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召喚されました〜2

光輝と紫音はちょっとしたパニック状態に陥っていた。

さっきまで家のリビングにいたのがいきなり知らない野原になっていたら誰だってパニックに陥るだろう。紫音に至ってはいつも白い顔を更に白くしていた。

「お兄ちゃん。ここって…どこ?」


紫音は泣きそうな顔をしながら光輝に問いかける。

「ここは…野原かな。夢の中の。紫音みろ。花が咲いてるぞぉ!綺麗だなぁ。」

「うん。綺麗だねお兄ちゃん。こんな花…紫音みたことないけど。夢…だからだよね。」


二人は現実逃避することにした。これはきっと悪い夢だ。うん。そうに違いないと二人は『夢だろうフラグ』を立ててお花摘みへと行動を移していた。すると二人は太陽が当たって眩しかった場所がいきなり暗い状態になっているのに気付き空を見上げた。


「「え…。」」

二人から出てきたのは全く同じ言葉だった。

「「あ、これ死んだな」」

空を見上げた二人が見たのは赤いドラゴンであった。赤か、赤なのか!?まだ緑のほうがきっと生存確率上がってただろうに。なんで赤なんだよ!?なんてことを考えながら光輝は死を覚悟した。


頭の上からビューンという音を聞いたあと二人が目を開けるとドラゴンは二人を通り過ぎていった。

「お兄ちゃん…紫音まだ生きてるよね?」

「あぁ生きてる。生きてはずだ。」


二人は生きるとこに対するありがたみを感じながら手を合わせた。

「というか、まじでここ何処だよ。」

光輝は辺りを見回して紫音に問いかける。

紫音も辺りをキョロキョロ見回すと兄に向かって声をかけた。


「お兄ちゃん、なんか降ってきてるよ。空から。」

光輝が空を見ると光輝が手に持っていたであろう手紙が空から降ってきていた。

光輝はその手紙をつかむと中を読み上げた。


『成宮 光輝様 紫音様

今日が私の余命最終日ということで、最後に何かしようと思い、”転移適正値”をはかったところ、

お二人はこのだび転移適正値が最も多かったので異世界に転移させていただくこととさせていただきました。運命だと思って楽しんでください。

それでは良い異世界生活を。

神より。 』



そう書かれてあった手紙をじっくり何度も繰り返し読み、紫音はさっきよりも顔を白くさせ、光輝は口を唖然と開けたまま思考を巡らせてある結論にたどり着いた。


つまり、自分たちは”転移適正値”とやらが高く、神の残り力で転移させるのが一番楽な人物だったために選ばれたということになる。

「てか、”転移適正値”って何だよ!?死ぬなら人に迷惑かけないでいなくなろうぜ。というか、神も寿命があるんだな。」

と、光輝は少し関心しながらもここがどこかを整理していた。


ここは異世界で、光輝達は神とやらに転移させられたということだ。

「お兄ちゃん、これって二人とも適正値が高かったってことなのかな?それとも…紫音かお兄ちゃんのどっちかが高かったってこと?」


紫音が不安そうに疑問を口にした。もしも自分が適正値が高かったせいで兄に迷惑をかけてしまったかもしれないと思ったからだ。

光輝はその不安を感じ取り紫音の髪をやはりワシャワシャと撫でながら


「ほら、ここに”お二人”って書かれてるだろ。つまり俺達は二人とも適正値が高かったんだよ。」

と、紫音をなだめるように言った。紫音は安心したように微笑むとはっと、あることに気づく。


「お兄ちゃん。紫音達はここの世界の情報…持ってない。ここの山もどこかわからない。どうするの?」

そう、情報を持っていないということは何かあったときに対処できないということだ。


だが、光輝はにぃっと笑うと、

「だから今から情報を集めに行くぞ。そこの右から3番目の木、さっきドラゴンが通ったときに僅かに道が見えた。あれは人が作ったものに間違いないだろうから多分降りれば街か村があるはずだ。

