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3話 田舎町バロニア(2)

ライラがお腹をすかせてこちらを見つめてくる。

アビスはそれに気づき立ち上がった。

「よーし、そんじゃ飯にすっか~。材料を確認させてもらうぞ~。」

ライラが買ってきた物は、ニンジン、肉、パン、小麦。

「ふむ...。これだとシチューだな。」

実はアビスの一番得意料理である。まるで狙ってきたかのような材料の買い方だった。

「シチュー!私大好きなの!」

「あぁ...それでか。」

シチュー大好きという発言を聞いて、納得がいく。

「んじゃ、ちょっと待ってな。ぱぱっと作ってやっから。」

「隣で見ててもいーい?」

「そんな面白いもんじゃねぇぞ...?」

「別に気にしないよ~?」

作り始めるアビス。

手際よく下ごしらえをし、炒め始める。

「へぇ~。アビスって料理得意なんだね!手つきが違うよ!」

「んまぁオレはこれくらいしか出来ねぇからなぁ。期待しとけよ?うまいから。」

冷蔵庫にバターと牛乳がある。塩コショウもある。...不思議なことに火力も心なしか自分が使ったことあるような感じであり充分すぎた。

「小麦粉とバターを入れてちょっと炒めて、牛乳を入れて伸ばして...。」

「おぉ~!」

「ん、ライラ初めて見るのか?」

「うん!こうやって作られてるんだぁ...。知らなかった!」

こうしてシチューは完成し、パンもちょうど焼きあがった。

「いただきまーす!」

ライラが元気よく言い、シチューをパンにつけて食べる。

「おいしい...!すごくおいしいよ!アビス!」

「お、そうか。口に合うならよかったわ。」

一瞬で食べきってしまったライラ。あまりにおいしかったのであろう。

「おかわりってある...?」

「おう、量は割と出来たからな。好きなだけ食え。」

久しぶりのシチューだったのであろう。一瞬で消えた。

「...一瞬で無くなった...だと...!?」

「おいしかったぁ~!ごちそうさまでした!」

「お粗末さんでした。」

後片付けもアビスが行い、洗い物もアビスがやった。

「アビスって結構効率いいんだね。こんなに効率のいい男初めてみたよ!」

「んまぁ一人でなにかとできないと不便だったからねぇ。これくらいならお手の物よ。」

こういうことでしか活躍できない分、気合を入れて作ってしまったらしい。

久しぶりに本気で作った結果、疲れて寝てしまうアビス。

「あ~...無理させすぎちゃったかな...?これは今日出発は無理だな...明日にしよ。」

「おやすみ。アビス。」

翌朝、最初に目が覚めたのはアビスであった。

速く寝た分、速く起きれるアビス。朝ごはんも作ろうとしたら、ライラが起きた。

「お、起きたか。すまねぇなぁ昨日は。久しぶりに腕を振るって疲れちまったよ。」

「ううん、大丈夫。それより朝ごはんなら私が作るからアビスは休んでて!」

「ん、わかった。一応言っておくが味には厳しいからな?」

ライラが朝ごはんを作るのを見てると怖くて思わず口を出したくなるのを必死に堪えて待った。

「おまたせ!できたよ!」

ちょっと見た目は悪いが、おいしそうな匂いがする。

「ん、いただきます。」

「...辛い。」

「え!?」

「辛いなこれ。塩どんだけ入れたよ。」

「スプーンに2杯くらい...?」

「曖昧じゃねぇか...そりゃ辛いな。卵料理は塩をスプーンに1/4で、素材の味を引き立てる方がおいしいぞ。」

見た目だけは悪くない卵焼き。しかし、見た目だけである。

「んまぁ見た目だけは評価してやる。見た目だけな。」

「頑張る...。」

「大丈夫だって。料理のスジは悪くないから練習すればできるさ。」

「うん!」

ライラを元気づけて、後片付けをする。

後片付けを終わらせた後に、もう一度旅に出る為の物を確認した。

「よし、んじゃぁいくかー!」

「最初の行く先はマーズガル領の王都パシフィス。」

「ライラ!それからそこの兄ちゃん!これ持っていきな!」

町人が食料を持ってきてくれた。

「わざわざありがとう!頑張るよ!」

「ありがとう。ライラのサポート、頑張るぜ!」

町人に手を振り、今度こそ旅へ出た。

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