69 援軍よ来い
関・加治田の戦い、堂洞合戦の直ぐ後に一色、長井、肥田の率いる援軍3000との戦いがある。
犬山城へ帰還している尾張軍に襲いかかり、堂洞合戦でその数を800程に減らしていた尾張軍は宇留摩城へと逃げる。
一色の援軍は、そのまま加治田城を攻める姿勢を見せ、斎藤利治率いる500が加治田の援軍に赴く。
というのが、これから起こる関・加治田の戦いのざっとした概要だが、今の状況で同じにはならないだろう。
史実で800余りしかいない尾張軍が1500は残っている。
逆に加治田衆は1000いたはずが600にまで減っている。
織田の兵は史実よりも多く残っている。
しかし、加治田衆の数は大幅に減っている。
このまま織田軍が引けば、敵の援軍による攻撃に加治田城が持ちこたえる事が出来ないかもしれない。
あれ?一色軍が帰還中の織田軍を襲ったりしても、殿は撤退しないでそのまま戦うかもしれない。
いや、そもそも襲われないかもしれないな。
帰還中の織田軍を完全スルーして、加治田城に攻撃を掛けるとか。
それでも、加治田城を襲わないという選択はしないはずだよな。
龍興君ならやってくれるはず!
ここで何もせずに帰ったら、更に支持率が下がるよ!ガンバレー!
このまま、裏切り者の加治田の佐藤家を赦していいのかー!
俺に、ちょこっとだけ活躍の場をよこせー!
「父上、流石に一色の援軍が来ていると思いますが、このまま帰って宜しいのですか?加治田が織田方につけば、一色は武田と分断されます。加治田衆の兵もかなり減っております故、いくらか兵を残して様子を見た方が良いのではないでしょうか?」
尾張軍は、加治田に一泊してから、犬山城へと帰還する。
ひょっとして帰還途中の所に奇襲があるかと思ったが、やっぱりスルーされたようだ。
俺は数の減った加治田城では、敵の援軍があった場合に支えるのが難しいと親父に訴えて、他の武将と兵200と共に、落としたばかりの堂洞城へと残り、様子を見て何事もなければ帰陣することになった。
「傳兵衛様、敵の援軍は来ますかね?」
今回のお目付け役(?)の長田又左衛門が聞いてくるが、そんなん知らんがな。
普通、戦の直ぐ後のゴタゴタしているタイミングで、東美濃や飛騨との重要な連絡拠点となる加治田城、取れるなら取りたいだろう。
問題は向こうがどう考えるか、此方の戦力に対してそれが出来る力があるかだが。
これが某歴史ゲームなら、戦で減った兵力が戻る前に、すかさず攻め込むけどな。
というより、堂洞城を攻められていた時に、他の城を攻めるけど。
「傳兵衛様、至急軍議を開くと。どうやら敵軍が現れたようで」
考え事をしている間に敵が来たようだ。
稲田次郎兵衛が軍議の知らせに来た。
よし、態々残ったのだから、今回は活躍したいところだな。




