For going home, it meets by magic
これでもかなり戦闘入れたと思うんだけどなぁ
~アルイ視点~
クロウの喋った発言により、皆が息をしていないように静まる。しかし、それぞれ違った顔をしているのが見えた。アンジェちゃんはため息を付けて冷や汗をかいていた。エリーはすごく喜んでいて手帳に何かを書いている。ザキは普通の顔をしている。ここでは一番ザキがいい顔をしているのかもれない。ヨルちゃんは緊張のあまりガタガタ震えている。そして新しく庭師として働くコガネというおっちゃんがさっきからニヤニヤしている。この人、この状態を楽しんでやがる。俺はまぁ、焦ることなく普通なんだが旦那様ということはここの家主が帰ってくるのかぁ。俺としては若干楽しみかな。しかもアンジェちゃんの妹にも会えるってんだし、また賑やかになることはいいことだと思う。
「それで、帰って来る前に少々準備したいことがあるんですよ」
「準備って?」
アンジェちゃんがそう言うとクロウは少しニヤッと笑う。
「まぁ、ヨルさんとアルイさん。そしてコガネさんの為に歓迎会も兼ねて、パーティーをしようと思うんです」
「え!?パーティー!?やったー!」
クロウの言葉を聞いてザキは両手を上げ、ぴょんぴょん飛んでいた。エリーはその姿を見て興奮し、再び手帳に何かを書いている。さすがの俺もエリーの行動に理解が出来なかった。昨日なんかはヨルちゃんに服を着させてめちゃくちゃ喜んでたし、昨日俺がエリーを止めなきゃ危うく、猫耳を付けさせられたままヨルちゃんを歩かせるところだったしなぁ。そう言う意味でも俺はエリーの事をいつも頭の中に入れとかないとやばい気がする。今度何しでかすか分からないしなぁ・・・
「そういうわけで今日もシャンテの街に出掛けて買い物をするつもりなんですけど・・・お嬢様はどうなさいますか?」
「そうですね。またあの街に行ってみたいです」
するとヨルちゃんが小さく手を挙げる。因みにヨルちゃんは楼那語で俺達と会話をしている。ここで楼那語を話せるのは俺、クロウ、エリー、ギリギリラインでアンジェである。ザキはさすがに短時間で楼那語覚えれないしな。その為ザキにはエリーが訳してもらうことにしている。エリーは元々クロウから楼那語を学んでいたそうだ。話によると5日で並大抵の会話ができるようになっていたとか・・・ここにいる奴ら本当に人間か?まぁ、俺も人の事言えないけどなぁ。
「えっと、昨日の人たちがいたらどうするんですか?」
そういえば確かに昨日、フェザール家とか言う奴らが俺のところに来たな。どうやらクロウ達のところにも来たらしい。
「その点については大丈夫でしょう。街中ですし下手に動くようなことはしないでしょう。それに、私達はその者達からお嬢様を守る従者です。そんなことは承知です。もし来るならば相手してあげますよ」
おお、これが執事長たる者の発言かぁ。なんかカッコ良くていいな。俺もアンジェちゃんの役に立ちたいしそろそろ何か俺もしないとな。
「買い物の内容は調理の材料と・・・プレゼントですかね」
ん?プレゼント?・・・・・あった、今の俺がアンジェちゃんにしてやれる事。
「そのプレゼントの件。俺に任せてくれないか?」
俺は最初に出会ったアンジェちゃんの話を思い出す。旦那さんの懐中時計が壊れたと言う事を。
「懐中時計壊れてたってアンジェちゃん言ってたしな。その懐中時計見せてくれたら治せるかも」
「そうですか。その懐中時計でしたら物置の棚に置いてあるはずです。ザキさん。後で案内してあげれますか?」
「いいよ!」
ザキは元気に手を挙げる。まぁ、ザキも子供だがやる事はしっかりやるらしい大丈夫だろう。ザキと同い年のヨルちゃんが何か言いたげな顔をしている。それを見たエリーがヨルちゃんの手をつなぐ。
