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16,立ち込める暗雲

PV数がとても上がってきてめちゃくちゃ嬉しいです!(*´ω`*)

本当に多くの方に読んで頂きありがとうございます!

同日 森の中


 神緑人戯が開始されてからすでに六時間は経過した。

 今のところ俺たちの隊は木人(トレント)数体と遭遇しただけ、どれも星月先輩と霧立さんが暇だったのか瞬殺で終わらせていた。他の所からも人型と遭遇したとかいう連絡はない。

 文目が村の仲間たちにうまくいってくれたのだろう。この調子だと今回は誰も傷つかずに終われるはずだ。


 敵がいないとはいっても気を張っているのは疲れること、休憩を挟みながら移動していた。


「今回はあまり戦闘がないみたいだな」

「そうですね、長いことあるのも疲れましたしもうそろそろ終わって欲しいですね」

「えー、せっかく森に来たんだし、少しは何かあって欲しいけどなー」

「……少しだけ同意」


 意見が分かれる。他我矢隊長と俺はこのまま終わって欲しい、星月先輩と霧立さんは何か期待してるようだ。

 星月先輩はお祭り騒ぎが好きな方だというのは誰からでも分かるが、霧立さんの方は余り知られていない。普段が静かだということが理由だ。本当はお祭り騒ぎを外から見るのが好きらしい、何でも人間は面白いとか。


 そんな二人の期待を受け取ったのか隊長の通信機に通信が入る。


「ああ、分かった。こちらもそうさせて貰う」


 それだけ言うと通信を切ってこちらを向いた。


「黒山隊長からだ。現在までの状況から判断して各隊ごとに自由行動をするとのことだ。俺たちはメインは他の隊のサポートにまわるぞ、何があるか分からんからな。全員別方向に移動して救助要請が来たらそこに迎え。あくまで自由行動だから細かい判断は個人でしろ、以上だ」

