11,食後の運動、控えめに
今回からできるだけ文の間に改行を入れることにしました。
他の方の作品と比べて読みにくいかと思ったのです。
少しずつ今までのもそういう風に変えていこうと思います。
それでは、本編をどうぞ。
「あーおいしかった。ごちそうさま、日々野」
「俺も久しぶりに食べたけど、甘い物はやっぱり美味しいな」
休日は一人で過ごすこことが多く、外に出ることもあまりしないからお世辞とかじゃなく、本当に久しぶりに食べたのだ。
文目は俺が甘いものを食べて笑ってしまっていたのかクスクス笑いながら聞いてくる。
「案外甘いものが好きなのね」
「まあ、お互いに知らないことだらけってことだよ」
そう言って一緒に頼んでいた紅茶を飲む。
文目が言ったようにまだまだお互いのことを
知れていない。例えば、俺が甘党なこととか文目がよく食べると言うこととか。
店に入ると席に案内されたがメニューを渡された文目の注文量がすごかった。
ドーナツじゃなかったら持っていた分じゃ足らなかったかもしれないと思うほどにだ。幸せそうに食べる文目が見れたからまあいいとしよう。
「あのさ、一つ聞きたいことがあるんだけど」
「何でもどうぞ~」
食べているときからずっと気になっていたことがあった。
「そのドーナツの材料、さっき言った小麦とか使ってるけど、そういうのって大丈夫なのかと思ったんだ」
いちおう食べる前に一言は言ったけど、ドーナツに夢中そうだから覚えていないかもしれないと思ったのだ。植物人が植物を食べたら共食いになったりしないか、ということが心配だった。
「アハハ、そんなこと心配してたの。全然大丈夫よ。私たちを植物人って呼んでるらしいけど別に植物な訳じゃないし」
笑いのツボだったのか、しばらく笑うと落ち着いて続きを話す。
「確かに木人を操ったり、植物の名前を使ったりそれらしい能力も使えるけど、体のつくりとかは人と変わらないはずだから。私だってアヤメだけど花の文目とは別物よ」
心配していたようなことはないようだ。
ちなみに木人とはその名の通り木の怪物、普通森で会うのはこれがほとんど。
この前みたいに一度に二人というのは例外を除くとあることが珍しい。
すると今度は文目が逆に聞いてきた。
「私も気になってたんだけど、人間が持ってるあの武器って詳しくはなんなの?」
首をかしげながら、武器、たぶん神鎌について聞いてくる。
俺も完璧に理解している訳じゃないができるだけのことを答えるとしよう。
「あの武器、神鎌って言うんだけど俺が知ってる限りで百本あるかないか。この街の聖王会だけがそれを持ってて、その中からゲルトナーは借りてるのが現状八十ぐらいかな」
「でも、一度に森に来る人はそんなに多くないけど?」
なかなかいいとこついてくるな。
「そうなんだよ。神鎌にも二種類あって誰でもその力を使える物と、鎌に選ばれた人しか使えないのがあって、その内選ばれた人しか森に出撃出来ない決まりなんだ」
ちなみに鎌に選ばれた人を適合者と呼んでいる。もちろん誰でも使える神鎌よりも、使用者が限られている神鎌のほうが何倍も性能に差がある。
全部で八十のうち、適合者のいる鎌が四十一、誰でも使えるのが三十五、まだ適合者のいない鎌が残り数本だ。
「森に行ってる人が少ない理由はそういう事。細かく言えば、全部で十三の隊にだいたい三人ずつ所属して全員で四十一人。それ以外の神鎌は街の防衛部隊が使ってる。
後は、あの時俺も使ってたけど適合者のいる鎌には固有能力があるんだ。まあ、鎌の強さもまちまちだから木人に手こずる人もいる。どっちかっていうと人の姿をしている植物人と戦える人の方が少なくて、全員で十二,三人だけかな」
知ってることを全部伝える、人間側の戦力を全部ばらしたのと同じことだな。もし誰かに知られたら、間違いなく捕まるだろう。
それを聞いていた文目は何か気になったもう一つ質問してきた。
「武器、神鎌のことは分かったけど、それを作ってる聖王会って何なの?」
「前言ったけどこの街の中心。何で神鎌を作れるのがそこだけなのかは知らないな。それこそ神の力とかだろ」
分からないことだから一応の答えだけ言っておいた。
「さてと食べ終わったことだし、ソロソロ他の所も見に行こうか」
頼んでいたお茶や食べ物が切りよく無くなったからな。
そうして会計をして店を出た時だった。
路地裏に続く曲がり角から顔を隠した誰かが、こっちをみているのに気づく。
身長と雰囲気から考えると男だろう。
今日一日よくあった文目に対する好奇心の混じった視線ではない。俺たちを監視しているというか見定めているような感じがした。こっちが見たことに気付いたのかそのまま路地裏に入っていく。
「ちょっと文目ここら辺で待っといてくれ、すぐ戻る!」
謎の男がさっきまでいた曲がり角に向かって走り出す。少し滑りそうになりながらスピードを落とさず路地に入った。
すでに男の姿は奥の方にいる。
このまま逃がすのはいやな予感がしたから、一部だけ神鎌の力を解放する。
「喰尾龍鎌、力を貸せ!」
一部の力を借りるだけなので鎌は現れない。
ゲルトナーでは 限定解放とか言われてるが、俺的には日常生活で使えるので便利だと思っている。
戦闘時の半分以下の力を借りて加速し、追いかける。謎の男との差はドンドン縮まり、もうすぐ手が届く距離まであと少しの所で急に男が加速した。
「な!」
鎌の力を解放した時、身体能力は常人の三倍が基本。
だが、それの半分とはいえ、普通の人間なら逃げれるはずがない。
そのまま謎の男はさらに加速し、建物の壁を飛び上がり一度だけこっちを見てから去って行った。もし、鎌の力をすべて出したとしても追いつけないと思い、追跡をあきらめた。
あれだけの動きが出来るとしたら、神鎌の使用者か植物人、もしくは別の何かかもしれない。
全力疾走した疲れと追いつけなかった悔しさ、あと俺たちを見ていたあの視線が気になった。
「あ、文目待たせてるんだった。 急いで戻らないとやばい!」
さっきのことを考え込みそうになる前に思い出す。あの人混みの中でどこかに行かれていたら迷子確定。
目立つ容姿をしているから見つかりやすいとは思うが、そのせいでナンパとかに合っていても困る。
「とにかく、早く戻らないと」
今度は普通に走ってだから少し時間がかかった。通りに戻ると人混みの中に空いた空間に揺れる白髪を見つけた。
「あ、文目お待たせ……」
まさかのいやな予感が当たってしまった。
せっかく目立つことの無いように過ごしてきたのに、これで台無しだ。少しイラつく。
人混みの中で野次馬の人達によって空いたスペース、綺麗で目立つ容姿の文目、そしていやな予感。
「なあなあ、いい加減俺らと遊ぼうぜ? 待ってるのも暇だろ、どうせそいつなんかよりも俺らの方がいいと思うぜなあ」
絵に描いたようなチンピラたちにナンパされていました。
次回
二度目の戦闘シーン入ります。日々野が一般人の中だと、どれ位強いのか、乞うご期待!
これから二日に一話のペースにしようかな……