「私たちも街の買い物に行ってもいいですか?ヨルちゃんに街中を案内したいし、メイドとして買い物の知識も覚えさせないといけませんし」
「え?えーと・・・お、お願いしますです」
メイド長としての発言なのかヨルちゃんのために言った発言なのかは俺には分からない。でもヨルちゃんの顔はすごく喜んでいた。これも先輩のやる事かぁ。
「そうですね。では買い物はお嬢様、エリーさん、ヨルさん、そして私ですね。留守番はザキさん、アルイさん、コガネさんですね」
「じゃ、早速おっちゃんは庭いじりでもしましょうかね。あ、ついでになんか花の種とか買ってきてくれないか?見栄えがいいものがいいな」
そう言ってコガネさんは大きな枝ばさみを持って庭へと歩いていった。本当に庭師なんだと思わせられる一面であった。
「それじゃあ、早速ですが参りましょうか」
『はーい!』
クロウの発言により、女性人たちが元気な声を出す。そういえばこの屋敷男性が4人、女性が3人だったな。この屋敷まだ7人しか人いないのか・・・でも旦那さんと妹ちゃんが来るならまただいぶ賑やかになってくるな。そう考えてるうちに買い物組は既に外に出て車の準備をしてた。
「気をつけていってこいよ~」
『行って来まーす!』
俺は出かける皆に手を振り、ずっと見守ってやった。
「それじゃ、俺たちもそろそろ物置の場所に行こうぜ。ザキ」
「うん!!」
車が見えなくなり、俺はザキと一緒に物置室に向かおうとした。ザキの話によるとどうやら車庫の奥にあるガレージの隣にあるらしい。俺は車の確認のために一回車庫に入ったがそんなものなかったような気がする・・・まぁ、とにかく行ってみよう。数分歩くと車庫が見えてきた。車庫はかなり大きく、バスが5台くらい余裕で入りそうだ。中に入ると俺の愛車が一台ポツリと置いてある。まぁ、クロウがいま一台乗っていったしな。因みに俺の愛車はそこら辺にある車とは全然違う。まぁ、そのへんに関してはまた今度話そう。俺がこの話になるとキリがなくなるからな。するとザキは何の変哲もない壁で立ち止まる。
「ここだよ!ちょっと待っててね!」
するとザキは少しだけくぼみがあるところをぐいっと押す。その瞬間。壁がエレベーターのように開きだしていく。
「仕掛け扉か・・・随分とよくできてるな・・・」
「大切なものはここに閉まって置くんだってさ」
確かにその奥には大切に保管されているものがたくさんあった。ドレスや、紳士服、時計や、髪飾りなどが沢山あった。まるで物置室というより宝庫だな・・・よく見ると宝箱みたいな箱もあるし・・・
「それで・・・その旦那さんの懐中時計はどれなんだ?」
「えーと。クロウの置き手紙によると・・」
置き手紙!?いつの間にそんなもの書いたんだあいつは・・・ここには並外れてるやつが多いな本当に・・・
「えっと、確かここに・・・」
ザキは時計がいっぱいあるところからその懐中時計を探し出す。その瞬間ザキの上にあった物が突然落下しザキの頭に直撃する。
「痛!」
しかし、災難はそれだけではなかった、地面に落ちてたものにザキが躓き転ぶ。・・・芸人レベルのクオリティだなおい。
「だ、大丈夫か?」
心配になった俺はザキに声をかける。ザキは「大丈夫大丈夫」と言ったがよく見てみると足が擦りむいていた。どうやら転んだ時についた傷かもしれない。
「まぁ、これなら俺でもなんとかなるな。ザキ、動くなよ」
俺はしゃがみ、いつも常備してある、救急キッドを取り出す。そしてその中から消毒液と絆創膏を取り出す。そしてザキにつけてやろうと思ったとき。俺はザキのとあるところに違和感を感じた。それは「目」である。
「・・・ザキ。お前目充血してないか?」
「え?なんのこと?」
今までザキの前髪で左目がよく見えなかったが。今ならよく見える。最初は充血してるのかと思ったが違う。正真正銘赤い目をしていた。右目は黄色で左目は赤色・・・どうなってんだ?
