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1話 夢の世界

朝起きて外に出ると、そこは夢の世界で英雄になった時と同じ世界になっていた。

「は?え?ちょま・・・どーいうことだこれ!?」

困惑する主人公。 近くの商人に話を聞いてみた。

「おっさん。ここはどこだ!?」

「ここは王都。王都アスタロトだ。おめぇ、見ねぇ顔だな。どっから来た?」

「日本だよ!!日本!ここ王都アスタロトってどこだよ!!!日本にそんなとこねぇだろ!!」

そう叫んだ瞬間、時が止まりアビスの中にいる手が心臓を奪おうとするが、一瞬で消える。

「はぁ?日本?日本ってなんだよ。ここの領地はルガル領と言って、亜人と人間が共存する王都なんだ。そして、ここルガル領の王こそ、アスタロト様なんだよ。わーったか?」

(ん・・・?王都・・・?ルガル領・・・?アスタロト・・・?)

いくら引きこもりニートの主人公でも話を聞いて一瞬で理解してしまった。

(オレ...異世界転移した...!?)

というよりかは、夢の中の世界が現実でおきてしまった、という方が正しい。

夢のなかでは自分が英雄設定であったが現実世界ではただの引きこもりニート。

働いたことすらないクズであった。

「とりあえず...どっかで情報を集めないt...うわっ!」

何者かがぶつかってきた。

「あ、ごめんなさい。」

「お、おい待てよ!」

主人公が叫んだなか、後ろから走ってきた女の子。

「あ、あの!この辺で走っていったツインテールの女の子みませんでしたか?私の大事なものが盗まれてしまって・・・」

「あーそれらしき奴にさっきぶつかられた。あっちの方に行ったぜー。というか手伝おうか?」

「お願いします!」

ツインテールの女の子を見つけひたすら走る主人公。

「そういえばキミの名前をまだ聞いてなかったね。オレの名前はアビス。よろしくな。」

「アビス...いい名前。かっこいいね!私はフェリス!よろしく!」

「フェリス...よろしくな。」

フェリス...主人公には聞き覚えのある名前だった。

しかし、思い出せない。なぜだろう。どこかで聞いたことがあるはずだと思い、足が止まる。

「アビス...?どうしたの...?」

「いや、なんでもない。悪かったな。急いで探そう。」

情報収集をしながら探していくと、彼女は貧民街にいることが分かった。

「貧民街・・・いわくつきの場所・・・。」

「ん?そんなヤバい場所なのか?」

「金目の物を持ってたら殺してでも奪うような場所よ。まさかそんな子に盗られるとは・・・」

「まじかよ・・・どーする?」

「どーするもクソも手伝うって言ったのはあんたでしょ?はい手伝う。」

「まじかよぉぉぉぉぉ。」

自分で手伝うと言ってしまったことを後悔するアビス。

しばらく進むと、ツインテールの子の家にたどり着いた。

「おいおい...本当にここの家なのかよ...。」

「らしいわね。さーてどこに行ったのかしら。」

「あんたたちそこでなにしてんの?」

ツインテールの子が叫ぶ。

「ここあたしの家なんだけど、要件は?事によっては殺すわよ。」

「要件だァ?なーにすっとぼけてんだ。てめぇが奪ったものをフェリスに返してやれ。」

ツインテールの子が言う。

「はぁ?なにも盗ってねぇよ!何言ってんだおめー」

「私の物盗ったでしょ!あなたが!」

「・・・!?ここにきてご本人様の登場かい...」

「悪かった。金がなくてこれを売り払ったらいい値段になると思ったんだ・・・ごめん...なんていうと思ったかァ!」

いきなりフェリスに切りかかろうとする。

「フェリス!あぶなぁぁぁぁぁい!」

アビスが飛び込もうとした時、フェリスの周りに眩い光が発する。

「...深淵に潜むものよ...徒名す者を微塵にしてしまえ...!ブラッディシャドウ!」

「うわあああああああああああああああああ!」

ツインテールの女の子がすさまじい勢いで吹っ飛ぶ。

「さて、返してもらおうか。」

