5,世界樹の村より
あらすじ:植物人の少女アヤメと出会った日々野
色々あって協力関係となりました。
世界樹の村
「アヤメちゃ~ん、大丈夫だった~?」
村に帰ってきての出迎えはハグでした。
戦いに行っているのは、いわゆる分身のようなもの。人形の中に魂を飛ばしてる感じが分かりやすいかもしれない、さっきの人にそう言っとけばよかった。
今は、その意識が本体に帰ってきたとこで、外に出たところでタケ姉にハグ付きの出迎えを受けてるとこです。
「た、タケ姉の方こそ大丈夫? 種魂は無事だったけどダメージが大きそうだったじゃないですか」
「ぜ~んぜんダイジョ~ブだよ~、お姉さんだもん。だから戦闘の時もお姉ちゃんって言ってほし~な~」
そう言って抱きしめていた両手を離して一歩下がったとこでクルリと一回転してから胸を張る。なかなかの大きさ、私の方は……
「それよりもアヤメちゃんの方でしょ~?
私よりけっこう遅く帰ってきたってことは、大変だったんでしょ~? あの子強そうだったからねえ。ほら、長老のところに行かなくちゃ、心配してるよ~」
そう言うと長老の家に向かって、手をつないでいこうとする。
「タケ姉、悪いけど報告お願いしてもいい? ちょっといつもよりがんばったんで疲れちゃって」
「うんうん、全然いいよ~、お姉さんに任せちゃいなさい。それじゃあ、しっかりと休んでね~」
手を振りながら去って行ったタケ姉に、心の中で謝りながらさっきのことを思い出す。
人のくせに戦いよりも和平、共生を言ってくるなんて。少し悔しがりながらハンモックに飛び乗り、うつぶせになってさらに考える。彼の言っていたことは信じたはずだけど、まだどこか疑ってしまう私がいる。
「ムゥ」
そんなことよりも今は私が悔しかった。
一つは、明らかに向こうは、実力を隠しているように思えた。傷つけないようにしようとしていたのかもしれないがそれをおいたとしても、私が負けたようで悔しかった。
もう一つは、私もこの戦いに疑問を持っていた。けれどそのことに対して何もしていなかった私とは違って、体を張ってまで同じことを思っていた私に伝えようとした。
そっちの方が恥ずべきところがこっちにある分、悔しさが大きい。
「も――いい、このことは一回忘れよ。今は彼の方を待つだけ、その間にできることはしとこう。次は負けないんだから」
勝手な対抗意識を胸に色々な下準備を進めておこうとする。それが何を引き起こすのかも知らないままに……
そんな彼女が知らないところ、村長のとこへ向かっていたタケはわずかな間に気づいていた。
「アヤメちゃん、ちょっこと嘘ついてるわね。存在も少し小さくなってたし気になるわね~」
さっきまでの温和なだっけの笑みでない、どこか暗さを宿し笑みであった。
次回
主役は日々野に戻って話が話がはじまるよ。新キャラ 響火登場! 日々野との関係は!