「僕の目がどうかしたの?」
「・・・いや、なんでもない」
なぜだろか。その話題に触れようと思ったのだが突然嫌な予感がした。まるで俺がその赤目に恐れているような・・・見てはいけないものを見てしまったような。そんな感じになってしまう。まるでザキではないような、ザキとは違う何かが伝わってくる。
「と、とりあえず。早く絆創膏貼って懐中時計探そうぜ?アンジェちゃんが帰ってくる前に済ましたいからな」
「?・・・分かった」
俺は危険を察知して話を戻した。でも、一体さっきのはなんだったんだろうか。
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~アンジェ視点~
街は昨日と同じく賑わっていた。昨日も見たピエロさんや花屋さんなどが見える。この街は毎日笑顔が絶えないで人気であるのが目に見える。現在私はヨルちゃんとエリーと一緒に街を歩き、買い物をしている。クロウは別のルートの買い物に向かってしまったため、三人で行動をしていた。私はヨルちゃんと手をつなぎ一緒に歩いている。それを見てるエリーはよだれを垂らしながら手帳に何かを書きながら歩いている。
「エリー。これから何を買うつもりなんですか?」
その言葉により、エリーは正気に戻り、会話に入る。
「えーとですね。デザートとかも買わないといけませんし。あとヨルちゃんの新着の服ですかね」
「え!?わ、私もですか!?」
ヨルちゃんが以外の言葉に喜び、声が震えている。
「さすがにこの国の服を買わないといけないと思って。さすがにあの服で街中を歩くのも嫌でしょうし」
ヨルちゃんが初めて会った時に着ていた服は学校の制服らしい。楼那の文化はよく知らないから最初は学制服なんて知らなかった。でも、あれが楼那の学生さんが着る服ですかぁ、個性的でいいと思いました。
「な、なんかすみませんです」
「気にしないでください。さぁ、では早速服を探しに行きましょうか。」
私たちは再び歩き出し、洋服店へと向かおうとした時だった。遠くから何やら歓声のような声が聞こえた。よく見てみるとステージで二人の子供がマジックをしているのが見えた。この街にはステージがあり、音楽会や、何かの大会に使っているのだとか。
「マジックですか?」
「うわー!すごい綺麗ですね!」
ヨルちゃんがものすごく喜んでいる。確かにすごくきれいなマジックだ。花火のような空に舞い。まるで雪のように落ちてくる。まるで幻想のようでした。
「・・・ちょっとだけ見に行きませんか?」
「はい!行きましょう!」
私の言葉に即反応したヨルちゃんは私を手を引っ張り、そのステージへと走り出す。エリーも慌てて私たちについていく。近くで見てみるとどうやら二人の子供は女の子のようだ。同じ服装をしているが色が違う。黒いツインテールの子はオレンジ色が少し見えるマジック用の服。黒いショートへアーの子は紫色が見えるマジック用の服を着ていた。身長は私より小さいがヨルちゃん程ではない。その二人を見たエリーは突然よだれを垂らし、顔が真っ赤になる。まぁ、いつもの事ですから気にはしませんけど・・・
「さぁて皆さん!今度はもっとすごいマジックを見せてあげましょう!では、誰か一人ここに上がっていただきたいのですが・・・そこの綺麗なお姉さん!」
するとツインテールの子が私に指をさし、ショートヘアーの子が私の背中を押す。
「え!?わ、私ですか!?」
「・・・シカのため・・」
シカ?ツインテールの子の名前ですかね。ステージの上に立つとマジックを見てる街の人たちが全員拍手をする。うぅ・・なんか恥ずかしい。
「お嬢様~!頑張ってください!!」
「お嬢様~!輝いてますよ~!」
ヨルちゃんは大喜びで私を応援している。エリーは私を見てついに鼻血を出した・・・まったくあの人は・・・まぁ、今はマジックのことで精一杯だ。頑張ろう。
「さて、では、お姉さん。少しだけ手を握っていただけますか?」
私はツインテールの子に言われたまま手を握った。
