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1,始まり

本編はここからです。

少し短めでプロローグのようになっています。

どうぞ最後までよろしくお願いします。

 ジリジリと周囲の火が身を焦がすように燃え体中は傷だらけだ。

 どこからも悲鳴と助けを呼ぶ声が聞こえているのに体が全く動かない。

 このまま終わってしまうのか? 


「・・の、・・び・!」


 俺の名前を呼ぶ声がする。その声に何故か哀しみと安堵を覚える。

 守りたかった、全部守れる力が欲しい、世界を変えられるだけの力が。

 沈むように薄れゆく意識の中、別の声が聞こえた。


「なかなかどうして殺すには勿体ない奴だ、がしかたないか」


 なぜか怒りの込みあがるその声に答えるために瞼を上げる……。








 そこでいつも目が覚める。


 心臓は早鐘を打ち、呼吸は荒く、全身汗で濡れていた。

 近頃、頻繁に見るようになったこの夢は()()()()によく似た誰かが俺の名前を呼んでいるのと、炎に囲まれているのにやけに冷たい四肢の感覚、それがまだ痺れのように残っている。


 一先ず、ベッドから起き出しカーテンを開ける。太陽はとっくに沈み夕方から夜に変わっていた。

 仮眠のために寝たのがまだ日があった頃だから、たぶん二時間位寝たのだろう。


 ベランダから見えるのはコンクリート製のビルが並ぶ灰色の街、どれだけ遠くを見ても壁に囲まれたこの街から地平線は見えない。

 緑のないこの街に四季を測る物差しは体感温度と頼りのない日付だけ。


 カーテンを閉め、戦いの準備を始める。 

 クローゼットの中にある暗視スコープや通信機などを持ちつつ、数少ない娯楽のラジオを付けて静けさを紛らわす。


「……という訳で、今日から暦に上では春、この街に来てからは四度目ですね」

「早いものねえ。けれども、まだ帰れないのかしら~」


 ポップスな音楽と共に聞こえてきた会話の内容で今日の日付に目がいった。

 カレンダーの日付は三月二十五日。

 まあ、俺がこの街に来たのは少し遅く夏初めだったから三度目だな。

 独りごちながら関節部が少し厚めの戦闘衣を着ていく。


 ラジオのせいで久しぶりにここが地球じゃない何処かの別の次元だと意識された。

 ここがどこかなのかは知らないが、どうやら地球ではないらしい。

 自称神様によって、ここ“ディーゼル”に連れてこられたときには住む場所や施設、食品の生産ラインもあり本当に異世界なのかと疑ったくらいだ。例えば大規模なドッキリ企画とか。

 ここは異世界、けれどもライトノベルで読んだことのある俺TUEEEEとかチート能力なんて展開はなかった。

 同じ日本人が何千人単位でここに来ているから特別なんてものも無いし、知識で無双なんて事も先住民なんて居なかったから論外。


「そんなこと言っちゃあ駄目だぜぇ、今日だって開門だ! “ゲルトナー”が出撃するらしいぞ、開門まで後3時間だから盛り上がってきてるぜ! 皆も行ってみよう!」


 ふむ。観光協会かなんかが考えた内容なのか、後半はかなり無理矢理に繋げた内容な気がする。

 

「ん、三時間だと……」


 カレンダーの上にかけてある時計が目に入り、よく見てみると秒針が進んでいない事に気付いく。


「やばい、時計遅れてんじゃん!」


 考えるのはそこまでにして、俺は用意をして走って家を飛び出した。


 本当はこの異世界に知的生命体が全く居なかった訳でない。

 今から向かうのは、この世界に先に住んでいた彼らとの戦い。

 

 夢のことはすでに頭から無くなっている。

 俺は(ゲート)へと急いだ。

次回

日々野出撃の時! 引き続き街についてとゲルトナーについての説明回っぽくなります。読んでみてね。


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