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26,始めようか

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。


「イヤー、遅れてスミマセン。突然ですけど意見良いっすか?」


 両戸のドアを全開まで開きながら入ってきた星月先輩に会議室全体の視線が集まる。

 だが、気にする様子もなく自分の席まで歩いてくきたので、顔を見ると目が開い互いにニヤリと笑う。

 そこでようやく司会の黒山隊長が声をかけた。


「星月隊員、意見を言って貰うのは別に構わないがもう少し態度に気を付けたまえ」


「分かりました。それじゃあ言わせて貰いますけど、こんな最悪な作戦立てたの誰ですか? 数を増やせば良いってもんじゃないですよ。どうせ、ろくに戦えない奴まで出てくるから邪魔になるだけですよー」


 まともな意見に全員が口を閉ざす。

 なんてことはなかった。


「遅刻してきて偉そうなこと言ってんじゃねえ

!」

「巫山戯んけんな、死ねってことかよ!」

「お前何様のつもりだ、態度がおかしいんだよ!」


 そんなに多くない数の隊員、特に聖王会側の隊員が怒りながら立ち上がる。

 今叫んでいる人たちは星月先輩が気に入らなかったり作戦の欠点に気づいていないかのどちらかだろう。

 だが、この作戦の欠点に気付いている人は何も言わない。更に先輩の実力を知っている人は何も言わずに納得している。


「全員静かに! とりあえず彼がどんな考えの作戦を立てるのか聞いてみようじゃないか」


 騒がしい空間に一喝。

 視線が前にいる黒山隊長に戻り、空気が引き締まった気がした。

 

「それじゃあ言わせて貰うぜ。

 まず攻める、という方向は変えないのが前提としておくけど、戦いに向かうメンバーは選抜して少数人にすべき。その方が植物人との戦闘経験を持った人のみで動きもわかるだろ? 

 なにより相手がそんなに多いわけがない。それなら人もいらない。OK?」


 最後の一言は余計だが文句を言っていた人も口を閉ざす。

 だが、これにも一つ欠点がある。

 普段の植物人と一対一で戦える人がゲルトナー内に十人以上いるかどうかだ。この前のような強さばかりなら、タケ姉さんの言っていたことが本当だったとしても一人しかいない。

 

 選抜だということは上位のメンバーはごっそりいなくなり、万が一街を攻められたとしたら大打撃を受けることになる。

 後、全員やられたら戦力は大幅に下がることになるハイリスクな点もある。

 それを分かっているから、黒山隊長もすぐに決断できないようだ。


「さあ、どうします? 人の数か、個人の力か。決めて下さい」


 量か質、あえて分かりやすく言いきると席に着く。満足そうやりきった感じのある表情で息をつき、顔をこっちに向けてピースサインを出してきた。

 挑発を交えた言葉をうけた黒山隊長は、暫くして目と口を開いた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――


 世界樹の村もディーゼルからも離れた森に人影が八つ集まっていた。

 植物人の中で過激派とされているクラーレだ。

 どれも木の上に登っていたり、岩に向かい武器を振るったり統率がとれていない集団にみえた。

 少し離れた所で木にもたれつつ、日々野達とぶつかったリンドウもいた。

 ただ、他の者達とは違い、目には迷いがある。あの夜に、仲間だったはずのアヤメが日々野と名乗る人間と共闘していたこと、そして謎の力を使ったこともまだ誰にも話していない。


 今ここにいる連中は人間など、一対一であれば本気を出すまでもないと考えているのだろうが、アヤメとあの男、そして最後に感じた気配の持ち主、彼奴は危険だ。

 これも誰に話していないこと、伝えるべきか迷ったが此奴らの性格を考えると、もしこのことを知ると自ら戦いに向かいそうだから言わない。

 だから、俺が誰よりも先に遭遇して潰す。


「おーい、皆やってるねー」


 トリカブトが気配を消してすぐそこまで近づいて来ていた。

 リーダーの登場に皆の動きが止まり輪を作るように集まる。ニヤニヤ笑う者もいれば無表情の者もいる。


「リーダー、リーダー、ヤット人間コロセルノ? オデ、タノシミ!」


「何時何時何時! 今から攻めに行くの!」


「おいおい、皆ちょっと待ってって。うるせーぞー」


「タノシミ! タノシミ!」


「黙れ! 俺の話を聞け!」


 紫色の霧を全身から吹き出させながら怒る。周りに近づいていた奴はピタリと口の動きを止め、顔色がドンドン青くなっていく。

 トリカブトの能力によってこのままだと死んでしまう、仕方ない。助けてやるか。

 自分の中から力を盾のように周囲に広げ、トリカブトの霧の中を進み、後ろに回って肩を叩く。


「トリカブト、もうやめてやれ。死んでしまうぞ」


「あ、ほんとだ。ワリワリーちょっときつかったか?」


 霧が吸い込まれるように消えていくと、苦しがっていた連中は膝をつきトリカブトを睨んでいる。今になって此奴が恐ろしいと思ったのだろう。まあ逆上して殺しにかかろうとしないことを見ると、力の差は分かっているようで雑魚ではないようだ。


「ここにいるので全員? いないのはボタンとタンポポの二人か。タンポポはまだしもボタンもか……まあいい、明日の正午人間の街に攻め込む、以上!」


「!、それは本当か。なんでそんな急に」


 此奴らの動きも戻っているか怪しいのに、何故なのか。加えて、夜の方が攻めやすいというのに。

 

「何でかって? 秘密に決まってんだろ」


 トリカブトは理由がなければ奴だ、密偵でも忍ばせて何か知っているのかも知れない。

 明日だとしても緊張はしない、覚悟は既に出来ている。ここにいる者のほとんどがそうだろう。迷いのある奴はここに来ていないか、行っても死ぬだけだ。


「目指すがここから西の方だから、着いて来いよ」


「人間の街は東だと思うんだが良いのか?」


「リンドウ、俺をガッカリさせんなよ。何をしようとしているかぐらい、理解してくれ」


「西にあるのは……まさか!」


 思い出した。

 ここから西に行くと何があるのか、そしてトリカブトが何をしようとしているかも予想が付くが、そうだとしたら此奴は!


「さあ、お前達。反撃開始と行こうじゃないか」


 トリカブトの号令に全員が動き出した。

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