446 与右衛門との再会
弟の手配は親父に任せるとして(決して母上の反応が怖いのではない)、近江衆の調略を始めよう。
先ずは琵琶湖を東周りに移動し、小谷城の近く、親父が落とした横山城へ向かう。
琵琶湖を西周りに江北へ向かっても良いんだが、高島郡北部や西浅井郡の国人衆の反応が分からんからな。
伝手も無いし、戦になるから兵を入れる事も出来ないし。
戦になるとしても、小谷城攻略が始まって敵の後詰めの心配が無くなってからにしたいしな。
上洛前に連絡を取った近江衆の内、ターゲットの宮部家以外で未だ浅井家に味方しているのは、渡辺右京、片桐直貞、石田正継、小堀正次の4人。
小堀正次は佐和山城の磯野員昌に仕えているので置いておくとして、狙うは渡辺右京と石田正継だな。
戦後、ここを誰が治めるかは知らんが、人は引き抜いておきたい。
石田三成を召し抱えるかどうかは、熟考を重ねたいところだけど…
片桐直貞は、史実で浅井長政から最期の手紙を貰うくらい忠誠度が高かったみたいだから、無理っぽいかな?
横山城へ着くと、以前俺の小姓をやっていた藤堂与右衛門(高虎)に出迎えられる。
「御久しゅう御座います、兵部少輔様」
「久しいという程の時は経っておらぬが、息災で何よりだ。中々に愉快な日々を送っておる様だな」
与右衛門を近江に戻してからまだ一年も経ってないのに、よく名を聞く様になった。
京極家に付いて謀反を起したり、見限って再度浅井家へ寝返ったり、織田家へ味方して横山城を攻めたり…ホントよくやるわ。
全く、少しは大人しく出来ないものかねぇ。
まあ、与右衛門は色々逸話の多い藤堂高虎だから、大人しくなんてしていられないのも仕方ないのかなぁ。
「兵部少輔様程では御座いませぬ。此度も暴れに暴れられたとか」
ま、まあ、今回は多少悪目立ちする事を覚悟しての行動だから、そう返されてしまうのも仕方ない。
今回は、その評価を甘んじて受けよう。
「まあ、此度は多少やり過ぎたやもしれぬ。御陰で小谷城攻めからは外されてしもうたしな」
「多少に御座いますか…」
うん?何か文句でも?
与右衛門に笑い掛けると目を逸らされた。
「まあ良い。それよりも肥後守殿等は如何している?」
元々横山城を守っていた野村肥後守直隆、三田村左衛門大夫国定、大野木土佐守秀俊の3人は、どうなったんだろう?
「三田村左衛門大夫と大野木土佐守は己の所領へ戻され、この城を守っておるのは野村肥後守殿に御座います。しかし今は三名共、尾張守様に従い摂津国へ赴いております故、某が肥後守殿に代わり留守役を勤めております」
肥後守殿は留守か…
「ふむ。では、横山城周辺の国人衆の調略はどうなっておる?」
「織田家に臣従する者もおりますが、大半は小谷城か磯野丹波守の佐和山城へ向こうた様に御座いますな」
「この近くに居ったと思うが、石田家はどうなった?」
「確か石田家は織田家への臣従を申し出ておったかと。彼処は横山城に近過ぎますからな。ああ!以前兵部少輔様が家臣にと望まれておられましたか」
へぇ~、コイツが小姓になる直前の話だったのに知ってたのか。
しかし、これは石田家を召し抱えるチャンスか?
でも、三成を家臣にするべきかは…迷うな。
まあ、いいや。
石田村へ行ってから考えよう!




