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アオ  作者: 未知
第1章
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3/23

1-①

それが必然だったと気づいたのは、ずっと先のこと。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ねぇ、どうして?」


通学路である桜並木を通るのは今年で3回目。


高校3年目の5月。


桜はほとんど散ってしまっているが、新緑が芽吹き始めた木々の間から見える青空は、とてもきれいに見える。


「ねぇ、未知?」


「あ、ごめん…」


上を見ながらボーっとしていたので、隣にいた友人の凛が再度呼びかけた。


「もぅ、ちゃんと聞いてよね。」


いつものことながら、と言いたげに。


私、兼良未知(かねよしみち)の日課にもなっている、その日の空を見上げること。


それにつき合わせられること3年目に入る凛は、すでにこの状況に慣れっこだ。


「で、なんだっけ?」


空を見上げている間は意識が散漫になっているので、話はほとんど右から左に流れている。


「だから、西山君のこと。」


「あ…」


西山君とは、1か月前に凜から紹介された、男の子だ。


1度3人で会って、アドレス交換をして、そのあと2人でも遊びに行った。


楽しいと感じたし、優しい人。


ただ、1週間前から、連絡を絶った。


「ごめん…」


これも凜は慣れっこ。


何せこうして男の子を紹介してもらい、私がそれを絶ったのはこれで3回目。


「またか。で…?」


この『…』はわたしの理由待ちなのだろう。


「えっと…急に違うなって思い始めて…そしたら連絡とって相手に期待させるかなぁと」


これは、私のうぬぼれではない。


たぶん、次に会ったら…


「西山君、次に会ったら未知に告るつもりだったみたいなのに。」


(やっぱり…)


最後に会ったときに言われるかと思った。


けれど、世間でいわれる草食系に部類される彼は、結局何も言わず、翌日からもメールが続いた。


ダメだ。


そう思い始めたのはそのころから。


そう思うと、気持ちは急降下。


結局連絡を絶ってしまった。


「ごめん…」


凜には、そういうしかない。


今度こそ、大丈夫かと思っていたのに。


「ね、嫌から始まる恋は強いんだよ?」


これを言われたのも3回目。


けれども、1度として同意できない。


嫌ならば付き合あうこともない。


そもそも恋にはならないはずだ。


「…」


それもまた感じ取ったのか、凜が大きくため息をついて言った。


「じゃあ、西山君には別の子紹介するかぁ。未知は?どうする?次の人いっとく?」


交友関係の広い凜には、まだまだそのアテがあるらしい。


「ん~…今はいいかな。」


「そ。じゃあ、また恋愛したくなったらいつでも言ってよ?いつでも紹介しちゃうから。」


「うん。ありがと。」


そう言って凜とは別れた。


そうして一人になると、急に罪悪感に飲まれる。


また、やってしまった。


どうしようもない自分。


相手に期待を持たせて、それでも違ったと断るのならば仕方がないかもしれない。


けれど、自分の言葉で相手に言わず、そのまま逃げてしまう。


それが1番よくないことだとわかっていても


自分が悪者になりたくない


人から良く思われたい


それが人一倍強い私


もう連絡しないことが、相手を傷つけないはずがないのに。


逃げることは、傷つけることよりもよくないとわかっているのに。


それでも、自分の言葉で言えなかった自分が嫌で仕方がない。


罪悪感を抱く資格すらないように思う。


そうして、私は再び空を見上げた。


(きれい…)




私とは、大違いだ。



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