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52,神機兵

時間切れ(タイムリミット)まで残り二十九時間半


「着いたはいいけど、近くで見るとやっぱデカいな。大体何メートルだ?」


 ようやくたどり着いたピラミッドの麓で見上げてみると、靄のようなもので隠れて見えない頂上とその上に広がる空はオーロラの様に朝焼けと夕焼けが混ざり合い、遠くから見たのとは違う幻想的な風景を生み出していた。

 ほぼ移動だけで一日が過ぎてしまったがまだ休むわけにはいかない。

 元はといえば手掛かりであった所有者と思われる存在からの呼びかけを追ってここまで来たのだ、本人見つけれなければここに来た意味がない。


「つってもこのピラミッドの中に居るとしたら時間が足りんのかよ。どんな姿なのかも知らないし」

「どんな姿か知らないと」


 咄嗟に鎌を声がしてきた方向に向かって振るう。

 だが、それは空を切るだけで終わってしまった。

 謎の球体との戦闘があってから警戒はより一層していたはずなのにそいつには全く気付くことが出来なかった、つまりは気配を気付かれないようにするだけの実力を持っているということ。

 確実に今の俺の実力では倒せないであろうことが嫌でも分かってしまう。

 

 かわすのと同時に後ろに跳んだのだろう、既に鎌の範囲からは遠く出てしまった相手の姿をそこで初めて見た。

 今度は一応人型を取った相手のよう。体は磨き上げた鏡のように光を全反射してこちら側を映しているが、まるでSFに出て来る近未来スーツのように薄さを持っているようにも伺える。

 だが体についてはどうでもいい、そう思えるほどの特徴が一つあった。

 そいつの顔はモーテスと似ているなんてものじゃない、双子、クローン、ドッペルゲンガー、そういう部類に入るほど同じだった。


「驚いているようだな。そう、僕はモーテスが作った神機兵、わかりやすく言えば植物人の木人みたいなものと考えてくれ」

「なら、そのモーテスもどきが何のようなんですか? 俺を案内するために来てくれたりしたらありがたいんだけど」

「案内、とは言ってもあなたの目指す相手の場所じゃない。行先は外の世界か死の世界かどっちらかだ!」

「だと思ったよ!」


 会話の間に準備を終えていた斬撃を最大の威力で撃ちだす。会話を利用する、星月先輩からしっかり身をもって教えられたことだ。

 三つの黒い刃が一直線に迫って来ていた神機兵に向かって飛来する。


「ほう」


 関心したかのような声とともに砂に足を取られることなく急停止すると人間離れしたアクロバティックな動きをして紙一重の所で回避される。

 だがまだ終わりではない、飛んで行った刃を直感にも近い感覚で操り真後ろからもう一度神機兵を襲う。

 俺の視線から気づいたのか後ろを振り返るがもう遅い、目前に迫った黒い刃に対してできることはない、そのはずだった。


「もう一度、か」


 黒い刃が届きかけた寸前で神機兵から目に見える波のような何かが一帯に押し寄せ、それに当たった黒い刃は砕け散り、さらに予想だにしない攻撃に俺自身もピラミッドの壁に叩きつけられた。

 呼吸が乱れ感覚が遠のきかけるが無理やり体を動かして横に転がるようにして距離を詰めてきた神機兵の拳を躱す。

 レンガのようなピラミッドの外壁が砕け散り、視界を遮る砂煙の中から外壁の破片が散弾のように飛来するが鎌をふるって払いのけた、そこに息つく暇もなく神機兵が突撃してくる。

 突き出された拳を鎌で受け流すようにして防ぎ続けるがだんだんと速度が上がっていく、受け流すと言っても完全に防げているわけではない。既に腕も痺れ初めている。


「限界が近いようだな」


 防ぎきれなくなってきたことに気づいたのか神機兵が話しかけてくる。相手が余裕なのかどうかは分からないが、俺に限界が近いのも打つ手が思いつかないのも事実だ。


「まだまだいけるけど、お前の方こそやばいんじゃないのかよ」

「人間が我に勝とうとすることが初めから無駄な事なんだがな」

「そういうの、植物人も言ってたけど、どっちも分身体だろ? 可能性はあるように思えるけど」

「我と木偶(しょくぶつじん)ごときが同じだと」

「試してみるか?」


 強がりで言い返すが全て嘘というわけではない。賭けにも近い打開策が思いついたのだ。

 アヤメの姿が脳裏に浮かぶ。言っちゃなんだが試練の前座に過ぎない此奴相手に負傷するわけにいかないなんて、見栄を張っている暇はない。少しでも早くクリアしなければいけないんだ。

 何度目かの殴打を打ち込むべく鎌から離れたその拳が振り下ろされる、その時俺は()()()()()

 交差させた腕にただ拳が直撃し、骨が折れる鈍い音と共に文字通り吹き飛ばされる。

 痛みに悶える暇などない、空中で即座にもう一度鎌を呼ぶ。


「応えろ、喰尾龍鎌テールイーター


 鎌が掴めない手に現れる。そして、ようやく見つけた。

 

「La borrar 起動 喰らい尽くせ、そして楔を消し去れ!」


 浮遊する体を調整して鎌の柄を咥えると、黒い三日月状の斬撃を出せるだけピラミッドの頂上目がけて飛ばす。

 俺の目的に気づいたのだろう神機兵はさっきの様に波を放つが初動が遅い。ほとんどが消されたが残った斬撃の一つが靄の中に入り、命中した。


次回の更新は土曜の予定です。

書き溜めが残り僅かになってきた……

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