そこの村か街のあそこに行けば情報は手に入る。」


光輝は確信してそう言い放つ。紫音は首を傾げ

「あそこって…何処?」

っと兄に尋ねるが、光輝は

「それは行ってからのお楽しみ。」

っと意地悪っぽく笑った。すると紫音は少し頬を膨らませ不満げに兄の方を見るが光輝は笑ってそれを誤魔化した。

「さぁ、行くぞ。我が妹よ。」

光輝はそう楽しそうに言い放った。そして二人は山を降りた。









それから5時間後……。

「やっと…ついた。お兄ちゃん、紫音…疲れた。」

紫音は肩を上下に動かしながらそうつぶやいた。

あれから歩いて5時間後やっと街につくことができた。だがあんなに眩しかった太陽ですらすっかりお月様と交代してしまっている始末だ。


山の上からだとあっという間に街につくように思えても実際に降りたらこんなに時間がかかってしまっていたのだ。

「それで、お兄ちゃん…どこ行くの?」

「やっぱ情報を集めるならあそこだろ。まぁ、ついてこいって。」


そういって光輝はこの時間にやっている唯一の店へ行った。ほとんどの店が閉まっているため明かりがついているあそこを見つけるのは簡単だった。

「紫音、ついたぞ。」


紫音はそのお店を見て納得したような顔をし、兄に向かって、

「さすがお兄ちゃん。」

と、素直に関心の声をかけた。

二人の前には一軒の『飲み屋』と書かれた酒場があった。


カランカラン。と音を立てながらドアを開け二人は中に入った。

「いらっしゃいませ」

と、白い髭をはやしたマスター(この店のマスターかと思われる人物)に声をかけられた。


光輝がマスターから話を聞いているうちに紫音は辺りの部屋や周辺を観察していた。

気になることはあったらしく光輝のもとテクテクと歩くと兄の袖をつまみ、

「お兄ちゃん、あそこの部屋で何かやってる。あれ、何?」

と兄に向かって問いかけると、マスターが紫音を見て笑顔を向けると、


「あれはギャンブルだよ。小さいお嬢ちゃん。お金を掛け合ってするゲームで皆騒いでいるのさ。あの部屋にはたくさんのゲームが置いてあるからね。」

と、優しく微笑み話していた。


紫音は一瞬いきなり話しかけられたことにびっくりし光輝の後ろへ隠れたが害がないことを悟り疑問を口にした。

「何歳から…参加可能?」

マスターは少し困ったように顔を歪ませ、うーんと口に手を当て少し考え込んでから

「そうだなぁ。16歳からかな。この国では16歳から成人となっているしね。だから残念ながらお嬢ちゃんは参加できないんだよ。ごめんね。」


と、紫音に向かって口にした。だが紫音はその言葉を無視して、

「じゃぁ、紫音もゲームできるね!ギリギリ参加できて良かったよ。」

と、光輝に笑顔を向けて紫音は言った。マスターはそれを聞いて、

「ちょっと、お嬢さん今何歳なのかな?まだ、11、12そこらにしか見えないけど…。」

「紫音?紫音は16歳…だよ?」


紫音は身長が小さいため、幼く見られがちだがそれでも16歳なのである。マスターが確認のため光輝に視線を向けるが光輝は頷くことでそれを肯定した。

すると、マスターは紫音に頭を下げ、

「先程は失礼いたしました。ようこそ当店へ。お飲みになるなら、そちらの右の部屋へ、ギャンブルをするのならば、奥の部屋へどうぞ」

と言い、道を開けた。


「紫音。行くぞ。」

光輝は迷わずに奥の部屋へと入っていった。それに続き紫音も奥の部屋へと兄を追いかけて入っていった。そこで二人がはじめに見たものは、ポーカや、麻雀をやっている人たちだった。


それを見た紫音は率直に

「紫音…ゲーム苦手ー。お兄ちゃんに任せる。」

と兄に丸投げにしようとしていたのだが、今の言葉を聞いた二人組の男たちが歩み寄って来て二人に向かい


「なぁなぁ、そこのお二人さん俺らと一緒にゲームしねぇ?」

と、声をかけてくる。それはどこから見てもカモを見つけた奴らの目だった。

それに応えたのは光輝だった。


「俺達、金がないんだが、それでもいいならいいぞ。」

と光輝は男たちに言い放つが今の言葉を聞いた男たちは光輝に向かい、

「金がないなら、いったいお前らは何を賭けるってんだよ?まさか。何も賭けないとは言わないよなぁ。あぁん?」

と光輝を睨みつける。それに向かって光輝は、


「もちろん、賭けるさ。そうだなぁ…。」

光輝はニヤリと笑い、










「俺達二人、賭けてやるよ。」

と不気味に言った。

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