8話 準備
フェリスとライラに言う。
「いいか~お前ら。今回アズラエルはめちゃくちゃ大事なポジションだ。死ぬ気でアズラエルを守るぞ!」
「わかってるって。」
そう言いながら王都へ行く用意をする。
作戦内容:まずライラとオレが王都へ入り込む。二人は裏から回っていてくれ。そしてライラとオレがトライヴと話してる間に合図をする。そしたらお前らがなんでもいい。入ってくれ。あとは好きにやってくれ。
という内容であった。が、正直ライラは裏に回したかったのがアビスの本音。
(ライラを裏に回すと、合図も関係なしにいきなり殺りかねないからな...。)
そんなわけでアビスとライラの組み合わせであった。
「んじゃ、王都へ殴り込みに行きますかね。」
「ちょっとまてアビス。今のお前は丸腰だろ?まだ王都へ行くのは早い。まだライラを探してるだろうしな。4日もあればお前に魔法くらいは教えてやれる。さすがにあと4日もたてば諦めるだろう。そんときを狙って入り込む方が得策だ。」
「たしかにそれもそうだな...。よし、そうするか。」
そんなこんなで4日後に潜入することになった。
「さてと、んじゃぁまずはアビス。キミの属性を調べよう。」
「頼むわ。」
「さて、まずは魔法の基礎からだ。」
「オレらみたいな魔法使いは自身の体の中にあるオーラの気を使うんだ。このオーラの気を制御できないと大暴発して、最悪の場合は1週間使い物にならなくなる。」
「次に、基本属性は6個。火、水、風、土、光、闇。」
「ふむふむ...。」
「そして基本属性を無視してそいつ自身の中に眠ってる属性が6個。炎、氷、嵐、雷、聖、冥。」
「ちょっとまて、火から嵐まではわかる。だがその後の雷ってなんだ。」
「雷は土の上位だな。これ初期から使えるやつ見たことない。」
「さて、そろそろ調べるか。」
「彼の者の属性を調べよ...アルケミー!」
ぽわぁぁぁぁんと音を出す。
「お~。なんか魔法みたいな効果音だな。」
「ほぉ。まーた何とも言えないなァ。アビス、お前は嵐だ。」
「お~。珍しいほうだな!」
「それがそうでもないんだよ。基本珍しいっていうレベルは氷、雷、聖、冥なんだ。この4個のうち珍しいのがさっきも言ったが雷。こいつを最初から使えるやつはまず見たことがない。」
「んで、アビスの属性の嵐属性だが...こいつは一番どうしようもない属性でな。まず妨害系がほぼない。攻撃面も微妙なものばかり。どちらかというと味方のバフ特化なんだよ。そしてバフ特化はオレでも出来る。だから微妙だと言ったんだ。」
アズラエルはそう述べる。
「でもアズラエル、お前確か近接も行けるって言ってたよな?」
「ん?まぁ出来るが...そんな期待するもんじゃないぞ。」
「いいんだよ。さ、簡単な嵐属性の奴でいいから攻撃魔法とバフ特化魔法を教えてくれ。」
「うい。了解。」
魔法習得の為に頑張ることになったアビス。もともと努力は嫌いじゃなかった。
やり始めてから3時間が経過した。
「エル...アグナルト...リ...テレス...リ...アムシアス!」
アビスが唱えた瞬間目の前にいたアズラエルにバフがかかった。
「おおおおおおおおおおお!できたああああああ!」
「喜ぶのはまだだ。攻撃魔法も教えるからそっちを頑張ってくれ。」
「へいへい。」
「嵐刃よ...我の呼びかけに応え、敵を討て!ウィンドクロウ!」
周りの風が嵐のように吹き荒れるだけだった。
「ダメか...クソッ。」
「そう簡単に出来てたまるか。オレの見込みでは攻撃魔法は2日。バフは1日の予定だったんだ。バフだけでも3時間でとれたのが奇跡に近い。それを喜ぶべきだ。」
「さて、今日はもう遅い。さっさと寝ろ。オレはまだやるべきことが残ってるからそれをやりに行ってくる。」
「やるべきこと?なんだそれ。」
「どっかの馬鹿のせいでオレが近接をやる羽目になったんでな。それの為に鍛え直すんだよ。」
「そうか...。すまんな。」
「なんで謝んだよ馬鹿野郎。そこはありがとうだろうが。」
と言い、アズラエルは部屋を出る。
(アズラエル...いい奴だな...。)
そう思い、アビスはベッドで横になり眠りにつく。