They are an elder brother and a princess true to school Part.2
交差する物語はどんな終わりを迎えるのか…
~ザキ視点~
僕の目の前にいる人が、探してたお嬢様のお兄さん……でも、確かにお嬢様と同じ銀色だし、写真も持っていたし……シンさんかぁ、かっこいい名前だなぁ。
「お嬢様の兄様ですか……私達はお嬢様の現在の住んでいるセレス家の従者を務めさせて頂いています。私はエリーゼ・オルコットと申します。エリーと呼んでください」
「俺はアルイだ。楼那名があるが今はこの名前が気に入ってんだ。とりあえずそう呼んでくれ」
「ぼ、僕はザキだよ!」
とりあえず、僕たち三人は自己紹介をすることにした。そしてシンさんは小さく頷く。
「ふむ……時にお前ら。自分たちの『力』を実感したことあるか?」
「ど、どういうことですか?」
シンさんは僕たちに不思議な質問をしてきた。でも、僕には力なんて全然ないし、さっきだってシンさんに助けてもらったくらいだし…
「……その反応だと、自分たちの事がよく分かっていないようだな。まぁ、その件については追々説明するつもりだ。今はアンジェに会いたい。どこにいる?」
「それが、実はお嬢様は現在……」
その後、エリーはお嬢様が学園にいることと相対している敵の存在、そして現在の状況を全てシンに伝えた。
「……そうか。記憶を無くしてるのか……いや、無理もない。あんなことがあったからな……」
シンさんは小さな声で独り言ちている。でも、僕はお嬢様の真実を知りたくて僕はシンさんの服を掴む。
「ねえ。なんでお嬢様とシンさんは離れ離れになっちゃったの? 一体何があったの?」
僕がそう言うとシンさんは少しだけ暗い顔をする。
「……アンジェに会ったら、嫌でも教えるさ。それまで我慢してくれ」
シンさんは僕の頭をナデナデしてきた。うう~~。早く大人になってナデナデされない身長になりたい。
「とりあえず。アンジェちゃんが学園から帰ってくるまで、屋敷に来たらどうだ? 整理したいことがたくさんあるんだ」
「そうだな……俺もアンジェを匿ってくれた親父さんに会いてぇからな。なら、それで頼……!?」
言葉の途中で、シンさんが突然何かに感づいて僕たちとは違う別反対の方向を向く。
「……ど、どうかしたんですか?シンさん?」
エリーはシンさんに声をかけた、するとシンさんは険しい表情で口を開いた。
「……悪い、お前ら戦えるか?ちょっくら戦闘なるかも知んねぇ」
「な、なんでそんなことがわかるんだよ……」
アルイがそう尋ねると、シンさんはほんの少しだけ暗い顔で、まるで皮肉そうに笑って。
「……この『呪われた力』のせい、かな?」
その瞬間、一人の女の子が僕たちの方向へと慌てた様子で走ってきた。その子は目深に帽子を被っていて顔は見えなかったけれど、シンさん同様に髪が銀色なのが、すごく印象的だった。
「だ、誰か助けてくれ~!! や、奴らが来るのじゃ!」
……ず、随分と変わった口調の女の子だなぁ。するとその女の子が僕達を見かけて、すぐに背の高いシンさんの後ろに隠れてしまった。
「そ、そなたら! 妾を助けてくれぬか?」
まぁ、なんだかすごく困っているみたいだし、助けてあげたいんだけど……僕は戦えないんだよなぁ。
「困った人を助けるのがセレス家流って感じだからな……ま、任せな。」
そうして僕がしょんぼりとしていると、アルイは腰にいろいろと取り付けてあるパーツを流れるような手付きで組み立て始める。するとどういう事か一つの銃のような物が出来た。
「これが俺が初めて作った武器。その名もNo.0『ライフルショット』だ。安心しな、今回の銃弾はゴム弾にしておくからよ」
いかにも絵本に描いてある兵隊さんが持ってるような大きな銃だった。アルイってこんなのも作れるの!? 本当にすごいなぁ。
「敵にも敬意を払うか。しゃあねぇな……格闘だけでやってやるよ」
え!? またこの人素手だけで戦うつもりなの!? でも、それじゃあ、危険なんじゃ…
「まぁ、峰打ちだけどな」
そう言ってシンさんは手に持っていた袋に包まれていた何かを取り出す。するとそこには……刀が入っていた。
「え!?格闘なんじゃないの!?」
僕はそう言ったけれど、対するシンさん自身はすごく軽い口調で
「誰も武器を使わないなんて言ってねぇぞ? それに、早いとこ済まして屋敷に行きてぇし」
「あ、あんまり騒ぎにならようにお願いします……」
流石の二人の武器にエリーも焦ってる。そりゃそうだよ。こんな大きな街の、それも人がいる場所で銃と刀を持ってるんだもん。
「いたぞ! あの娘だ!!」
すると奥から何人もの燕尾服を着た人たちが現れた。その数……約6人。
「さて、いっちょやらせて貰うとするか」
そう言ってアルイは早速武器を構える。しかし、次の言葉で一瞬だけ、みんなの時間が止まった。
「相手はセレス家の娘だ! 従者達には気をつけろ!」
「「「……え?」」」
僕たちが困惑する間もなく、男達は全員ナイフや拳銃を持って向かってきた。それに対してシンさんは誰よりも早く、すぐに対応して刀を抜いて、ナイフを持って接近してきた一人を早速峰打ちしてしまう。
「おい。どういうことだよ! 今、アンジェは学園にいるんじゃないのか?」
