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怪奇箱  作者: にとろ


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子供の警告

 文子さんは近ごろ奇妙な体験をしたそうだ。怖いわけではないが、不思議な体験だったという。その事について話を伺った。


 ある日、その日は休みだったので料理を作るのも億劫で、お昼ご飯はコンビニ弁当で十分だろうと判断して済んでいるマンションから出て行った。その日は秋の過ごしやすい気候で、なかなか気分の良い散歩だった。


 そろそろ秋なんだなと思いながら、ついさっきまで暑かった気がしたのになと、気候が急に変わることに戸惑いながらもコンビニに行った。


 コンビニのお弁当を買おうとしたのだが、コンビニに入って目に付いたのは保護者が見当たらない子供だ。カラフルな服を着た子供たちが、雑誌コーナーの前にたむろをしていた。柄が悪いなあと思いながらも、関わりたくないという気持ちがどうしても勝ってしまう。


 子供たちへの注意を諦め、弁当を買って箸を付けてもらい温めてもらう。牛丼ならチェーン店に行けばいいような気もするのだが、そこよりコンビニの方が近い。ならば小銭をケチるよりここで牛丼を買ってしまった方がいいだろう。


 弁当の温めが終わり、袋を持って帰ろうとした。そこへ轟音が響き渡る。何事かと思うと、コンビニの雑誌コーナーに車が突っ込んでいた。車の方は頑丈なので負傷者がいる様子は無いが、突っ込んだ場所はさっきまで子供が遊んでいたところだ。子供が出て行っていないのだからひかれた可能性がある、店員が慌てて警察へ連絡しているのをおいておいて、急いで巻き込まれた子供がいないか確かめに行った。


 しかしそこには子供などおらず、店内のどこかへ飛ばされたのかと思ったので見て回ったのだが、どこにも子供がいた様子は残っていなかった。


 それから彼女も参考に話を警察から聞かれた。結局は言ってはなんだが、よくあるアクセルとブレーキの踏み間違いだった。警察の人たちは一人も子供のことを聞かなかったので、あの子供たちはきっとこの世のものではないのだろうと思った。


 釈然とはしなかったが、自分が怪我一つしていないのにこだわるわけにもいかず、あの子供たちの事は忘れることにして自宅に帰った。そこで灯りをつけると、部屋の中に紙くずがくしゃくしゃに丸められてそこら中に飛び散っていた。空き巣かと思ったが、そのマンションのセキュリティを考えるとそれもおかしい。


 何より空き巣が紙くずをまき散らす必要性が感じられない。そこで飛び散っている紙のいくつかを平らにのばして何が書いてあるか確認してみた。


 するとそれは写真であることが分かった。その写真は今となっては忘れつつあった小学校時代に撮ってもらった写真だ。それを見たときに昔の友人たちが思い出された。


 そう言えばあの頃は複数の学年がまとめて授業を受けてたっけ、そう思いだした。あまり人口が多くないのでそうなってしまう地域に住んでいたのだが、そこで気が付いてしまった。


 あのコンビニにいた子供たちは昔小学校で中が良かった友人たちそのままの姿なのだ。もちろん今は小学生から数えて十年ではきかないほど経っているので、あの子供たちが写真の少年たちとは考えられないのだが、なんとなくこの写真が丸めていられてしまっていたのは偶然ではなく、その事を考えて、きっとあの子たちが助けてくれたのだろうと思った。


 今、彼女が後悔しているのは、旧友たちの連絡先を聞かなかったことだ。何故自分を助けてくれたのかは分からないが、あの子たちにお礼を言えるものなら言いたいと思っているらしい。

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