3 小太郎の一日
小太郎くんの一日は、朝のラジオ体操(ラジオ抜き)からはじまる。
そしてストレッチをして体をほぐす。
そして、城のなかをぐるりとランニングしてからの槍の素振り。
朝食後は、爺ちゃんに訓練をつけてもらう。
「小太郎は、体が大きいな。他の子より頭一つは高いし、力も強い。将来が楽しみだな!」
と、余裕で笑っているが、俺の方は汗だくでへたりこんでいる。
「やはり、まだまだ全然敵いません」
悔しそうな表情を浮かべると
「当たり前じゃ!七つの子に敗れる者などおらんわ!」
と、嬉しそうにカッカッと笑う。
もう、何十回も打ち合っているが、爺ちゃんに一撃もあたえられない。
結構体格も筋力も付いてきたから、一撃くらいは入れたいんだが。
尾張に来て、親父に家督を譲ったが、まだまだ現役でいけそうだな。
爺ちゃんには、色々無茶をきいてもらっている。
孫思いで、凄く助かっている。
良い孫アピールしておいて、少しでも我が儘が通るようにしておこう。
でも、槍の練習量は増やしておこうか…
訓練が終わると、館の裏手にある椎茸の原木に水をやる。
椎茸が生えていた木を、そのまま手に入れてもらって、菌を他の木に植えていく。
偶然だろうがなんだろうが、菌さえ増えればどうにかなるだろうとばかりに。
一か八かやってみたが、木によって数本出てきたり、全く生えなかったり、バラバラだ。
気候条件次第で運ゲーみたいだが、やっている内になんとかなってきた感がある。
一山いくらくらいになるだろうか。
ちなみに、いつも水やりは、武藤五郎右衛門兼友という、昔からの家臣にやらせている。
まあ今は、親父といっしょに戦に出ていて不在なのだが。
こいつは、未来で俺が討ち死にする原因(こいつに要らんことを言われて俺が敵陣に突撃すること)になるので、先払いで恨みを込めて扱き使おうと思う。
別に悪いヤツでない。ただお調子者で博打好きの空気が読めない男なだけだ。
午後からは勉強の時間だ。
近所のお寺で読み書きを習うのだが、最初の頃は、読めん!!文字を崩すなよ!変体仮名なんか店屋の看板だけで十分や!我流で勝手な文字作るなよ!と思ったものだ。
最近ようやく、慣れてきた。これで調略の手紙を出しまくれるな。
算術の方は、どうとでもなりそうだし、勘定方でも目指してみたくなるな。
浮野の戦いの前に、伊勢守家の武将を何人か勧誘してはいるが、まあ予想通りヒットしない。
堀尾、山内などは、流石に断られた。
両家とも、秀吉の家臣となるので引き抜いておきたかったのだが、
流石に守護代の家老職にある者の引き抜きは難しいか。
今の時点では、伊勢守家の方が弾正忠家よりも兵力があり、有利だからな。
まあ、戦後浪人した後に、勧誘したことを思い出してくれればと、淡い期待を胸に調略をつづける。
唯ひとりだけ、客将として来てくれた人はいるんだけど。
あとなんか、守護の斯波義銀が追放されたらしい。
守護の斯波義銀が、戸田の石橋義忠や、荷ノ上の服部友貞らと、今川勢を引き入れようとして、尾張を追放された。
傀儡でいるのが嫌だったのはわかるが、今川と通じるのは勘弁だな。
義銀の弟たちは、とばっちりを受けずにすんで助かったというところか。
しかし、服部友貞と長島の願証寺がつるんでいるのは、やはり鬱陶しいな。
斯波義銀の追放の時期は、色々ありますが、(話の都合上)1558年説をとりました。