「そ、そうだ! アンジェちゃんが学校に行った! ここに居るわけがねぇんだ!」
アルイはシンさんには少し出遅れたものの、直ぐに我に返ったようで攻撃を始めていた。男たちもこちらに圧されて、徐々に数を減らしていた。でも……じゃあ、この女の子は一体誰? 帽子で顔がよく見えなかったけど……
「わ、妾はアンジェなどという名ではないと何度言わせるのじゃ! 妾は……」
少し言葉を溜めて、その女の子は帽子を脱いだ。その時、僕はとんでもないものを見てしまったんだ。いや、嘘だと信じたかった。だって、その女の子は……
「ユナシェル・ラ・ウィズラード・ツェイベル!この国のミュルティールの姫じゃ!」
この国の姫様で……。そして、お嬢様にそっくり。いや、寧ろお嬢様そのものだったのだから……
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~アンジェ視点~
……なんで、この教室にクロウがいるのでしょう。でも、なんとなく私は分かりました。確かに、あのクロウがそう簡単に私だけを学校に行かせるわけがないですもんね。
そう、多分クロウは一日で学校の先生になる許可をもらい、先生をやっているのでしょう……でも、このためだけに先生になるとは。なんて人なんでしょう。
「ま、まさかクロウさんが……」
「……驚愕」
「なるほどね。担任なら私たちをずっと見ることが出来ると……でも、ここまでやる? 普通。ほんと怖い人だよ……」
流石に、セレス家の従者三人も信じられない顔をしている。そりゃ、信じられない顔するでしょう。さっきまで一緒にいて、執事をやっていた人が、今は先生をしているのですから。
「皆さん? どうかしましたか? 私の顔になにか付いているでしょうか?」
とぼけるようにニッコリと笑い。私たちを見てくる。しかし、私はこれはアイコンタクトだとはっきりと分かりました。何のアイコンタクトか? それは……
「皆さん……あの人のことは『先生』と呼ばないといけませんよ。いいですね?」
こっそりと伝えた、その言葉で全員は伝えたいことが分かったのか、話を合わせた。
「先生……分かりました。アンジェお姉ちゃん」
「……承知」
「まぁ、分かったよ。先生ね」
セレス家従者一行はそう言った。そして私のお友達である、ルリちゃんとレンリちゃんは……
「……あなたがたの執……いや、言わないでおきますわ。あの『先生』の計画のためにも」
「本当に面白い先生の気がしますね……フフ」
二人ともそう言ってくれた。少し安心しました。
「さて、皆さん。ここに並んで自己紹介をお願いします。まず、『アンジェリカ』さんから」
……クロウが私のことをお嬢様って呼ばないのは嬉しいけど……どうせ屋敷に戻ったらお嬢様に戻るんだろうなぁ。なんだか悔しい。屋敷でもアンジェって呼んでくれればいいのに……ううん、嘆いたって仕方がない。私は気を取り直して自己紹介をする。
「私はアンジェリカ・フェリシティ・セレスと申します。この街から少し向こうの森にある屋敷に住んでいます。一応貴族ですが……皆さんとはそんなのは関係なく友達になりたいので、よろしくお願いします」
私はそう言ってペコリと一礼をした。するとクラスの皆から盛大な拍手をもらいました。なんとか貴族と言う事をアピールしたような気がします。でも、やっぱりちょっと恥ずかしいかな……。そして、私に続いてシカちゃんとアズキちゃんが自己紹介をする。
「篠崎然って言います! シカと呼んでください! アズキちゃんと双子で私が姉です。あ、アズキちゃんはあんまり喋れないので許してくださいね? 私達の特技はマジックですので、見たいって方はどうか見にいらしてください!」
「……よろしく」
いつもの如く、息がピッタリ合ってますね。さすが双子といいますか……。そして次はメムちゃんの自己紹介。
「……カナリア・ゴーランド・ロイド。カナリアって呼んで。……まぁ、宜しく」
メムちゃんもある意味、いつも通りと言うか……みんなに本名教えればいいのに。まぁ、仕方がないですよね。次にルリちゃんの自己紹介。
「ルリーナ・ハレスク・ラヌマードですわ。アンジェさん同様に、貴族の娘ですわ。宜しくして差し上げます。」
つんけんとした口調に、何人か戸惑っていたのか少しだけ皆と比べて拍手が少ない気がした。全く、ルリちゃんは素直じゃないんだから。最後に、レンリちゃんに順番が回ってくる。
「レノ・ヴィヴィアン・リュシエールと申します。レンリと呼んでください。私も貴族の娘でアンジェとは昔からの友人なんです。学校のことは、まだよく分かっていませんが……どうかよろしくお願いしますね」
レンリちゃんが深々と頭を下げると、最後にたくさんの拍手が来た。多分これは全員に対しての拍手なのかもしれない。これからこの人たちと一緒に授業を受けるんだ……そう考えると、すごく楽しみです。
「それでは、各自席に座ってください。それぞれ机に名前を書いてありますので、そこにお座りください」
私たち全員は「はい」と応えてから、指定された席に向かった。私の位置は窓側……つまり教卓からみて、一番右の後ろから二番目。シカちゃんは私の前で、隣はアズキちゃん。後ろがメムちゃんだった。