「おい待てよ。なにもそこまでする必要はなかったんじゃないか?フェリス!」

「でもやらないとあたしが切られてた。」

「確かにそうだけど...」

「ここにあったか...さてと。取り返せたし、帰るか。」

「あんたもありがとねアビス。手伝ってくれて。」

「オレは何もしてない...役に立てなくてごめん。」

ツインテールの子が立ち上がる。

「ちょっと待った。あんたたちについて行ってもいいかい?」

「オレは構わないけど。仲間ほしかったし。フェリスはどーすんの?このまま行くとことかあんの?」

「ないけどこんなやつと一緒なのが嫌だ。だから帰る。」

「そっか。んじゃな。」

フェリスはそのまま帰路に。

「さっきは悪かったな。あいつあーいうやり方しかできないんだ。」

「いや、悪いのはこっちだし。何かしらお礼をしたいんだ。私はライラック!よろしくね!」

「オレはアビス。なにも出来ないがよろしくな。」

「あんたはどっから来たの?」

ライラックが聞く。

「いやーそれが...言い出そうとすると自分の中にいる手が心臓を奪いに来るんだ...。だから何も言えないんだ...すまんな。」

「ただ強いて言うなら....ずーっと東の方から来た...といえばいいのかな。」

「ふーん。あんたも大変なんだね。そうだ!うちに来なよ!しばらくは暮らせるし!一緒に旅しようよ!」

「お!まじか。ありがとう。いきなり旅って言われてもオレなにも出来ないし...足を引っ張るだけだぜ...?」

「別に気にしないよ!あたしはそこそこ強いから任せなって!」

強気にでるライラック。

とりあえず住まわせてもらえることになったアビス。

しかし、すぐに問題が発生。

「飯ってなんもないのか...?」

「そりゃそうだよ?ここ貧民街だよ?あるわけないじゃん。」

そう、冷静に考えるとここは貧民街。

今までも大したものは食ってないが、ここにきて忘れている事項。

それが貧民街。

まともにご飯があるとは到底思えない。

「仕方ない。今日は野宿か。」

「ちょっ!野宿って!」

「いいんだよ。女の子の隣で寝るなんてオレのプライドが許さねぇからな。」

「そんなの気にしないのに...」

「ライラは気にしなくても、オレが気にするの!」

「ライラ...?」

「あぁ。おめーのあだ名みてえなもんだよ。ライラックじゃ呼びにくいから、ライラ。」

「そっちのがかわいくない?」

「かわいいとか何言ってんの?さっさと寝ろよバーカ!」

「あれ?もしかして照れ隠し?かわいいとこあんねぇ。」

「あんまり調子に乗ってると、その命そぎ落とすことになるけどそれでもいいなら。」

「ごめんごめん。んじゃ、おやすみ~。」

こうして二人は寝た。

翌朝、アビスがライラにたたき起こされて、アビスが若干不機嫌になる。

「朝だあああああああああああ起きろおおおおおおおおおおおおお。」

「わーったわーった!起きるから上に乗るなああああああ!」

「ったく...とんでもないやつと仲間になっちまったぜ...。」

「さて、旅にはいつから出るんだ?」

「ん~そうだねぇ...明日か明後日くらいかな?」

「急だなおい...武器とか装備とか買えねぇしさ。筋トレはしてたけど人は殴らない主義だしな...。」

そう、この時点でアビスは何もできないことを明白にした。

確かにそうだ。20歳にもなって喧嘩すらしたことないアビス。仕事すらしていなかった引きこもり。体格的には申し分ないくらいのガタイ。

「アビスってガタイいいよね。なんかしてたの?」

「いや、オレなんもしてないよ。ただ家で鍛えてただけ。」

「家で鍛えてただけでそこまでなるか...?」

「んまぁライラは女の子だし。」

「それもそうだねぇ。」

「さてと、行くなら今日からにしようぜ。明日明後日って伸ばすのめんどくさいし。」

「そうだね。」

こうして、二人の旅は始まった。

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