感動的な再会(?)
陽光が燦燦と照り、ピリピリと肌を焦がす。長い休みが始まった、そんな午後だった。
「……ここら辺でええよな。地図、間違うてないわなぁ……ほなけど、リヤ、方向音痴の気があるしなー」
「プフー、何年振りやっけー?
えー、4、5、6、1……4年振りくらいか?
アイツ、リヤより小っこかったし、リヤより女っぽかったし!
さすがに中2んなったら、リヤより大っきいなっとうかな?」
「……どこやねん!
あーもー、出てこいアキラー!
荷物重いし、暑いわー!
んー、ここ左ー?」
「あー、うー……チャラランララン、チャララァララン…………」
「………………おとん、おかん……リヤはもう駄目です。いっつも思いつきで行動して、ホンマごめんなさ──あっ!!
奇跡じゃ。見間違いちゃうやろ。あの顔は、アキラしかおらんわ!」
「会いたかった!」
「っ!?」
「ありがとぉ、おとん、おかん!
アキラと巡り会わせてくれて、ホンマありがとぉ!!」
「……誰かと思えば、マリヤ? 喜名島茉里耶か?」
「大当たり! やっとこ会えて嬉しいわ!」
「突然抱きついてくるな。心臓が停まる」
「ナニ言よん。アキラの心臓そんな簡単に停まらんやん」
「……相変わらず、男みたいな恰好しているな」
「磨きかかってきたか? ウルフカットにしてみたんよ」
「似合ってる」
「そやろそやろ」
「……何て言うか、4年振りの再会はあまり感動しない……」
「ちょいちょい連絡取り合うとったけんちゃうん?」
「マリヤ、小さくなった」
「アホか! お前が大っきいなっとんじゃ!」
「知ってる」
「うわ、ヤラシイ言い方。何センチなった?」
「175、6だったと思う」
「ええなぁ! リヤ、160で止まったっぽい。もっと欲しかった」
「160なら、女性でも高い方じゃないのか?」
「いんや。リヤは170欲しかった」
「ふーん」
「反応が冷たい! もっとリヤを構え!」
「……本当に変わらないな」
「ソレ成長してないって言いたいんか?」
「…………」
「黙るなよ」
「それで、何をしに来たんだ? そんなに荷物を持って……」
「遊びに来た! お泊まりしに来た!」
「は?」
「よろしくな!」
「マリヤ、そういう事は前以て知らせておくのが常識だぞ」
「驚かそうと!」
「マリヤ、もし俺が旅行にでも出掛けて不在だったら、どうするつもりだったんだ?」
「……考えてなかった」
「どうせ、マリヤのことだから、その時にでも考えればいいと思ったんだろう?」
「……オーイエー」
「はぁ……」
「なぁ、家どこ? 迷たんよ」
「また?」
「またって言うな。しゃあないでぇ、判らんもん! 同じような家、多過ぎやしー」
「……まったく。マリヤ、こっち」
「ハイハーイ!」
「ただいま」
「おかえりなさい。さっき買い物に出掛けた先で、素敵な感じのお菓子屋さんが新しく出来てたの。そこでケーキを買ってきたから、食べるでしょう?」
「ん、食べる」
「あら?」
「お邪魔します!」
「もしかして、マリヤちゃん?」
「ハイ! お久しぶりです!」
「まぁ、本当に久しぶりね。元気そうで何よりだわ」
「おばさまも、変わらずお美しいですね。中学生の子どもがおるように見えませんわ」
「お上手ね……ありがとう」
「……人妻を口説こうとしている軟派男みたい……」
「マリヤちゃんも一緒にケーキを食べましょう」
「ありがとうございます!」
「厚かましい」
────ピンポーン
「アキちゃん、お皿にケーキを出していてくれる?」
「ん」
「あっ、リヤこの大っきい苺のがいい!」
「ハイハイ」
「アキちゃん、リョウちゃんよ」
「リョウ?」
「代わるわ」
「ん」
「マリヤちゃんは紅茶が苦手だったわね?」
「あ、ハイ……なんか、ほんな細かい事まで覚えてくれてて嬉しい、です」
「ふふ、アキちゃんのお友達だもの」
「……今来とる子も?」
「そう、お隣さん。莢神良ちゃん。こっちに越してきて一番初めにできた、アキちゃんのお友達……そう、親友ね」
「親友……アキラに」
「会ってみたらどうかしら。マリヤちゃんもお友達になれるわ」
「え、う〜」
「まだ人と親しくするのが苦手?」
「えーと、ハイ」
「じゃあ、どんな子か覗いてみるだけね。好い子よ。マリヤちゃんの人見知りも平気だと思うわ」
「…………」
「ホラ、感じの好い子でしょう?」
「……そうですね」
「リョウちゃん、ケーキがあるのだけど、食べていく?」
「えっ、おばさま!?」
「え、あ、いえ……ありがとうございます。でも、これから家族で出掛けますので」
「あらそう、残念」
「お土産、楽しみにしてて下さい」
「ふふ、そうするわ」
「じゃ、アキラ。ノート助かったよ」
「ああ」
「失礼します」
「いってらっしゃい」
「二人して覗き見して、行儀悪い」
「マリヤちゃんがリョウちゃんに会ってみたいって言い出したの」
「えっ、ち、ちゃうよ! 言うてない!」
「リョウに?」
「ちゃうっちょんで!」
「しかし、リョウは旅行で一週間は帰らない、と」
「ち、が、う!」
「ふふふ……さあ、お茶にしましょう」
「ん」
「はーい!」
「……リョウと友達になりたい?」
「別に! もうほの話はええって!」
「クス、バーカ」
「バカって言うな!」
夏休みは始まったばかり。
歩き出した想いも、まだ……
最後まで読んで下さり、ありがとうございます!
正直、会話文だけでは厳しいのではないかと感じております。しかし、このシリーズは会話文のみで行きたいなと思います!
いやもう突発的に始めてから、この構造は崩せない…
では、次回があれば(笑)、よろしくお願いします!