2 これからの事
とりあえず生き残るために体を鍛えて強くならないと。
そして家族のために『志賀の陣』を親父と生き延びて、『本能寺の変』で弟たちを助けないとな!
俺が越前の手筒山占領後に討ち死にすることについては、深入りしなければいいだけだから、さほど心配はないが、問題は親父が、近江の坂本で討ち死にするほうだ。
浅井長政を裏切らせないとか、比叡山をおとなしくさせるとか、俺には出来そうもない。
出来そうなことといえば、まず当然自分のステータス強化だ。
親父は『攻めの三左』『槍の三左』と呼ばれる勇将。爺ちゃんの可行も強い。鍛えてもらうには、うってつけだ。
基礎体力アップの為に毎日野山を走り回り水練も欠かさないし、罠や弓を使って鳥など狩って肉を調達し、1日3食しっかり食べて体を作っている。
おかげで、同年代の子供よりは、いい体格にはなっていると思う。
あと資金調達。まあ出来る事はそれほどない。
NAISEIで荒稼ぎしたいところだが、それほど詳しくはないし、いま住んでいる蓮台城は、川に遮られるとはいえ美濃との国境だ。目立って攻められても困る。
蓮台は、木曽川の支流に囲まれてた、水の豊富な田圃の多い土地だ。
一応ダメ元で椎茸の栽培なども始めてみる。下手な鉄砲数打ちゃ当たるとばかりに、原木に植菌していく。
大々的にやるのは、親父が金山城主になってからだな。引っ越しすれば、此処の城代になれるだろう。
それまで我慢だな。
あとは澄み酒にもチャレンジしてみたい。やっぱり酒は需要があるからな。
次に本能寺対策。弟が三人も死んでいる。
これもどうしようか悩む。
弟たちが小姓になったのは、親父が討ち死にしたから、森家に箔をつけるためとか云われているが、親父が生き延びれば問題ないのだろうか?
本能寺の変自体を阻止した方がいいのだろうか?
森家は織田家の重臣になるのだから、本能寺の変を起こさせない方が良いかもしれないが。
とすれば、明智家は弱体化してもらった方が良いかもしれない。し過ぎても困るのかもしれないけどな。
あと、黒幕説もある秀吉も、力を持ち過ぎると危険かもしれないから注意かな?
親父は柴田勝家と仲が良かったらしいし。
秀吉が天下人になった時のために、仲良くしつつ、拡大を防ぐ方向で。
そうだな、本能寺前の武将の追放を阻止するのはどうだろうか?
林秀貞、佐久間信盛、安藤守就。丹羽氏勝ってのもいたか。
安藤と丹羽は正直わからないし、阻止しても影響も少ないかもしれないから置いておいて、林と佐久間。
追放の理由が諸説有りすぎてわからないのが問題だが、勢力を保っていれば明智光秀への抑止力にはなるかもしれない。
あと討ち死にしたり追放されたりした、塙直政とか坂井政尚とか中川重政とかも余裕があれば助けた方がいいのか。
とくに塙直政は親戚(母方の祖母の兄だか弟だか)だし、お嫁さんは柴田勝家の娘だしね。
羽柴、明智対策として、今後家臣になる有力武将を、森家の家臣に迎えるのはどうだろうか?
たとえば、この蓮台城の周辺にいる武将、前野長康などと秀吉よりも早く誼を結び、こちらに引き入れれば、少しは勢力拡大を抑えられないだろうか?
森可成の金山城主就任が1565年。秀吉の墨俣一夜城があったとされるのが1566年。
与力として、川並衆を引き入れることができれば、森家の力が増す。
坂本での戦いで勝てないまでも、宇佐山城へ逃がすことくらいなら出来るようにならないかな。
別のところに配属されるかも知れないし。
これから起こるはずの岩倉城攻め。
敵方の岩倉城で、秀吉の家臣になる堀尾吉晴と山内一豊の父親が家老をしている。蜂須賀正勝もいるらしい。
まあ、家臣にできなくても好感度を上げておけば、役に立つこともあるだろうし、陣借りや他家への斡旋でも感謝してくれるかもしれない。やっておいて損はないだろう。
去年、織田伊勢守家の当主の織田信安が嫡男の信賢を廃して次男の信家を後継ぎにしようとして、逆に追放されている。
有名どころの武将は信賢派だけど、少しは隙が出来ているはず。
岩倉城を包囲するまでに、寝返り工作をしてみよう。
ダメだったら降伏後、浪人しているところにもう一度。