54.5,新人類
これまでのあらすじ
幾つもの戦いをくりぬけた二人。
しかし聖王会に正体がばれてしまう。
逃亡するもアヤメは捕まり、日々野は重傷を負うもカグヤに助けられる。
そしてカグヤによる試練の果てにウロボロスとの契約を成立させた日々野は次なる目的地へ向かう!
ディーゼルの街中央に位置する聖王会の総本山、その中にある薄暗い地下通路を二十程度の人が列をなして進んでいた。ゲルトナーの隊員だけでなく軍の人間や民間人らしき人もいるが、その中には日々野の義理の妹である響火と友人のゴリ男も含まれていた。
不安そうに歩く響火と違い、ゴリ男は内心興奮しているのだが冷静を装いながら先導について行っている。
性別も所属もバラバラな彼らが、聖王会の本部という並の人間では入ることのできない場所に集められているのにはそれ相応の理由があるのだがそんなことを知るはずがない。
ただ、響火とゴリ男の二人だけは知っていた。
誰一人言葉を発さないまま薄暗い地下通路が終わり厳重な扉の前にたどり着く。
案内人が扉のそばの壁に設置されているパネルに手を付けると、鍵の外れる音がしてゆっくりと扉が開かれる。
中は十分な高さと奥行きがあるにもかかわらず、圧迫感を覚えるほど機械が並び立っていた。そのどれもが巨大なコンピューターや人が十分に入るサイズの培養水槽など、この街のどこを探しても見つかるはずのない高価な物品ばかり。
圧倒されている人々の前に奥の方から一人の白衣の男が出て来る。不健康そうな細い体にボサボサの髪だが表情だけは光悦と笑みを浮かべていた。
「さて、ここにいる皆様は選ばれた方々です。神の力に適した肉体と精神を持ち、やがて鎌などを超える力が手に入るでしょう!
もちろんこれを開発したのは私ですのでそれもお忘れなく!それではどなたから処置しましょうか?もちろん要望があればお答えしますよ」
高らかに宣言するかのように話す内容にここまで来ていた全員の不安が増し、誰もがすぐ隣にいる見知らぬ相手を頼るかのように近づき一歩後ずさりする中反対に前に踏み出す男がいた。
「俺から頼む。要望はこのなかで一番“強く”だ」
「ほっほう!あなたは確か石山さんでしたか、ふむふむそうですねえ、いいでしょう!この中で一番適合率の高いあなたなら望み道りに強くできます!さあさあこちらへ、足元気をつけてくださいね」
石山、つまりゴリ男は研究者のほうへ進んでいく。その足取りに迷いやそれなど一切感じられないほどしっかりとしたもので、すぐ隣にいた響火でさえ止めることができなかった。
「さて、それでは皆さん。ちゃんと順番と希望を考えておいてくださいね。ここに来たからには改造、いえ進化しなければ出ることはできませんから。ではでは」
奥の暗がりに消えていく二人の姿を見ながら残された人々は、一部を除いて絶望に包まれるしかなかった。
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姿が変わるほどの改造、いや進化をした彼らと日々野達が出会うのはそう遠くなかった。
次回も土曜更新予定です。




