7話 港町スピネル(3)
食べ終わるのに20分もかからなかった。
「ごちそうさまでした!」
「ちょっと物足りないけどまぁ仕方ないね!」
「フェリスはまだ食えるのか...。恐ろしいな...。」
「片づけやっとくからお前ら作戦会議しといてくれ。」
と言うと、ライラが思い出したかのようにアビスに言う。
「忘れてた!私ちょっと知り合い連れてくるね!先に話してて!」
そう言いながらライラは走って知り合いを探しに行く。
片づけが終わったアビスにフェリスが聞いた。
「そういえばアビス。私とアビスでライラを追いかけてた時、すこし立ち止まったよね?」
「ん?あぁ。気にせんでいいよ。」
「私が気になるの!教えてくれないかな...。」
「...。」
アビスが一呼吸置いた。
「聞いても後悔しないか...?」
「うん。」
「オレはここの世界の住人じゃないんだ。誰かに呼ばれてここに転移してきた。」
「そうなの!?初耳だ...。」
「そりゃ話してなかったしな。そしてここからが大事なんだが...。」
「うん。」
「オレとトライヴ・パシフィス、そしてフェリス...お前らは...。」
言おうとした瞬間時が止まり、アビスの中にいる手が心臓を奪いに来る。
(ぐァ...!ま...たこの現象か...!ふざけ...るなよォ!馬鹿野郎がァ...!)
「ハァッ...ハァッ...フェリス...クッ...。」
アビスがその場で倒れこんだ。
「...アビス!?大丈夫!?アビス!?」
「フェリス!?アビスどうしたの!?」
「わかんない...。私がアビスとライラを追いかけてた時に立ち止まった時があったからその話を聞こうと思ったら...倒れちゃって...。」
ライラが連れてきた子が言う。
「とりあえず宿屋。そのあと診てやる。」
アビスを担ぎ込み、宿屋のベッドに寝かせる。
ベッドに寝ているアビスが苦しそうな表情をしている。
ライラが連れてきた子が自己紹介をしながらアビスを診る。
「オレはアズラエル・コバルト。治癒魔法やら敵を妨害する魔法が得意だ。よろしく頼む。」
「私はフェリス!よろしくね!」
自己紹介が終わると、回復も終わる。
「これでしばらくは大丈夫だろう。またぶっ倒れるとアレだしオレも一緒に行ってやろう。パシフィスにも入りたいんだろう?協力してやろう。」
「ありがとう。アビスが目覚めたら王都を攻略だね!」
(クッソ...いつになったら動けるようになるんだ...!さっさと解放しやがれ...!)
(いつまで拘束してくんだよ...こいつは...!さっさと解放してくれ...!)
(なんだ...?この温もりは...。とても...安心する...。)
苦しみから解放されたアビスは、穏やかな表情に戻った。
しかし、その温もりも一瞬で消えた。
「...ハァッ!?...ハァ...ハァ...ここは...?」
「アビス!やっと起きたんだ...。三日も寝てたんだよ...?」
「フェリス...。そうか。オレは戻ってこれたんだ...。」
「やっと起きたか。さすがに三日も寝られるとこっちも動揺するわバーカ。」
アズラエルとアビスは初対面。「バーカ」という言葉に反応してしまうアビス。
「お前...初対面の奴にバカとはなんだよ...。喧嘩売ってんなら買うぞ...?」
「アビス!落ち着いて!アビスを診てくれてたのはアズラエルなんだよ!?」
「!?」
「そういうこと。親しくしてくれやアビスくん。」
「すまなかった。オレの治療をしてくれてありがとう。こちらこそよろしく頼む。」
「アビス!大丈夫だったの!?三日も寝てたから心配で...。」
寝起きのアビスにライラが飛び乗る。
「大丈夫だから上に乗るなって...。一応これでも病み上がりなんだぞ...ライラ。」
「ごめん...なさい。」
「そんな悲しそうに謝んなくてもいいよ。対して怒ってないし。」
アビスが優しい笑顔をして、ライラの頭を撫でた。
ライラは嬉しそうになり、アビスに抱き着く。
「待たせたな。お前ら。これからが本番だ。作戦会議に移るぞ。」
ようやく目覚めたアビス。新しい仲間、アズラエルを加えての王都攻略。
アビスはアズラエルの特技をわからないが、ライラに聞いて一瞬で理解した。
そしてアビスはアズラエルを重要なポジションに置くことを決めた。