ルリちゃんとレンリちゃんは私たちとは少し離れていたけれど、十分会話ができる距離だった。とりあえず、私は自分の席に移動する。……その時、私は少し気になる女の子を見つける。
「…………?」
その子はずっと窓の外を見つめていて、一切みんなの会話に入ろうとしていない。そして、その子の目はまるで…言ってはいけないと思うけれど、目が死んでいると例えられるような状態だった。そして首元には、何やら機械のような物を装着している。
「アンジェお姉ちゃん、どうしたんですか?」
「……興味?」
私はつい、ずっと立ったままその子を見ていたようで、不思議そうな表情を浮かべたシカちゃんとアズキちゃんが心配をしてくれた。
「い、いえ! 何でも……」
そう取り繕って、私は指定された席に座る。
(……後で声を掛けてみましょうか。やっぱり、気になりますし)
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「以上で説明は終了です。これから休み時間となるので、その間に皆さんとたくさんお話をしてくださいね。それでは」
そう言うと、クロウは教室から出て行った。次の瞬間、クラスのみんなが私たちのに集まってきて、質問攻めをし始める。
「シカさんとアズキさんって双子なの!? しかも楼那人なんでしょ!? 黒髪っていいなぁ」
「アンジェさんって髪の毛って綺麗だね~! 貴族の娘さんてどうやって手入れしてるの?」
「メムさんって飛び級なんだって!? すごいなぁ~」
さすがの人数の質問攻めに全員が困惑してしまったようで、思わず顔を見合わせる。
「あはは……学校って本当にすごいですね」
「……お、多い」
シカちゃんとアズキちゃんも苦笑いをするしかないようで、一つもきちんと聞き取れないのか、話すことができないみたいです。
「静粛にしてくださらないかしら! そんなに質問責めされても、答えられませんわ。質問するなら一つ一つ言いなさい」
そのルリちゃんの一声で質問攻めしていた全員が「は~い」と答えて、幾らか喧騒が静まる。
「しょ、初日から大変ですね…………?」
少しだけ肩を竦めて、そうぼやいた後、私はちらっと首に機械が付いてる女の子が座っていた席を横目に見る。すると、その女の子は一人でに教室から出ていき、そのままどこかへと立ち去ってしまった。
「あの子は、一体……?」
首を傾げて、そう呟いた私の見ている方向に気づいたらしい一人の女子生徒が、私へと声をかけてきた。
「もしかしてアンジェリカさん、シリルさんのことが気になるの?」
「シリル? それがあの子の名前ですか?」
その女子生徒はこくりと頷く。
「まぁ、正確にはシェリルさんって言うんだけどね。でも、あの人。いつも隣のクラスの生徒にいじめられてるって話なんだよね……」
いじめ。その言葉に、反応しない私ではない。私は一瞬で席を立って人の海を掻い潜り、そのまま教室から飛び出す。当然、そのシリルという女の子を追いかける為に。
「あ、アンジェ!?」
「アンジェさん!? 抜け駆けですの!?」
「ふぇ!? どうしたんですか!?」
「……どこへ」
「全く、猪突猛進というか……」
私は全員の言葉を無視して走り出した。ごめんなさい、皆さん。後でちゃんと理由を教えますから……と、そう思いながらも数十秒走ると、シリルと呼ばれていた女の子を見つけた。
しかし、その他にも3人くらいの女の子がその子を囲んで何やら話している。とりあえず階段の傍に隠れて様子を見てみることにした。
「それでシリル。今日も持ってきてくれた?」
「ひっ! う……うん」
その子は恐る恐る小さな袋を一人の女子生徒に渡した。中身を確認するようにひっくり返された袋、その中にはなんとお金が入っていた。しかも、かなりの量が。……もしかして、脅迫でしょうか。
「……これしかないの? 以前もらった時より全然入っていないようだけどさ」
「ひ、ご、ごめんなさい……それしか、もう無くて……」
その袋の中身を見た生徒が睨みつけるようにしてその子を見る。それを恐れて謝ることしか出来ないようで、身体を小さく縮こまらせている。
「……アンタ、誰に向かって口きいてんの?」
「ひっ!!」
その言葉でビクッと震え、怯える。隣にいる二人もにやつきながら、「そうだ、そうだ」と言って詰る。……見ていられません。すごくかわいそうで……
「んじゃあさ、その機械売ればいいじゃん。そうすればお金渡せるわけだし」
「!! ッそ、それだけは…」
その子は今にも泣きそうで……もう、我慢できません。
「何をしているんですか! あなたたち!!」
私は大声で叫び、その人たちのところへと歩く。流石に私も、これ以上の行為は許せなかったから。
「……誰よ、あんた?」
……この人が、リーダーのような存在でしょうか。殆ど、この人が命令をしているような雰囲気でしたから。
「私は今日、この学園に入学したアンジェリカと言います! この子に何をしているんです!!」
しかし、そのリーダーらしき人はニヤニヤと笑いながら私に話しかける。
「別にぃ? ただ、この子が私たちにお金をくれるっていうから貰ってるだけ…ね? シリル」
「…………」
その子の体は、まだ震えている。怖いのでしょう。よほどいじめられていたのが目に見えます……
「そうですか……言っておきますが、見え透いた嘘を吐いてヘラヘラと笑っている人は最低極まりないですよ?
