1-①
それが必然だったと気づいたのは、ずっと先のこと。
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「ねぇ、どうして?」
通学路である桜並木を通るのは今年で3回目。
高校3年目の5月。
桜はほとんど散ってしまっているが、新緑が芽吹き始めた木々の間から見える青空は、とてもきれいに見える。
「ねぇ、未知?」
「あ、ごめん…」
上を見ながらボーっとしていたので、隣にいた友人の凛が再度呼びかけた。
「もぅ、ちゃんと聞いてよね。」
いつものことながら、と言いたげに。
私、兼良未知の日課にもなっている、その日の空を見上げること。
それにつき合わせられること3年目に入る凛は、すでにこの状況に慣れっこだ。
「で、なんだっけ?」
空を見上げている間は意識が散漫になっているので、話はほとんど右から左に流れている。
「だから、西山君のこと。」
「あ…」
西山君とは、1か月前に凜から紹介された、男の子だ。
1度3人で会って、アドレス交換をして、そのあと2人でも遊びに行った。
楽しいと感じたし、優しい人。
ただ、1週間前から、連絡を絶った。
「ごめん…」
これも凜は慣れっこ。
何せこうして男の子を紹介してもらい、私がそれを絶ったのはこれで3回目。
「またか。で…?」
この『…』はわたしの理由待ちなのだろう。
「えっと…急に違うなって思い始めて…そしたら連絡とって相手に期待させるかなぁと」
これは、私のうぬぼれではない。
たぶん、次に会ったら…
「西山君、次に会ったら未知に告るつもりだったみたいなのに。」
(やっぱり…)
最後に会ったときに言われるかと思った。
けれど、世間でいわれる草食系に部類される彼は、結局何も言わず、翌日からもメールが続いた。
ダメだ。
そう思い始めたのはそのころから。
そう思うと、気持ちは急降下。
結局連絡を絶ってしまった。
「ごめん…」
凜には、そういうしかない。
今度こそ、大丈夫かと思っていたのに。
「ね、嫌から始まる恋は強いんだよ?」
これを言われたのも3回目。
けれども、1度として同意できない。
嫌ならば付き合あうこともない。
そもそも恋にはならないはずだ。
「…」
それもまた感じ取ったのか、凜が大きくため息をついて言った。
「じゃあ、西山君には別の子紹介するかぁ。未知は?どうする?次の人いっとく?」
交友関係の広い凜には、まだまだそのアテがあるらしい。
「ん~…今はいいかな。」
「そ。じゃあ、また恋愛したくなったらいつでも言ってよ?いつでも紹介しちゃうから。」
「うん。ありがと。」
そう言って凜とは別れた。
そうして一人になると、急に罪悪感に飲まれる。
また、やってしまった。
どうしようもない自分。
相手に期待を持たせて、それでも違ったと断るのならば仕方がないかもしれない。
けれど、自分の言葉で相手に言わず、そのまま逃げてしまう。
それが1番よくないことだとわかっていても
自分が悪者になりたくない
人から良く思われたい
それが人一倍強い私
もう連絡しないことが、相手を傷つけないはずがないのに。
逃げることは、傷つけることよりもよくないとわかっているのに。
それでも、自分の言葉で言えなかった自分が嫌で仕方がない。
罪悪感を抱く資格すらないように思う。
そうして、私は再び空を見上げた。
(きれい…)
私とは、大違いだ。




