表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花鬼  作者: KATSUKI
61/132

第四章  14

 

 眼を開けると、オーマの貌が見えた。

 首をひねって後ろに眼を向けている。漆黒の眼は何を見ているのかわからない。

「オーマ――」

 声をかけると、オーマの眼がシアの方に向いた。漆黒の眼に光は無かったけど、どこまでも深い暗闇のような眼だったけど、表情は一瞬で優しくなった。

「寝ていていいよ」

「寝ていて欲しい?」

 オーマの眉が困ったように動いた。

 寝ていて欲しいのかな。

 眼は覚めたけど。オーマがそうしていて欲しいなら――

「じゃあ寝てる」

「ああ。おやすみ」

 オーマの眼が細くなった。

 笑ったのかな。ほっとしたようにも見える。

 オーマが望む答えを返せたのなら。シアはうれしい。

 くすり、と笑った。オーマが少し不思議そうな貌をする。

 たぶんオーマはシアが何も考えていないと思っているのだと思う。

 オーマはシアを子供あつかいするけど。

 シアはオーマが思うよりもオーマのことを考えている。

 オーマは何を好きだろうかとか。

 どんな時に笑うのだろうかとか。

 好きなひとのことを考えるように。

 愛しいひとのことをおもうように。

 自分のことよりも。オーマが大事。

 初めて会った時から。もしかしたら会う前から。オーマが大事だった気がする――

 どうしてかわからないけど。

 でもそれ以上考えていられなかった。眠くなってきたから。

 オーマの腕の中は温かくて――

 眼を閉じると気持ちよくて――

 眠りに落ちながらシアは思う。

 シアはしあわせだよ――




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