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山の奥の不思議なお店

作者: 僧侶A

原付で山の中を走る1人の大学生がいた。いつもはこんな道は通らないのだが、今日はいつもより授業が長引いてしまったせいでバイトに間にあわせるために近道を使っているらしい。



この山道はあまり舗装されておらず、運転しにくいために避けていたのもあり、本当に運転しにくそうにしていた。



道が荒れているせいなのか、本来よりもガソリンが無くなるスピードが早かった。元々ガソリンが残り少なかったために山の中でガス欠してしまった。




「ガス欠かよ⋯⋯ これじゃバイト絶対間に合わねえじゃん」



バイトに間にあわないことを嘆きながら、仕方がないとバイト先に遅くなるという連絡を入れて、その後ガソリンを入れて貰うためにJAFを呼ぼうとした。



が、ここは圏外であった。連絡が繋がらなかったのである。


「圏外かよこの山⋯⋯ しょうがねえなあ」



彼はそのまま立ち往生してても意味がないと、スマホが繋がりそうなところまで原付を押していくことにした。



歩き始めて20分程たった頃、とある店を見つけた。



「店があった。『れい屋』?聞いたことない店だけど開いているようだしちょっと電話借りさせてもらうか」



彼は店の前に原付をとめ、電話を借りるために店へと入った。



「いらっしゃい。何が欲しいのかい?」



中に入ると、お婆さんが1人レジに立っていた。品揃えは電池や文房具などもあったが、駄菓子屋のようだった。



「いや、何が欲しいってわけではなくて電話が借りたいんです。ガソリンが切れてしまって」



彼がそう説明すると、



「おやおや、ガソリンが切れちゃったのかい。見た様子じゃあ急いでいるようだね。電話貸してもいいけどガソリンあるからそっちを持っていくかい?」



お婆さんはそう提案した。彼は急いでいたのでその提案に乗り、ガソリンを貰った。入れ方が分からなかったのでお婆さんに手伝ってもらった。



「ありがとうございました。本当に助かります。これならバイトに間に合いそうです。最後に代金はおいくらでしょうか」


「代金は要らないよ」



そう言われた彼はこの店の名前の由来が代金がいらないからということに気付いた。がしかし急いでいたので軽く感謝を述べて急いでバイト先に向かった。



そんな出来事があった2年後、原付を使っていた彼は自分の車を持つようになっていた。



昔あった出来事なんてすっかり忘れて、気持ちよく高速道路を運転していた。



いつものように車を飛ばしていたら、突如何か違和感を感じた。



その直後、車が動かなくなった。



高速道路で車が止まるなんて一大事である。しかも彼は追越車線におり路肩に寄せるなんてことも出来なかった。



そして後ろからガンガンスピードを出していた車に追突された。



彼は重症を負って病院に運ばれて間も無くに亡くなってしまったという。



そんな彼は死ぬ間際にこんな言葉をかけられたという。





「代金は要らないよ。だって未来のあなたの持ち物なんだから」

読んでいただきありがとうございます。毎日短編を投稿しておりますのでよろしければ他の作品も読んでください。

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