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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
9/554

  9 家康の兄弟子に俺はなる!【地図あり】

 こんな話がある。


 桶狭間の戦いの後、清須同盟を結んだ織田信長は、松平元康を遠乗りに誘い、光明寺(こうみょうじ)へと連れ出した。

 そこで一人の和尚を紹介した。

 その和尚は、八幡太郎(はちまんたろう)義家の軍法に通じているが、源氏の血筋の者にしかその軍法を教えてくれない。


「織田家は平氏だから断られたが、元康君は、清和源氏(せいわげんじ)の正統の出だから、教えてもらえるよ」


 と、信長に言われて、和尚にその軍法を学んだ。


 軍法を学び終えたなら、源義家の名から『義』か『家』の文字を名前に入れなきゃいけないと言われて、元康から家康に改名したという。


 めでたし、めでたし…



 ぜってー嘘やん!誰が清和源氏の正統やねん!

 あんた賀茂(かも)氏ちゃうん?どこが正統やねん!

と、ツッコミを入れたくなる話だが、軍法を授けてくれる青井意足(あおいいそく)という僧が、ここ光明寺にいる。


 そして、我が森氏は、八幡太郎義家の子、陸奥(むつ)七郎義隆の孫、森伊豆守(いずのかみ)頼定(よりさだ)を祖とする、河内源氏(かわちげんじ)の一流!


 つまり、俺には八幡太郎義家の軍法を学ぶ資格がある!


 と、いう事で、親父に話をつけて光明寺へとやって来た。


 親父は、「うちの家は藤わ……」とか、意味不明な呟きをもらしそうになっていたが、森氏は由緒正しい源氏の家系だ!


 なぜなら、俺の(まだ生まれていない)弟が、江戸時代に作成した家系図がここにある!間違いない!!


 日光東照宮には、藤原朝臣(あそん)とか彫られた燈籠(とうろう)が奉納されているが…ウチの家は源氏の家系なのだ!

 もう!間違えちゃダメだよ、於仙(忠政)ちゃん。



 青井意足の教えてくれる八幡太郎の軍法って、孫子や闘戦経(とうせんきょう)の事だと思うが、これで俺は徳川家康の兄弟子になるのだ!(予定)


「ではな、小太郎。年末には迎えをよこすから、それまで勉学に励むよう」


 短期集中講座なので、爺ちゃんと五郎右衛門は、俺を置いて帰っていった。

 えっ?マジですか。お世話する人とかいないんですか?

 五郎右衛門!椎茸つぶしたら、分かってるだろうな!ちゃんと面倒みるんだぞー!



 さて、年末になって迎えがきた。

 寺での生活は、勉強では問題ないのだが、食事が1日2食なのと、肉が食えないのが辛い。

 成長の為に、肉をくれ!


 軍法の勉強は、まずまず順調で、未来で『軍師・傳兵衛』の大河ドラマもあるかもしれないと、心の片隅5%くらい夢想している。


 空いた時間で、岩倉への調略をしておく。


 ウチの親戚連中で伊勢守家に仕えている者たち。

 もともと美濃の森氏は、蓮台の直ぐ近くにある森村に住んでいたので、そこの遠縁のものが伊勢守家へ仕官している。

 やはり血縁は大事にしておきたい。勝敗のほぼ決まった今なら、血縁を頼りに来てくれるだろう。

 宜しく、名も残らぬ親戚さん。


 そして、いつものように山内、堀尾の両家に心を込めて文を書く。

 秀吉じゃなくて、ウチにおいでよ。

 牢人になるよりましだよー。



 暫く勉学に励んでいると、年末だから帰って来いとお呼びがかかった。


 別に出家したわけではないので、ちゃんと家へ帰って年賀の挨拶などを受けねばならない。

 親父も正月の挨拶の後、信長に年賀の挨拶をしに清須へ行かねばならないからな。伝統は大事。

 その間は、嫡男が上座にいないとな。うんうん。

 勝蔵君には、まだ早い仕事だからな。


挿絵(By みてみん)

たぶん小太郎に軍師の才能はありません。

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― 新着の感想 ―
[一言] >軍法の勉強は、まずまず順調で、未来で『軍師・傳兵衛』の大河ドラマもあるかもしれないと、心の片隅5%くらい夢想している。 半兵衛・官兵衛の二兵衛が三兵衛に!? と思ったら >たぶん小太郎に軍…
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