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怪奇箱  作者: にとろ


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焦げの臭い?

 今回の話は出来るだけぼかしてくれと言われたので、特定の何かは全て仮名に置き換えている。


 品川さんに話を聞いたのだが、彼がなんとも後味の悪い体験をしたのだそうだ。それはある日、職場に行くと、上司からとある工場でラインが止まって困っているらしいからすぐ行ってくれと言われた。その工場は電力を使っているので、品川さんが勤めている会社の製品を使っていた。


 どこにも異常は無いはずなのに動かないのでとにかく来てくれと言われていた。再現性が無いのは一番困るんだよなと思いながら、その会社の工場に向かった。


 そこにはスーツを着た人が立っており、それなりの立場の人がおり、かなり空気が悪いので、何かあったのだろうとは予想が付いたが自分には関係無いことだ。そこでさっさと異常の原因を見つけようと操作盤に向かった。そこにはどこにも異常がなく、ただブレーカーが落ちているだけの状態だった。ただ、漏電したときに落ちるブレーカーなので、これを安易に復旧させる前に漏電している箇所を特定しなければならない。


『おい、原因はどこだ?』


 さっきの背広さんがそう言ってくるので、確認しますと言ったところ、その人に先ほど叱責されていた人が『ブレーカーをあげてくれればいいから』としきりに言う。品川さんは漏電箇所を特定できていないのに通電させるのは危険だと何度も言い、一応チェックを許された。


 しかし見たところどこにも異常は無い。ではどこだと考えたのだが、従業員がしきりにブレーカーのことばかり言ってくる。間違って落ちるようなものでもないはずなのだからと言っても聞いてもらえない。それに乗っかって背広の人も『それで直ると聞いたぞ』と言ってくる。


 釈然とはしないのだが、この人達は何か知っているのではないだろうかと思う。ただ、確信は何もないので出来ることは出来るが、ブレーカーをあげた結果に責任は負えないと言った。


 そこで従業員が我が意を得たりと『じゃあさっさと上げてくれ』と言う。仕方なく機械から全員を離れさせ、絶縁体の棒で慎重にブレーカーをあげ、通電させた。そのときぷんと何かが焦げたような匂いがした。


 それでも一応ラインは復旧し、何の問題もなく動いている。これでいいんだとばかりの雰囲気だったし、きちんと修理費は払うと言われたので釈然とはしないが会社に帰って報告をした。


『向こうも問題無いそうだ』


 その一言で済まされたのだが、一体何故あんなブレーカーが落ちるだけで済んだのだろうか? 漏電したならどこかその箇所があるのではないか? そこまで考えてふと思った。あのブレーカーをあげたときの匂いだ。


 帰宅してから、適当にアルミホイルをコンロの五徳に乗せ、その上に自分の手からささくれを一つ剥いてその上に乗せ火をつけた。そこから漂ってきた匂いは……


 それから何も考えないように布団を引っ被って寝た。その日のそれからのことははっきり覚えていない。ただ、あの工場は未だに無事故で運転を続けているそうだ。だからきっと何も問題無いのだろう。たまたまあの時漂った匂いがたとえ人の皮膚が焦げたときの臭いに近いとしても、きっと無事故なのだろう。


 それから出来るだけ何も考えないようにして無心に言われたことだけをやるようになった。

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