表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪奇箱  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/71

何かが起きた

 中田さんは中学の頃、ちょっとした怪異らしきものに巻き込まれたそうだ。「らしき」と付けたのは、彼自身に何かがあったわけでも無いし、怪異かどうかははっきりとしたところは不明だからだ。結論が出たわけではないが、いい年になった今でもあのことについて調べる気は無いらしい。


 それは中学生になりたての頃、部活に何か入れと言われたのだが、体力の無い彼は体育会系は真っ先に除外して、文化系の何か楽そうな部はないかと探していた。そんな時、表向きは『郷土の歴史を研究している』という部を見つけた。何の面白みもなさそうな部だったが、人づてに『そこはオカルト研究部だよ』と聞いた。どうもオカ研でバカ正直に部活を作ろうとすると流石に却下されるので、建前として郷土の歴史を研究しているという言葉を笠に着てで活動しているらしい。


 学校側も、部活に入らずぶらぶらされるよりはマシだろうという考えで、実際の活動内容は百も承知でその部を承認したそうだ。当時は世紀末だったので、たとえほぼ部費が付かなかったとしてもやる気はあるらしい。


 そこでその部を見学に行った。


「おう、入部希望か、俺らは誰でも歓迎してるぞ、友達とかも誘ってくれよ」


 結構フランクな部のようだというのが正直な感想だった。あまりオカルトと縁がなさそうな人たちだなとも同時に思った。


「悪いが今は大きな事を調べてるんでな、週末にフィールドワークに行くんだが、その結果を見てから入るといいぞ。ウチがどこまで真面目に活動してるか分かってもらえるだろうしな」


 自信満々にそう言う部長についつい『どんな怪談を調べているんですか?』と聞いた。しかし部長は『まあ入ったら教えてやるよ』と言っていた。


 その週末、何かこのあたりに関する大きな怪談を調べるらしいが、発表までは待ってくれと言われた。入部届に名前まで書いて、その内容を見てから入るかどうか決めようと思った。しかしその週末……何も起きなかった。


 大きな事について調べていたらしいのだが、特に大きな事は起きなかったようだ。ただ、部員たちが風邪や捻挫などで大半が休んでおり、部に出ている人も、『まあ……ちょっとな』と歯切れの悪い言葉で何が起きたかを濁していた。


 先生方も事情が事情なので入部届を保留にしてくれていた。ただ、顧問の先生でさえ何を調べていたのかは知らなかったそうだ。そもそも顧問と言っても、柔道部がメインで、名前だけでもと頼まれたので本当に名前だけ貸していたので、オカルトなど微塵も興味が無いため本当に何も興味が無かったらしい。


 それから全員が出てきて、オカルト研究部は空中分解した。まるで何か触れてはならないものに触れたように綺麗さっぱり消えてしまった。彼らが一体何を調べていたのかは分からないが、多くの人が黙り込んでいたし、他の人は何が起きたかさえ知らなかった。


 だからきっと、知らない方がいいことを調べていたのだろうと言うことだけが分かって、すっかり黙ってしまったそうだ。


「話は以上なんですけど、少し不思議な事が一つあるんですよ。その件があってから部活に強制的に入らされる制度が無くなったんですよね。今じゃ教師の生活が……とか言ってますがもちろんそんな時代じゃないですし、偶然なのかも知れませんが、私はオカ研のやったことが関係しているんじゃないかと睨んでいるんですよ。まあ真相は口を閉ざしている人しか知らないんですけどね」


 彼は今でもそれを覚えているが、調べようとは思わないそうだ。世の中にはきっと知らない方が良いこともあるし、わざわざそんなものを掘り返してもいい事なんて何も無いと言う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