そして、私もそのような人は許せない。もし、次にこんなことがあったら…覚悟しておいてください」
強い口調で言い切った。その言葉にいじめっ子三人組は少しだけ怯んだように後ずさる。
「な、何こいつ……」
そのとき、廊下の奥から一人の先生らしき人影が見えた。それを見た二人のいじめっ子はリーダーらしき女子に話す。
「や、やばいよルチア! 先生が来た!」
「急いで逃げよう!?」
ルチア。どうやらそれがリーダーの名前ですか。しかと覚えておきましょう。
「わ、わかってるわよ! ……ふ、ふん。これくらいしかお金入ってないなら、いらないわよ!」
そう言ってルチアさんはお金を私にポイッと投げつけ、何処かへと逃げて行ってしまった。
「……ふぅ。大丈夫ですか?」
「ヒィ!? ご、ごめんなさい!」
……あまりに怯えていたから、心配だったので一声かけてみたんですが……ここまで弱気だとは。
「あ、謝らないでくださいよ。そこは……」
そう言いながら、私はシリルちゃんの両手を優しく握る。
「ありがとうって言って欲しいです」
私はいつもの笑顔で振舞う。するとその子も落ち着いたのか震えもなくなり、少しモジモジしながら私に話しかける。
「あ、ありがとう……助けてくれて」
「いえいえ。あ、私の名前はアンジェリカ……ってさっき自己紹介しましたね。私のことはアンジェと呼んでください」
すると段々その子も私に徐々に話しかけてくる。
「あ、アンジェさんですか……わ、私はシェリル。シェリル・ラルム・エーテリア。皆からシリルって呼ばれてる……」
なるほど、だからシリルなんですね。ちょっと理解できて嬉しいです。
「はい。よろしくお願いしますね」
こうして、簡単だけれど自己紹介が終わった。……しかし、その首についてる機械がやはり、気になる。教えてくれないかも知れないけれど、ダメ元で聞いてみることにした。
「ところで、シリルちゃん。その首についてる機械ってなんです? 見たところ普通の機械ではなさそうですが……」
「? ……こ、これのこと? これは……私にとって、とても大事なものです。これを外すとほら……」
そう言いシリルちゃんは機械の留め金を外し、私を見て眉を下げて、困ったような表情で口をパクパクと動かす。
「…………」
多分この時、普通なら何も聞こえず、パクパクと口を動かしているだけにしか思えないでしょう。
でも、私だけは違ったんです。
「喋れなくなる? ……えっと、私には普通にシリルちゃんの言葉が分かるのですが……」
私がそう言うとシリルちゃんが物凄く驚いた顔で私を見る。まるで私が不可思議なことを喋ったかのような表情を。
「あ、いた……アンジェー!」
丁度、そのとき。メムちゃんたちが私を探しに来てくれたのか、私の前に現れた。シリルちゃんは突然人数が増えたからか、びっくりして私の後ろに逃げるように隠れて、再び首へと機械を巻き付ける。……それに関してはまた今度、話でもしましょう。
「全く、急にどこかへ行くんですから! 心配しましたよ~!」
「……危険」
シカちゃんとアズキちゃんが私に初めて注意するような口調で話してくれた。これはある意味嬉しい。でも、注意されたんだからちゃんと反省しておかないと……
「ところで、後ろにいるのがシリルという子なんですの?」
「え……、ええと……」
ルリちゃんの言葉に今にも泣き出しそうな表情をしている……これは私が合わせるしかありませんね。
「だ、大丈夫ですよシリルちゃん。この人たちは私の友達ですから」
そう宥めるように声をかけると、それから数秒経った後ではあったものの、ゆっくりと頷いた。きっと、味方だと理解してくれたのだろう。
「と、とりあえず教室に戻りましょう。ここで立ち話もなんですし」
「アンジェの言うとおりね。一旦戻りましょうか」
私の言葉にレンリちゃんが賛同をしてくれて、みんなで一緒に教室に戻ることにした。
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「さて、話を戻しますけど……あの方たちは一体誰なんです?」
私たちは教室に戻り、とりあえず机を円で囲むようにしてみんなと向き合えるように座った。そして全員分の自己紹介を改めてした後、私は本題に入る為に言葉を切り出した。するとシリルちゃんは少々怯えながらも説明をしてくれる。
「えと……あの子たちは、貴族の子で……私が没落した元貴族という理由で……いじめ……ていて」
没落。その言葉に一番反応したのは私であった。
「……何があったんですか?」
シリルちゃんは暗い顔をしながらも、私たちに教えてくれた。
