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怪奇箱  作者: にとろ


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気の持ちよう

 福さんは今住んでいる物件が瑕疵物件なのだそうだ。普通は瑕疵物件でも今借りている人と何かあったときの間に誰かを住ませれば不動産業者の告知義務は無くなる、しかしそれを理解しているであろう上で彼が物件を借りるときにあえてそこが曰く付きであることを話したらしい。


 何度も住人が入れ替わっており、その原因が幽霊なのであらかじめ覚悟をしておけという意味のことを言われたそうだ。ちなみに敷金と礼金は無しで、賃料も相場の三分の一だそうだ。なんでも、あまりにも住人が出て行くので、空室にするよりはまだマシだからという捨て鉢な理由で値下げをしているそうだ。


 私は『本当に出るんですか?』と尋ねたところ、彼は『出ますよ、まあ問題無い範囲ですけどね』と笑って言う。


 始めは金縛りに遭ったそうだ。寝ているときに意識だけ起きて体は動かせない。害がないので平気でそのままぼんやりしていると次第に意識が消えていき、起きた頃には夢だったかどうかさえ分からない程度だった。


 それでも出て行かないのに業を煮やしたのか、幽霊が業を煮やすことがあるかは分からないが、金縛りに遭ったときに仰向けで寝ていると天井の方に人型の黒い霧のようなものが浮かんでいたという。不気味ではあるが無視していたところ、その靄に目のようなものが現れてきて、次に鼻や口が出来てきた。


 ただ、気味が悪いが、別に何もしてこない。だから無視を決め込んで『あーまた見てる見てる』程度に考えながら、金縛りが終わるまで寝ていた。


 翌朝にも別に何も起きないし、心底どうでもいい話だった。


 次には、夜中に目が覚めると首が自由に動くので、部屋を見回すと、押し入れやその天袋が開いていたり、クローゼットの隙間が開いていたりして、その隙間から小さな目玉が無数に彼を見ていた。ただ、目玉が見えるだけで気にすることはなく、ある時など目玉が見えた翌日に、幽霊を煽るかのように目玉焼きを作って真っ先に黄身に箸を突き立てて幽霊を煽ったそうだ。


 なかなか勇気のあることをすると思いながら彼の話を聞くと、それをしたときにラップ音が聞こえたがガン無視を決め込んだ。


 その一件から目玉が出ることはなくなった。どうも幽霊も自分が可愛いのかヤバイ相手には喧嘩を売らない程度の根性のないものだと思ったという。


 今は朝目が覚めるとき、ドンというかぐちゃっと言うか、まあ何かが落ちてくる音で目が覚めるそうだ。部屋のカーテンを開けても何もないし、怖がらせたいのだろうが、夜中に音がするわけでもないので無視すると何も害は無いと言う。


 今でも時折そこを紹介した不動産業者から何か起きてないか連絡が来るそうだ。向こうとしては更にその部屋で何かあっては困るということなのだろうが、毎回元気に話をしていると業者の方が平気なのかと逆に心配になっているようだそうだ。


 私がお話の謝礼を出すと、彼は『家賃が安いのにこんなものまで貰えるんですから本当にありがたい物件ですよ』と笑って言う。

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