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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
23/554

 23 ヤバイ

 誰かは知らないが偉そうな爺さんを討ち取ったので、周りの混乱はひどくなるが、全体的に崩れてはいない。


 あの爺さんは何だったのだろうか?指揮官で間違いないよな?

 年寄りなのに戦場へ出てくるし、身なりで地位の高い奴だと思うのだが。


 敵陣を突き抜け、敵軍を見通せる場所へと移動する。

 襲ってくる敵は供の者達に任せて、伝令などがいないか、違和感のある場所はないかと次の獲物を見つける為に目を凝らす。


 後方で動きが他と違い、整然と舟のある方へと退こうとしている兵たちを見つけて隣を見ると、同じ場所を見ていた太郎左衛門と目が合う。

 太郎左衛門に頷くと、槍先をそちらへと向け、「次行くぞ!」と、皆に叫ぶ。


 先程より敵兵の抵抗が激しいことからも、ここに大将がいるのかもしれない。

 皆が敵兵を相手しているなか、退却しようとしている敵に向かって全速力で駆ける。


 見えた!舟へと一目散に逃げていく偉そうな奴、発見!


 一直線に駆け寄り追い付こうとした時、「死ね!」と、いつに間にか近寄られていた敵兵が槍を突こうとしてくる。

 あれ?ヤバイ?


「小太郎様!前へ出過ぎです!」


 山田八郎右衛門が槍を逸らし、増田仁右衛門が兵を討ち取って防いでくれる。


 急に熱が冷める。

 ヤバい、浮かれすぎたか、調子に乗る性格なのか。

 戦場でこんなことをしていれば、史実通りに討ち取られるかもしれない。

 初戦闘で浮かれているだけなら、もう二度と繰り返さないだろうが、性格なら直さないと。


「小太郎様!皆をお待ち下さい!」


 堀尾茂助が俺にストップをかけてくる。もうストップしているが…


「弥太郎!又四郎!喜左衛門!何をしておる!小太郎様の周りを固めぬか!!」


 安食弥太郎らが、稲田太郎左衛門に怒鳴られている。


 冷静になって皆が追いつき集まるのを少し待つが、敵将からは目を離さない。

 味方は直ぐに集まって来たので、追撃を再開する。

 これは、浮かれているのではなく、皆の意見を聞いた上、ここまできたら追撃した方がいいという事になったからだ。

 野盗になられたら困ると思うのだが、みんな其れが当たり前だと思っているのか、何とも思っていないようだ。

 まあ、ウチの領地ではないから構わないのだけど。


 今度は慎重に敵将へと詰めていく。

 敵将へ追いつき、下手くそな釣りの遠投の様な形で槍を思いっきり腰を入れて振りかぶり、遠心力と馬のスピードと高さをプラスしたそれを、敵将めがけて叩きつける様に振り下ろす。


「父上!!」


 しかしすぐそばにいた者が槍を合わせて、その一撃を防ぎに来た。

 槍を差し込まれたが構わずに振り切ると、相手の槍をへし折り、邪魔をした相手を弾き飛ばす。

 だが、弾き飛ばした先に目標にした敵将がいて、押し倒す形となっていた。

 なんてツイてない奴だ。

 まあ、両方生き残っているだけ運はあるのか。


 二人は討ち取らずに、喜三郎や仁右衛門が捕縛していく。

 おそらくは指揮官なのだろう。服部くんでいいのかな?

 まあ使い道は、上の人が考えてくれるだろう。


 敵兵たちがそいつを助けようと此方へ向かってくるが、八郎左衛門たちが討ち取っている。

 やがて諦めたのか、一目散に逃げ出したり、降伏したりする者が出て、敵が敗走し熱田衆が勝鬨をあげて戦いも終わりになる。

 俺たちは気絶した二人を捕まえて熱田の加藤図書助殿の屋敷へと戻ることにした。

 やりすぎた感があるような気がするし。


 皆も手柄を立てられて満足そうだし、よかったよかった。


 俺、一人しか討ち取ってないな、捕虜は二人いるが。

 しかし、深入りしてしまったのは大反省だ!

 もっと冷静にならないと、これが原因で討ち死にしたら何の意味もない。

 もう、二度としないぞ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 歴史物が好きで桶狭間は色々な作品で見ます 桶狭間が舞台ではないけれども史実を基にしながら そんなこともあり得たかもしれないなーと読めるこの作品の桶狭間が特に好きで何回も読み直してます
[良い点] もう、二度としないぞ。 フラグが立った、フラグが立った!
[一言] 初陣の成果として本当上々やね
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