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怪奇箱  作者: にとろ


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子供は誰だったのか?

 結衣さんは子供の頃、父方の実家で幽霊のようなものを見たそうだ。あくまで幽霊『であろう』ものであって確信はないそうだ。今でも何故自分の前に出てきたのか分からないが、この世のものではないものだったという。


 それはシルバーウィークにて、父方の実家に泊まるときのことだ。当時は知らなかったことだが、実家と母親はなかなかにギスギスした関係だったらしい。ただ、そんなことも知らずに呑気に『おじいちゃんとおばあちゃんの家に行く』くらいにしか考えず向かったらしい。


 当時は携帯ゲーム機しか持っておらず、スマホはなかったので、家に着くなりゲームで遊び始めた。父はいい顔をしなかったが、母はいちいちご機嫌伺いをするつもりも無いので気にしていなかったらしい。


 ゲームがそこそこ進んだところでふと視線を感じた。誰か見て要るのだろうかと思ったが、祖父母はゲームをよく分からないものとしているし、父親も母親もゲーム自体は知っているが、今流行のゲームなどに興味を持たれたことは無かった。では誰だろうかと思い家の中をゲーム機を持ったまま見て回った。


 視線は感じるのだが人は居ないなと思っていると、廊下の突き当たりに子供が立っているのが見えた。それが見えた途端にシュッと曲がり角を曲がって消えた。思わず追いかけてみたのだが、その先に子供以前に誰一人居なかった。怪訝な気がしたのだが、もしかすると従弟が来ているのかもしれない。ただ、従弟と会ったことは数えるほどしかないので、あんな子だったかなと思った。


 その晩、夕食時に『従弟のケンちゃん来てるの?』と聞いてみた。しかし祖父は何を言ってるんだという顔で、『ここに居る人たちで全員だ』と言っていた。たしかに従弟にも家族が居るだろうからこの家に居るのなら食事に同席していないのはおかしい。だからアレは見間違えだったのではないかと思って気にしないことにした。


 その晩、古い家なので出来るだけ避けたかったのだが、夕食に水分が多かったのでトイレに行きたくなって目が覚めた。父母を起こすと文句を言われそうなので、隣の部屋で寝ている祖父を起こした。そして『トイレに付いてきて』と言うと、すぐに付いてきてくれた。トイレを済ませて祖父にありがとうと言うと、祖父はなんとも言えない顔をして聞いてきた。


『なあ、結衣は子供を見たって行ってたな。多分それは昔うちに来た子だよ』


 その意味が分からず祖父に話を聞くと、戦中に都市部から食料品を求めてやって来た親族が居たそうだ。血縁があるからと多少の食料を渡したが、余裕があるわけではない。もっとくれないのかと向こうも粘ったらしいが、こっちもギリギリなんだと言って追い返した。その家族には一人の男の子がいたらしい。


 祖父は最後まで語らなかったが、『そういう時代だからな、まあそんな家庭がどうなったかは分かるじゃろ?』と言う。祖父はその子が食料をくれなかった家にいるのだろうと言っていた。何処も限界だったのに逆恨みだと言う、当時は珍しくもなかったらしい。


 それから帰るまでその子を見ることは無かったので、両親にはその話はしなかった。ただ、帰りの車の中できっともっと別の理由があるのだろうと思っていた。何しろあの時見た子供は血色がよく、どちらかと言えば太っているほどだったので、食糧難とは無縁のようにしか見えなかった。


 それからも中学の卒業まで毎年祖父母の家には泊まったがあの子を見たのはアレ一回きりだった。ただ、翌年からはあの子を見た廊下の先に一枚のお札と盛り塩がされるようになったそうだ。彼女は祖父母が実は何かの真相を知っているのではないかと思っていたが、今となっては二人とも鬼籍に入っているので確かめようが無い。

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