「ヨッシャ、作戦名はガンガンいくぜ! とにかく戦う、じゃなく手助けに行ってきます!」

「私も……行ってくる」


 二人はそんなに戦いたかったのか颯爽と別方向に向かっていった。

 残った俺と他我矢隊長は顔を見合わせ少し笑う。


「普段もあれほどのやる気があればいいのだがな」

「本当ですよ、特に星月先輩なんて何してるのか分かりません」

「ハハハ、あいつも陰で頑張っているかもしれんぞ」

「そうだったらいいんですけどね、それでは俺はこっちに向かいます。お互い無事を祈りましょう」

「そうだな、互いに頑張ろう」


 会話はそこまでにして、俺は北に他我矢隊長は南に向かって別々に行動し始める。



 移動は神鎌の力を使うことにした。多少体力は使うが、その方が移動速度は格段の上がり、もしもの場合もすぐに対処できるからだ。

 この前暴走しそうになってから初めての使用だった。


喰尾龍鎌(テールイーター)、少しでいいから力を貸してくれないか」


 呼びかけに呼応するように力が満ちてくる。

 どうも前回使用したときの感覚が残っていたのか、いつもと比べると全体的に効果は上がっているが心がざわつく。

 手加減することがない分ある意味、無慈悲な攻撃が出来そうだが……


 とりあえず細かい分析はそこまでにしておいて移動を始めるとするか。

 地面を強く蹴り、頭上の木々の上にでる。そこからアニメの忍者のように木から木へ飛び移って移動する。

 こっちの方が移動の妨げのなるものもなく自由に移動できるが大きなデメリットがある。足下が見にくい分急な不意打ちに対して、気づいたとしても体勢が崩されやすい。

 その点俺は鎌の能力によって衝撃も何もかも無力化できるので、俺にとってこの移動法はいい頃尽くめというわけだ。

 そういうことでしばらく移動を続けていた。



「こ、こちら第十一番隊。誰か助けてくれ!」


 ある程度移動していると緊急通信が入った。

 他我矢隊長の言ったとおり、もしもの場合に備えていて良かった。

 通信の相手はかなり焦っている様子、とにかく状況を知りたい。


「通信受け取りました。場所が分からないんで何か此方に場所に伝えて下さい」

「わ、分かった。発煙筒を付けるから頼む急いでくれ!」


 一旦立ち止まって周りを見る。そして煙を見つけた。ここからそんなに遠くはない。


「来い喰尾龍鎌、暴れるぞ」


 ここからはフルパワーで行く。

 鎌を具現化して両手で握りしめ、一飛びだ。

蹴った木は折れてしまったようだ、後ろで倒れる音がしたが今は気にしていられない。何しろ自分もそれに対応する速度で煙の出所に落ちるように飛んでいるからだ。

 直線上にあった木や枝は悪いが残らず切らせてもらい着地するよると同時に鎌を振り下ろす。とりあえず一体。


 落下の衝撃で土埃が上がっている。

 俺の背には傷ついた十一番隊の隊員達がうずくまっている。


「おい、喋れる奴はいるか、状況を教えろ!」

「はい! 敵は木人八体、僕らの中で戦えるのはもう俺だけです。た、助けて下さい!」

「そのために来たんだよ、おい、お前まだ戦えんだろ? 前にいる五体は俺が、残りは足止めぐらいしとけ!」


 土埃が収まってきたから木人も動き出した。

 木人の特徴は二つ。文目から聞いた話ではコイツらに種魂(コア)はなく破壊したらそれで倒せる。強さは作った人によるらしい。

 他に経験則から言うと、一体ずつだろ動きも遅くそこまで危険ではない。だがこの状況からも分かるとおり、複数体が集まると連携、さらには合体という例まであるから面倒な相手だ。

 とは言え所詮は木人、敵ではない。


「GUOOOOOOOOOOOO」


 叫び声を上げながら二体が挟み撃ちを仕掛けようと迫ってくる。早さはないと言ったが力に関しては少々危険だ。多分、真っ正面からノーガードで受けたのなら気絶は不可避だろう。

 だが、その攻撃をあえてかわさない。何故って、攻撃の機会を自ら捨てる理由がどこにある?


「gann,apeironn起動 星をも喰らい、全てを戻せ」


 そのまま両側に鎌が当たるよう円を描く。木人二体はそこに飛び込んだとたん、一部を消滅させられながらバラバラに崩れ落ちた。

 残りは三体、隙など与える暇などないまま懐に入り一振り、胴を一閃する。

 ピシリ、斬られた部分からヒビが走り、先の二体と同じようにそのまま動くことのなくなり、ただの木片となった。


 一分も経たないうちに撃破できたのだ。見た感じ全員で三人の隊だったのなら救難信号をうたずに切り抜けられただろうに、逆にどれだけ弱いのか気になってくる。もしかすると、気を抜いていたのかもしれない。


「おーいそっちは大丈夫か」

「なんとか、ギリギリ、大丈夫です」


 どうやらそこまで弱いわけではないようだ。

 此方の呼びかけに答えられる分、二体を相手にしているには戦えている方だろう。


 少しして木人を倒し終えると、その場に息を切らしながら座り込んでしまった。どうも攻撃力に欠けているようで結構な回数攻撃していた。


「助けて、くださり、ありがとう、ございます」

「どうも。少し休んどいてください、その間の警戒は俺がしときますので」

「何から何まで、ありがとう。ほんと助かりました」


 息が切れているせいで話がしにくい。気になったことをついでに聞きたかったので普通に戻るまでの間を、待つついでに警戒を引き受けたまでだ。

 無事な隊員をAとでも言っておくか、隊員Aの戦いが終わるまでの間に、ほかの二人を軽くだが見ておいた。どちらも打撲で済んでおり気絶しているだけのようだ。


「あの、そろそろ大丈夫ですか」

「はい、本当に助かりました。不意打ちをうけて隊長がやられてしまったので、そのまま混乱してあんな状態に……」

「そうだったんですか。今回はもう戦えませんけど全員生きてますし、そんな落ち込むことはな〔日々野! 聞こえてる!〕いです、って文目!」

「ど、どうかしましたか」


 文目から念話(テレパシー)が急に入ってきたのでつい名前を呼んでしまった。

 そのことで隊員Aを驚かせてしまうが、それよりも何かあったのか文目の焦り具合の方が気になる。


〔聞こえてる、何か急ぎのよう?〕

〔急ぎとかそう言うレベルじゃない、緊急事態よ! 前に言ってた過激派が、戦いに向かったってことを今聞いたところなの。詳しいことは初めて会ったあの場所で話すから急いできて!〕

〔待てよ、お前が来て他の奴に〕


 最後まで言わせないつもりなのか念話が一方的にきられる。もし他の部隊と出会ったりでもしたら確実に戦闘だ。そこに文目の方に戦う意思があるかないかなんて関係ない。

 とにかく今は少しでも速くあの丘へ向かわねばならない。この隊の残りの二人も起きてくるだろう、それならここにいる必要はもうない。


「いいですか、今すぐここから離れるか別の隊に助けを求めて下さい。俺は急ぎの用が出来たんで、それでは」

「あ、ありがとうございました!」


 何か言っているがもう耳に入らない、それほど俺は急いでいた。文目が言っていた過激派がここに来たら、全面戦争とでも言えるぐらいの戦いが起こり、大量の負傷者、最悪死者がでることは簡単に予想できる。

 

 木々から木々へ飛ぶ俺の上、いや森の上空全体に暗雲がかかり始めた。


次回、あの人の真の姿が……そして日々野と文目に試練が待ち受ける! 乞うご期待!

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