「小さい頃に……両親が亡くなったんです。事故で……それで、後を継げる年齢じゃなかったから、そのまま……その事故で私の喉も潰れて……声も出なくなって……」
なるほど、そのための機械だったのですか……しかし、それならなんであの時、私はシリルちゃんの言葉が理解できたのでしょう? まぁ、今あまり気にすることではないかもしれませんね。それより、私が許せないのは……
「……そんな理由を知らず、いじめをしてるなんて。同じ貴族として恥ずかしいです」
「確かに、そうね……」
「そうですよ! アンジェお姉ちゃんを見習って欲しいです!」
「……同意」
シリルちゃん以外のみんなが大きく頷く。やはり、思いは一緒ですね。
「ありがとうアンジェ……私の為に怒ってくれて」
するとシリルちゃんは少々ぎこちなかったが、私に微笑んでくれた。やはり悲しい顔を見るよりも、笑顔のほうがいいですね。
「当然です。困っている人を助けるのが今の私の勤めなんですから……」
「? ……勤め?」
あ……いけない。いくら友達と言えど、こんなことを教えて危険な目に遭わせるわけにも行きませんし……
「私たちはいま、重大な使命を背負っているんです。その使命を、みんなで協力して立ち向かっているんですよ」
レンリちゃんが濁して説明をしてくれた。ありがとうございます。
「……そうなの?」
「え、ええ。そうなんですよ」
私も少々焦りましたが、レンリちゃんに重ねて言う形で落ち着いて対処をすることが出来た。
「……成功できればいいですね、その使命って言うの」
シリルちゃんは、笑顔で私たちを応援してくれた。段々とシリルちゃんは私たちに、確実に心を許してくれている。もっとシリルちゃんと友達になりたい……そう思いました。
私は嬉しくて満面な笑顔でシリルちゃんに「ありがとう」と言葉を返す。そのとき、タイミングを見計らったかのように鐘が鳴り始めた。多分、これが授業が始まる鐘なのでしょう。
「さて、皆さん。授業が始まりますよ~」
その鐘と共に、クロウも教室へと入って来た。これは席に戻らないと……
「先生がきましたね。これから初授業ですね!」
「……楽しみ」
シカちゃんたちは足早に自分の席へと戻っていってしまった。早いですね……
「……どんな授業なんだか」
そう言ってメムも自分の席に戻った。更にはルリちゃんとレンリちゃんも、いつの間にか席についていた。仕方がない、私も席に……と、その前に。
「あ、シリルちゃん。今日のお昼一緒に食堂に行きませんか? 私食堂の人気メニューとか知らなくて…」
「うん。いいよ。此処の食堂の料理、すごく美味しいから」
シリルちゃんは笑顔で承諾してくれた。そうとなれば、お昼休みがすごく待ち遠しいです……
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さて、昼休みまでの授業内容を説明しましょう。最初に私たちが受けた授業は外国語の勉強でした。クロウが楼那人と言うことで楼那語を勉強をしました。そしてシカちゃんとアズキちゃんも楼那人。たいぶクロウにからかわれていましたが、それでもシカちゃんとアズキちゃんはクラスの皆からたくさんの拍手を貰っていました。二人は少々照れていたようですが……まぁ、そういった感じで授業が終わり現在、昼休みに至るという感じです。
「うう~~。先生、容赦がないですよ~~」
「……鬼」
「まぁ、それでも良かったじゃん。早くもクラスの人気者になれそうで」
メムちゃんがそう言うと二人が少々悔しそうな顔をしながら「む~」と唸っていた。ものすごく可愛かったです。
「目的を忘れてないなら何も言いませんが……気の緩み過ぎは危険ですわよ?」
「アンジェたちなら大丈夫でしょう。あんまり心配することじゃないですか」
ルリちゃんとレンリちゃんもゆっくりと私たちに近づき、いつものメンバーが揃う。でも今、この時間にはもう一人メンバーがいるべきことを忘れてはならない。
「さて、シリルちゃん。一緒に食堂に……」
私はシリルちゃんを誘おうと席を見たのだけれど、そこにはシリルちゃんの姿は見当たらなかった。机には何も乗っていなくて、すっかり綺麗になっている。既に食堂に行ったのでしょうか? しかし、そんな通りかかった同じクラスの生徒がかけてくれた言葉で私に嫌な予感が過ぎる。
「シリルさん? それならさっき、トイレでいつもの三人組に話しかけられてたけど……」
「ッ!? し、シリルちゃん!」
私はすぐに追いかけようと走り出そうとしたが、レンリちゃんに腕を掴まれ、止められた。
「は、離してくださいレンリちゃん! シリルちゃんが!!」