「さーて、俺の妹ことアズキちゃんがすごいマジックを見せてくれますよ~」
「・・・・静粛」
ショートヘアーの子はアズキと言うらしい。するとアズキという子は私の手を両手で包み始め、カウントを始めた。
「・・・1、2、3!」
その瞬間。私の手の中がもごもごを動き出す。私はゆっくりと手を開いてみる。その瞬間。大量の白い鳥が・・・鳩である。
「わ、わぁ!」
さすがの私も驚くしかなかった。そして、客席からはたくさんの歓声と拍手。エリーとヨルちゃんもしていた。アズキという子はその後少しだけ自慢げな顔をする。シカという子も大喜び。まさに大成功だった。
「いやぁ~ありがとうございますお姉さん!できれば名前を伺っていいですか?」
名前かぁ・・・公開してもいいかエリーにアイコンタクトをしてみる。するとエリーはニッコリとした表情で頷く。どうやらいいようだ。私は一度咳をして。自己紹介をした。
「アンジェリカ・フェリシティ・セレスと申します。アンジェとお呼びください。こちらこそ楽しいマジックをありがとうございます。よろしければお二人の名前を聞きたいのですが」
「うわ~かっこいい名前です~あ、私は篠崎然と申します。そしてこちらが私の妹こと・・・」
「・・・篠崎弧菽・・・あだ名はアズキ・・・」
ヨルちゃん達の似たような苗字と名前。多分楼の国の名でしょう。なるほど・・・苗字が同じということは二人は姉妹なんでしょう。でも同じ身長でここまで仲がいいとなると・・・
「二人は双子ですか?」
「おお!!大正解ですよ~すごいですアンジェお姉さん!」
「・・・お見事」
アンジェお姉さん・・・初めてそんな風に言われましたね・・・でも二人はどうやら喜んでいるご様子。まぁ、良しとしましょう。
「では、それではこれにてマジックの終わりと致しますか・・・」
お客さんがゾロゾロと観客席から立ち、マジック披露が終わった。そして、シカちゃんが物を片付けようとした時だった。
「おい、お前たち。ここで何してる」
騎士の格好をした男の人達が一人歩いてくる。この国には警察と言うのは存在しない。いるのは剣を持ち、街の治安と平和を守る騎士といものしかいないのだ。そして騎士は王家直属の仕事であり、名誉のある事なのである。
「え、え~と・・・俺達ここでマジックをしていたんですけど・・・」
「?おかしいなぁ・・・さっきここで放火魔がいるという報告を受けたのだが・・・」
放火魔?さっきのマジックの事ですかね?あれが放火魔だと勘違いする人なんているんですかね?
「まぁ、誤報なら仕方がない。見たところ客席もあるし本当にマジックをしていたようだ・・・すまなかった。失礼させて・・・・」
するとその騎士の人は突然私を見て驚愕な顔をする。
「?どうしたんですか?」
「・・・・・いや、そんなわけがない。失礼した」
騎士の人は慌てて去ってしまった。いったいなんだったんだろう
「アズキちゃん。片づけの続きをしようか」
「・・・・うん」
そう言って二人は改めて片づけの準備をする。するとヨルちゃんが突然背中の刀を取りだす。
「ど、どうしたの?ヨルちゃん」
「・・・フェザール家の従者たちかもしれません。約5人・・・囲まれています」
現在ステージにいるのは私とヨルちゃんとエリーとシカちゃんとアズキちゃんの5人。町の人はステージからずいぶんと離れている。そしてヨルちゃんが感じ取る気配・・・・
「どうしたんですか?皆さん?」
「・・・説明」
シカちゃんとアズキちゃんが何が起きているのかが分からなかった。仕方がない。すべてを話そう・・・
「実は私、セレス家という貴族の娘なんです」
「え!?貴族って事はお嬢様ですか!?」
「・・・驚愕」
シカちゃんとアズキちゃんは驚きと別に目をキラキラ輝かせ。喜んでいた。
「リアルのお嬢様にマジックを見せてたなんて・・・俺、感激ですよ」
「・・・有名になる第一歩」
今更ですけどシカちゃんの《俺》という表現は女の子としては非常に珍しかった。癖なのかは分からないですけど興味が湧きます。でも、今はそう言っていられない。なんとしてもこの二人を助けなくては。それなのにクロウは一体どこに行ってるんでしょうか。
