お互いの気持ちを知りたい新妻さんと山本くん
◇
二人はいつか、告白して付き合う。
どちらがするのか、知らないけれど。
◇山本くん
山本たかし。部活には入っておらず、一人で登校中。
校門をくぐって、階段を上がって、1-Cに到着。
……珍しいな。自分の席で眠っている新妻さんがいる。
真面目な彼女が学校で眠ってるところなんて想像できないんだけど。
まあいいか
さあ教科書を出して机の中にぶち込むぞ―ってことで中に手を入れると……
——机の中にドロッドロのチョコがあるんだが……?——
なにこれ? テロ?
それか普通にいじめ?
教室には彼女しかいないんだけど。彼女が僕をいじめてる? よりによってチョコで?
結構残酷なことするんだな……。
って思って中にスマホのライトを当てて、確認すると、チョコには包装がしてあった。
◆新妻さん視点。
朝の五時。
私は今、家の台所にいる。
手紙は書き終わった。後はメインディッシュを創るだけ。
そのために必要なのは眷属。
さあ。いでよ!
私のお母さん!
「いやいや。『いでよ!』じゃなくて。そんな人を召喚獣みたいに言わないで頂戴。」
「ごめん」
「むしろあんたがこの世に召喚された側なんだから私に。」
「お母さん。私が産道を潜り抜けて産まれてきたことを召喚って言わないで」
「悪かったわね。んで何よ」
「お母さん。昨日約束してくれたじゃない。一緒にチョコを作ってくれるって」
「いやそれは良いんだけど。あんた正気なの?」
「恋をする人間が正気とでも?」
「そういう事を言ってるんじゃなくて(なんでこんなに話が通じないのかしら)」
じゃあどういうことなんだろう。
「真夏にチョコ渡すって正気なの? 溶けるわよ。マジで。普通に鞄の中で」
「保冷剤を持っていくから安心して。取り敢えず、思いが伝われば良いんだから」
「あーもう分かった。どうなっても知らないからね(普通に告白しなさいよツラはいいんだから)」
「ありがとう。あ、そうだ」
「?」
「髪の毛とか入れたほうが良い?」
「入れないほうが良い」
◆
そして私は学校に到着した後、保冷剤の無力さを実感した。
(チョコの包装がビシャビシャだ……!)
結露のことを完全に忘れていた。しかももう結構溶けてる。
(どうしよう……! せっかくお母さんが手伝ってくれてたのに……!)
私がオロオロしていると足音が聞こえてくる。
(……もう良いや! いれちゃえ!)
そして今に至る。
◆
「……(死んだふりよ! とにかくそれしか無い!)」
教室の中はとっても暑い。でもそれしか、やり過ごす方法がない。
でも……。かれ、困ってるよね……。どうしよう。
すると私の肩を揺らす何者。山本くんだよね。これ。
あれ? つまり? コレは断罪の時……?
私、死、あるのみ……?
「新妻さん」
「は、はい! なんでしょう!」
「思いは伝わったよ。」
「……、本当に!?」
「うん。すごい手が込んでて、重みを感じた」
「うん! うん!」
この流れなら告白してくれるかな!?
「じゃあ。片付け手伝って」
「あ。はい」
私は粛々と雑巾を使い掃除を行う。はあ……。何やってんだか。
「あの……ごめんなさい。山本くん」
「うん。良いよ別に。それに」
「?」
「本当に思いは伝わっているから」
◇山本くん◇
「本当に思いは伝わっているから」
伝わりまくってる。うん。本当に。
(重すぎるんだよ……。まいどまいど)
彼女は毎回、よく分からないことをする。
最初は嫌いなのかなーって思ってたけど、その割には素直に白状してくれるんだよね。
(まあでも機嫌を損ねたら殺される可能性もあるからな。とにかく話は合わせておこう)
だいたいさ、好きなんだとしたら普通に告白してきてほしいよ。
そうしたら僕たちは付き合えるのにね。
私とあなた。いつか付き合うはずだけれど、とりあえず今日はこのままで。
おしまい。
ひろ子さんはあいつを論破したい!
https://ncode.syosetu.com/n2992mm/
実質付き合ってる二人が書籍化目指しながらイチャイチャするラブコメ
https://ncode.syosetu.com/n0632mn/
こっちもよろです。
やまもとくんと、新妻さんの今後はまあ、要望が積もったら書こうかしら、なんて。