「分かってますっ! だからって、一人で突っ走らないで……みんなで行動してください! あなた一人で、なんとかなるようなものではないのでしょう!?」
私はその言葉でピタッと止まる。確かに私一人でなんとかなる訳、ないですけど……
「……落ち着いてアンジェ。ハイ、深呼吸……」
メムちゃんが私の手を掴んで、気を落ち着かせてくれた。私はメムちゃんに従い、一回、二回と深呼吸をした。
「手分けして探したほうがいいと思います! その方が見つかりやすいと思うし」
「……同意」
確かにその方が簡単に見つかると思いますけど……もしもの事があったらの場合も考えなければいけませんし……
「それでは……アズキちゃん、私と外で一緒に探してくれませんか?」
「……私?」
私はアズキちゃんと一緒に探したほうがいいと思った。理由はアズキちゃんのマジックを考えての作戦である。アズキちゃんのマジックは物を移動させるマジック。それがあれば何かあった時に備えると思ったからだ。しかし、シカちゃんは少しだけ困ったような表情を浮かべていた。
「あ、アズキちゃんだけですか……大丈夫ですか? アズキちゃん」
「……多分」
……? 何が大丈夫なのだろうか。ちょっと気になるところではありますが……まぁ、アズキちゃんが大丈夫と言うのなら問題はないでしょう。
「それでは早速ですが、行きましょう!」
そう言って走り出そうとしたとき、突然シカちゃんが私を止め、声をかけた。
「あ、アンジェお姉ちゃん!あ、アズキちゃんを『よろしく』お願いしますね!」
「わ、分かりました…」
つい分かったと行ってしまいましたけど……一体、何の事なんでしょうか。そういえば、シカちゃんとアズキちゃんが離れているのを見るのは初めてになりますね。普段はシカちゃんがメインで喋っていたんですけど……はたしてアズキちゃん一人になると、どうなるんでしょうか。ちょ、ちょっと話しかけてみようかな……?
「あ、アズキちゃん? 本当に一人で大丈…夫…?」
その時、私が見た光景は今でも記憶に残っている。あの、いつも無表情で泣くことすらなかったアズキちゃんが。
「う……うぅ…………」
今にも泣き出しそうな表情をしていた。
「あ、アズキちゃん!? い、一体どうしたんです?」
アズキちゃんは私の制服の袖を掴んで一向に放そうとしない。それどころか、ずっと私にひっついて来ている。そして、そのアズキちゃんがやっと口を開く。
「ご、ごめんなさい、お、お姉ちゃん……シカがいないと、いつもこうなって……寂しくって」
……も、もしかしてシカちゃんがいないと「寂しさ」が一気に感情に出てしまい、泣き出すってことなのでしょうか……? そ、それでも二人でもう教室を出てしまいましたし…
「て、手を繋いでいきましょうか? その方がいいでしょうし……」
アズキちゃんは頷き、自分から私の手を握ってきた。こんな状況でいうことではありませんが、すごく可愛いです。まさか一人になるとこうなってしまうのは予想外でしたが……。私たちはその状態のまま外に出ました。校門から出てはいけないので、とりあえず、入り口付近で止まり、辺りをキョロキョロ見回してみる。グラウンド……まぁ、そんな誰でも見える場所に行くわけがありませんし、どこかで隠れて何かをしているはずです。きっと何か個室的なものが……
「お、お姉ちゃん……」
アズキちゃんが私の手をグイグイと引っ張る。なんか迷子になった子供と手を繋いでるみたいです。
「ど、どうしたんです? アズキちゃん」
するとアズキちゃんは遠くにある一つの小さな倉庫らしきものを見つけたようで、そこを指差す。そこは少しだけ扉が開いていて、なにやら如何にも怪しい雰囲気が漂っていた。
「あれ……怪しいよ?」
「……確かに怪しいですね。ちょっと見てくるので、ここで待っていてくれませんか?」
今のアズキちゃんを引き連れたままだと、何が起きるかわかりませんし……かと言ってアズキちゃん一人では今の状況は、危険すぎる。ここは私だけ行った方が対処しやすいと思ったからです。
「……うん。すぐ来てね?」
私はアズキちゃんの頭を撫でてから、ゆっくりと倉庫に近づいた。恐る恐る少しだけ空いてる扉から覗いてみると……
(……やはり、いましたね)
そこには、さっきのルチアさん率いるいじめっ子三人組と、シリルちゃんがいた。
「……さっきは邪魔者が入ったけど、ここなら流石に来ないでしょ」
「な、なにか……」
懲りない人たちです……まぁ、もう少し様子を伺いましょう。
「なにって? あの転校生。友達にでもなったの?」
「え……えと……う、うん……」