「それで、今どんな状況なんですか?」
「・・・・・囲まれているんです。悪い方たちに」
「・・・宿敵?」
ヨルちゃんがそう言うとアズキちゃんシカちゃんも真剣な顔をし始める。普通の人なら焦るか怖がるかのの二択なんだと思うのですが、まるで戦うような目をしていた。
「とりあえず、シカちゃんたちは離れれてください。これは私たちの問題です」
「・・・なら、俺達も関係すればいいんですね?」
私含め三人は不思議な顔をする。するとシカちゃんとアズキちゃんは私に近づき、片方の手を互いに握ってくる。
「俺達、アンジェお姉ちゃんの所で働きたい!実際俺達住むところがないんです。でも、お金が足りたくて仕事をしながら、ついでにマジックでも稼いで家を探そうって思ったんです」
「・・・就職希望」
この人たちもヨルちゃんのように困ってた人なのか・・・それを聞いたら放っておけないですけど・・・
「それに、俺達だって戦えます!」
「・・・お手の物」
するとシカちゃんは腰に付けてあるポーチを手に取る。そのポーチを開けた瞬間なんとそこにはなんと火薬が大量に入ってあった。
「マジック用の火薬です。これが俺の武器でもあるんです」
「・・・最強武器」
そう言ってアズキちゃんも大きな布を取り出す。それがアズキちゃんの武器なのだろうか。そしてシカちゃんとアズキちゃんも前に出て戦う構えになる。
「二人の気持ちは分かりました。では、これをもって、ヨルちゃん、シカちゃんを私たちのメイドとして雇ます!」
「・・・・来ますです!!」
その瞬間ヨルちゃんのいった通り、5人が一斉に現れた。全員同じ執事服を着ていていつも通り様々な銃を持っている。しかし、ヨルちゃんは恐れず敵に接近していく。
「(この人の笑顔を守る・・・絶対に!)鳳凰流秘技!「流星」」
するとヨルちゃんは突然人間とは思えないジャンプをしてそのまま剣を振り、落下していった。そして地面に剣が当たると衝撃波が5人を巻き込んだ。さらに攻撃は終わっていなかった。アズキちゃんが布でまるでマジックのような動き、布から何かを出すマジックの構えをする。
「・・・・インビジブル」
アズキちゃんがそう言い、布を取ると大量の銃がその布からたくさん出てきた。果たしてどこから出したのだろう。すると男達はその銃を見て驚きの顔をしている。さっきまで男たちが持っていた銃が全てなくなっている。もしかしてこの距離からあの人たちの銃を奪ったんですか!?約10mの距離ですよ!?果たしてどんなトリックを使えば・・・まぁ、そのおかげで全員は戦う気力はなし、全員私たちを見て怯えてきた。そして、因みに逃げようとしても彼らは逃げれないのだ。
「そのまま後ろに逃げると、焼けちゃいますよ?」
そう。後ろには大量の火薬、逃げる場所などどこにもない。そしてエリーが男達に近付く。今更だがエリーは私同様戦うことが出来ない。しかしエリーにはエリーしか出来ないことがある。
「皆さんはフェザール家の従者さん達ですね?」
男達は恐れながらも何回も縦に降る。そしてエリーは満面なる笑で男達を見る。
「いいですか?私達はあなた方と争いたくないですし殺したくありません。でも、私達は使命のために戦っているんです。そのためならあなた方をバラバラにしたり、焼き殺したりも出来るんです。あたた方も嫌ですよね?じわじわと痛い思いをして死んでいくのは・・・もし、また邪魔をするのなら・・・次はないと思ってください♪」
そう・・・エリーは精神的攻撃は当然のこと、心理学を得意としている。それだけでなく、頭の回転が早く、短時間で物事を考えられる。なのでどう言えばこの人たちは恐るか、この場から争わず逃げるかなど・・・すく考えられるのです。エリーの発言により、男達は謝りながら走って逃げていった。本当に不思議な人ですよ・・・
「さて・・・それではクロウさんを探して帰りましょうか・・・既にクロウさんが私達の買い物を済ましているので」
