量:520,000
適性魔法属性:光属性、闇属性
適性魔力量:500,000
魔法名
中級魔法
情報転移
人体転移
交換転移
改造転移
上位魔法
空間転移
奪取転移
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「フムフム...って分からん!なんだよこれ。シンラーさんも知らないの?」
「……」
「...って寝てるしー!」
というか驚きすぎて気絶したのか?
「今何時だよ。」
時計らしき物はあり、ちょうど長い針と短い針が数字の12で重なっていた。
「ふぅー。俺も寝るか」
ガシャン。
(なんでこんなことに……俺はこれからどうすればいいんだ……)
寝返りをしようとしたが...
ガシャン。ガシャン。
「鎖を外してくれーーー!」
前書きの俳句チックなものは恒例になりそうです。
さて、皆さんお待ちかね、とうとう異世界の話、本章 フランソフィア編が始まりました!いよいよツルシアスの冒険が始まります!作者は一度でもかわいい女の子と楽しい冒険をしたいなぁ、と考えたことがなきにしもあらずです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。最後に評価、感想レビューを書いていただけると作者はとても嬉しいです!良ければブックマークもお願いします!次回も明日9時までには投稿しようと思ってるので見てください!
次回 タイムトラベラーと召喚少女