怯えながらも、シリルちゃんは答える。しかしルチアさんは、そのシリルちゃんを見て馬鹿にするように喋る。
「なに友達とかになってんの? あんた貴族じゃないくせにさぁ」
「っ!? うぅ……ううぅ」
その言葉に、シリルちゃんは蹲って泣き出してしまった。これはもう許せない。一刻も早く助けたいけど……とりあえず、アズキちゃんを……
「ううう……シカぁ……!」
「っ!?」
アズキちゃんがついに寂しさが爆発してしまい、かなり大きい声で泣き出してしまった。こ、これはまずいです! 今のでバレてたら……
「……今の、何? ちょっと見てきて」
ルチアさんが一人の仲間にそう指示して扉に向かわせる。こ、この状況は本当に危ないです……かくなる上は。
「アズキちゃん! 今すぐ誰でもいいですから、私とシリルちゃんが此処にいることを教えに行ってください! 今すぐにです!!」
そう言い、私はものすごい勢いで扉を開けて中に入る。それを見たアズキちゃんは涙を拭いて大きく頷いた後、急いで学園の中に戻っていった。
「……何よ、あんた。また邪魔するつもり?」
「ア……アンジェ……」
もう、コレに賭けるしかありません。アズキちゃんが誰かを連れてくるまで時間を稼ぐ。我ながら危険すぎる作戦だ。……それでも。
「シリルちゃん。助けに来ましたよ」
それでも守りたいものがあるから……
「……あんたさ。何でこんなやつの味方するの? おかしくない?」
「相手の事情も知らず。人を侮辱するのが許せないんです。私は、その為なら……戦います」
そう言って、私はルチアさんを睨む。しかし彼女はヘラヘラ笑っていた。
「おお、怖い怖い。でもさ、ここ校舎の中じゃないしさぁ? どうせ、あんたらの仲間が来ても怖いものなんてないんだよねぇ」
そう言って、彼女とその仲間たちは拳を強く握り近づいてくる。……しまった、アルイさんからもらったナイフがあればなんとかなるかもしれないけど……着替える時に外してしまった。
(…………アズキちゃん。お願い、急いで)
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一方、アンジェに言われるままに校舎の中へと戻ったアズキはずっと学校を走り回り、みんなを探していた。
「う……ううぅ…………お姉ちゃん」
今の自分では何もできない悔しさが、だんだん涙となって出てくる。……でも。アンジェを助けたい。その心が足を動かすのだった。そのときアズキはついに、見つけた。
「っ! カ……カナリアちゃん……!」
そう、カナリア……いや、メムリアだった。他を探していたのであろうメムリアはそのどこか雰囲気の違う違うアズキに驚きながらも反応をする。
「……ア、アズキ? ど、どうしたの?」
「ア、アンジェお姉ちゃんが! そ、倉庫で!」
その瞬間、メムリアに脳裏に嫌な予感が……過ぎった。
「その場所! すぐに教えて!」
「で、でもみんな探さないと……」
アズキはそう言ったがメムリアはアズキの肩を掴み、真剣な目でアズキを見る。
「私を、そこら辺の『一般人』と一緒にしないで。私なら大丈夫から」
「う……うん…………」
アズキはその言葉を信じ、そのまま倉庫へと案内した。
「アンジェ……ほんとに無茶をするんだから!」
そして、すぐに倉庫に付いた二人。たじろぐアズキとは反対に、メムリアはためらいもなく思いっきり扉を開ける。その時メムリアとアズキが見た光景は……
「……メ、メムちゃん?」
あのアンジェが傷だらけになっていて……服も、ボロボロになっていて。そして苦しそうな顔……二人にとって辛い場面だった。
「何、あんたら。外で遊ぶ道具でも取りに来たの? 今取り込んでるからさ、消えな」
「……へぇ、そう見えるんだ。低能だから?」
「ア、アンジェお姉ちゃん……」
アズキはついにボロボロと泣き出してしまった。しかし、メムリアは怒りが抑えきれずにアルイからもらった武器を構える。
「もしかして、あんたら……こいつのこと、助けに来たの? どうも、あんたらの関係って馬鹿ばっかだよね」
「人のことも考えず、こうしてるアンタらの方がバカバカしいけど?」
ルチアの挑発にも乗らず、逆にメムリアがルチアを煽っていた。だんだん喧嘩腰になり始めようとするとき、アンジェが小さく声を出す。
「や、やめて……友達に手を出すのは、やめて……」
しかし、ルチアは舌打ちしてアンジェを見る。そしてアンジェに近づき耳元で喋る。
「この際だから、あんたに教えておくけどさぁ……人間、そう甘くないんですよ。食うか食われるかです。そんでぇ、かわいそうなシリルちゃんは、その世界で負けたんです。どんな理由があろうと、なかろうと。つまり……シリルちゃんが負け犬の雑魚だったってだけのことだよ」