私は大体理解したがヨルちゃんは驚く。まぁそうだろう・・・クロウの凄さは度が超えている。
「えっと・・・アンジェ・・・様?」
「・・・・お嬢様」
するとシカちゃんとアズキちゃんがぎこちなく私を呼んできた。
「慣れないならいつもどうりでいいですよ。お姉さんって言われるのも悪くないですね」
「ほ、本当ですか?アンジェお姉さん!」
「・・・感謝」
そうして、二人はいつものように私と接してくれた。いい子達ですよホント・・・でも、後ろでエリーがまたメモによだれを垂らしながら何かを書いてる・・・全く・・・
「それでは、早速クロウを探しに行きますか」
「はい、アンジェお姉さん!」
「・・・うん」
私達5人は共に話し合いながら街中を歩き、クロウを探した。
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それからアンジェはクロウと再会した。クロウを見てみるとなんと何段にも重ねてある袋を一人で持ち上げている。それをみたアンジェ御一行は再び驚きと恐怖を覚えた。それからアンジェ達はクロウにシカとアズキについてを説明して、正式なメイドとして働けるようになった。しかし、この服のままでいたいと言う願いでメイド服は着ないことにしたのだ。6人で車に乗り。屋敷に戻った。その時間は夕方の4時。いまから準備しても余裕で間に合うだろう。しかし、屋敷に帰り、扉を開けた途端。アンジェ、エリー、クロウの動きが止まった。
「・・・?どうしたんですか?皆さん?」
「硬直してますね?」
「・・・原因」
ヨルとシカが謎に思っているとアズキが奥にいる一人の男に指をさす。それは屋敷で待機させたアルイでもザキでもコガネでもない。ヨルちゃんも見たことのない男だった。その男はなにやら豪華な服を着ていてしっかりとした体型をしている。
「・・・?どちら様ですか?」
ヨルがそう言うとその男はアンジェ達に近づいてくる。そして一言。
「ただいま。アンジェ、クロウ君、エリーさん」
ヨルはその一言により気付く。
「も、もしや・・・・旦那様ですか!?」
シカとアズキも驚く。そしてその姿を見て、その男は笑い出す。
「はは、君達は新入りのようだね。私はディアン・フェリシティ・セレス。ここの主だよ。今度ともよろしく」
そして、ディアンはヨル達と握手をする。アンジェ達はまだ止まったままだった。
「明日変えると報告した日に帰るというルーの考えたドッキリだよ。どうやら成功のようだね」
そして、ついにアンジェ達が動いた。
「成功のようだね・・・じゃありませんよ!!せっかく色々準備をして待とうとしていたのに!!」
「・・・まさかドッキリだったとは・・・迂闊でした・・・」
「はぁ・・・心臓が止まるかと思いましたよ・・・」
三人は今でも驚きを隠せないでいる。それに対しディアンはまだ笑っていた。
「ははは。その準備なのだが私達も手伝わせてもらったよ。既に食堂はパーティー会場だよ」
その瞬間アンジェ、エリー、ザキはダッシュで食堂に向かった。ヨル、シカ、アズキは戸惑いながらもついていった。そしてアンジェ達が先に食堂に着き、見たものは既に準備完了で座っているアルイ、ザキ、コガネと飾りせっせと取り組んで頑張っている女の子がいた。その女の子がアンジェの妹こと。
「ル、ルー!何をしているんですかあなたは!」
ループ・フェリシティ・セレス。通称ルーである。ループはそれに気づき、てくてくと走ってくる。
「お姉様!久しぶりです!知らない人が二人もいて焦りましたよ~」
「いや、私達が一番焦ってますよ!!せっかくの計画が台無しじゃないですか!!」
するとアルイ、ザキ、コガネがアンジェ達の下に歩いてくる。
「それがだな、ここに来たのちょうど正午なんだ」
「僕も驚いたんだ~。化物かと思ったよ~」
「流石のおっちゃんも驚いちまったなぁ・・・いやはや・・・」
三人も想定外だったようだ。しかも驚くのはそれだけじゃなかった。
「それに・・・実はこれもう一つ目的があったらしいんだよ」
「も、目的?」
アルイの言葉にアンジェは不思議に思う、すると食堂に入るための扉から一人の少年が入ってくる。小柄な体だがザキよりは大きい。両手で本を抱えていた。
「は・・・初めまして。シアン・スノールと言います。15歳です。よろしくお願いします」
弱気な声で挨拶をすると本で顔を隠したまま何処へと走って逃げてしまった。
「・・・今の人は一体?」
クロウがやっとディアンに対し、質問をする。
「彼は私の親友の息子なんだ。とある理由で三年間私達の屋敷に住むことになった。仲良くしてやってくれ」
アンジェは大きなため息をつき、ルーの頭を撫でる。
「話は大体分かりました。ですが今度からは嘘をつないでくださいね。困るのは私達なのですから」
「はい!分かりました!」
ループは大声で返事をする。アンジェがそれを確認すると今度はディアンに近付く。
「・・・お父様のためにプレゼントを用意しようとしましたのに・・・」
「ああ、それなら俺がもう旦那さんに渡しちまった」
アンジェは「え?」と小さい声を出す。そしてディアンはその言葉を聞いてポケットからその壊れた懐中時計を出す。
「アンジェが私の事を思ってくれていると実感させてもらったよ。ありがとうアルイ君。アンジェ」
「いや、俺はアンジェちゃんの役に立ちたかっただけで・・・」
アルイが少し照れながらも喜んでいた。アンジェもその言葉で少しだけ気分が晴れ、ニッコリとした笑顔になった。
「・・・さて、シアンさんと自己紹介してきましょうか・・・」
そう言い、アンジェはシアンを探しに食堂から出た。クロウはそれを確認するとディアンに近付き、真剣な表情をする。
「・・・現在、お嬢様は代表を目指して日々努力をしておられます。旦那様の言った通りお嬢様は受け入れてくださいました」
「当然だよ。アンジェが断るはずがない。では、私もアンジェのために協力してあげよう・・・」
それからアンジェはシアンを引っ張りパーティーの準備が出来た。クロウの一言により、全員が持っているジュースやお酒を乾杯し。皆と絶えない話をずっとしていた。
「シアンさんって15歳何ですか!?俺達と同じですね!ねぇ。アズキちゃん」
「・・・同士」
「ええ!?ぼ、僕なんて学力しか取り柄のない人間なんで・・・」
シカとアズキがシアンと親しみたいのだか早速シアンと話をしていた。アンジェはその光景を微笑みながら眺めていた。ザキ、エリー、ヨルはバイキングのような量のご飯を食べ、楽しく会話をしていた。アルイ、コガネ、クロウの三人はワインをグラスに注ぎ合いながら大人の会話をしていた。こうしてアンジェ達の長い長い夜が始まったのだ。その後にシカとアズキがマジックをしたり、ボードゲームを持って来て皆で楽しんだりと食事を終えてからも楽しいことを続けていました。するとシアンが段々皆から恐れること無く、本当の笑顔で楽しんでいたのが目に見えていた。アンジェ達はそれをみて安心をする。徐々に住者達が増え、6人だったのが11人と二桁になった。はたしてこの御一行はこれからどうなるのか・・・アンジェはそれが心配でもあり、楽しみでもあった。
「Play full Every day(遊戯的日常)・・・こう言う毎日もいいかもしれませんね」
今はこの時間を楽しんでいようと考えたアンジェだった。
次回予告
シカ「みなさ~ん!こんばんわ~!シカですよ~」
アズキ「・・・アズキ」
シカ「屋敷の皆さんが優しくてよかったですね!アズキちゃん」
アズキ「・・・安心」
シカ「これから私達もアンジェお姉さんのために頑張りますよ!」
アズキ「・・・・乞うご期待」
シカ「さて、次回はなんと新たな変わった女の子とアンジェお姉さんのご友人が来るらしいですよ!?」
アズキ「・・・同族?」
『次回!第五話「A friend and a girl who has run away from home(お友達と家出少女)」お楽しみに!』
アンジェ「あなたも。私の従者になりませんか?」