その言葉を理解した瞬間、アンジェが絶望に満ちた顔を浮かべて、蹲る。それを見たメムリアはもう我慢ができなくなった。
「アンジェ、シリルちゃん、アズキ、……ちょっと離れてて。此奴ら、クズとかいうレベルじゃない。最悪だ」
そう言ってナイフを握り締め、近づこうとした。……その時だった。
「…………許さない」
「……アンジェ?」
蹲っていたはずのアンジェが突然発した言葉で、メムリアが動きが止まった。そして、アンジェの様子はそれ以上に、どんどんおかしくなっていく。
「許さない……許さない許さない許さない許さない許さない許さないユルサナイユルサナイ」
するとアンジェの体から何か真っ赤な……煙のような……まるで、闘気のような赤色の何かが見えた。
「………コロス……コロス……」
アンジェがずっと下を向いた状態で、ゆっくりとルチアに近づいていく。
「な、何こいつ。こ、来ないでよ……」
突然の変化により、ルチアも戸惑っている。しかし、それでも何も言わずにアンジェはルチアたちへと近づいていく。
「――みたい……ア、アンジェ。落ち着いて。殺して、どうなるの」
メムリアはアンジェの腕を掴み、止めようとする。しかしアンジェは制止を振り切り、それでも行こうとする。
「ア、アンジェお姉ちゃん……どうしたの?」
アズキもアンジェの異変に気づき、声をかけるがアンジェはやはり反応しない。そして。
「……ジャマ」
アンジェの声ではない何かがアンジェの口から発せられ、メムリアを攻撃しようとした。その時だった。
「すみませんが、お嬢様。少し休んでいてください」
いつの間にかクロウがその後ろに佇み、アンジェの首へと手刀を叩き込むと、その身体から出ていた闘気のようなものが一瞬にして消えて、前のめりに力なく倒れ込む。
「せ……先生?」
「はい。みなさんご存知。先生ですよ?」
そういってクロウはアンジェを姫様抱っこをする。そしてルチア率いる三人組に近づく。
「みなさん。こんなところで遊んでちゃダメですよ? 特に、そこの三人。今度こんなことがあると分かったら、次は……死んでしまいますよ?」
「ひ……ひぃいいいいいい――――!!」
微笑んだクロウから漂うのは、言い得も知れぬ……恐怖。その言葉を聞いた三人組は、倉庫から飛び出るようにして逃げていった。
「……さて、皆さんお怪我は……ってお嬢様だけですね。申し訳ございません、お嬢様。執事長であるこの私が何たる様を……」
「先生……いや、クロウのせいじゃないよ。とにかく今日は学校早退することにしない?」
「アンジェお姉ちゃん……心配です……」
クロウ、メムリア、アズキがで話しているところをシリルはポカン、と見ているしかなかった。
「も、もしかして皆……アンジェの……」
「あ! いました! 皆さ~ん」
シリルが声をかけようとした瞬間。シカがクロウ達を見かけ、走ってきた。
「……シカァ――――!!」
アズキがシカに思いっきり飛び込んで泣き出してしまった。シカはとても戸惑ったが、とりあえずアズキの頭を撫でる。
「い、一体何があ……ってアンジェお姉ちゃん!? ど、どうしたんですか!?」
シカがボロボロになっているアンジェを見て焦り出す。あれを、セレス家のみんなが見たらどうなっていたんだろう……
「お嬢様は今の所は大丈夫です……それより、どうかなさいましたか?」
シカは目的を思い出し、慌てながらも答える。
「じ、実は今ザキ君たちから報告が来て……アンジェお姉ちゃんのお兄さんが見つかったって」
「おや、そうですか。それでは学園は早退ですね」
そしてシカはまた口を開き、報告を続ける。
「あ、あと。も、もう一人のアンジェお姉ちゃんを見つけたって……」
『……え?』
まだ……すべての真実が明らかになるのはもう少し先になりそうだ。
レンリ「さて、ついに私たちが次回予告をするのですね」
K「……お喜びになるのはいいのですが、しっかりやることはやりましょうね。レンリお嬢様」
レンリ「もう、それならKさんも私以外の人に慣れたらいいのに……」
K「そ、それは無理です。……もしも、ここに誰かが来たら私は……」
シリル「あの……ここが次回予告を言う場所だって言われてきたんですけど……?」
K「ヒィッ!! ………………」
レンリ「……えーっと。さて、集まったことですし次回予告をしましょうか……」
次回!第8話!『Lost memory and Hidden truth(失われた過去と隠された真実)』お楽しみに!
アンジェ「あなたも、私の従者になりませんか?」