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怪奇箱  作者: にとろ


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もたらす物

 天野さんは中学生の頃に、今考えると恐ろしいのかもしれない出来事があったそうだ。


 中学への入学祝いとして腕時計を買ってもらった。今までは「小学生は荒っぽいから」と壊れてもいいように安いものを与えられていた。いかにもプラスチックという雰囲気がありありと出ており、あまり好きではなかった。


 それが中学生になると立派なソーラー電波時計で、結構な値段……と言っても中学生の感覚ではあるが、とにかく高級感のある時計を買ってもらえた。


 それから入学してたのしい中学生活となった。時計もなかなか役に立ったし、始めの頃は満足していた。しかし入学して一月くらい経ってから奇妙なことが起き始める。


 気が付くと時計の針が止まっている。秒針までピタリと止まって決して動かない。いつ止まったのか、止まる瞬間を見ることはないのだが、気が付いたら止まっている。ソーラー機能が付いているので充電が不足するとも思えない。普通に入っている電池とソーラーバッテリーの二つで動いているのに両方止まるのはおかしい。


 それよりも問題なのは、針が止まっていることに気が付くと、そのときは何か良くないことが起きることだ。町の中で小火でが出たり、家で料理をしていた母親が手を切ったりと、死人が出るわけではないし、大きな不幸でもないが、必ず何か不幸なことが起きる。


 時計が止まっているのを見ると気が滅入るようになっていった。わざわざ教えてくれるのは親切だが、何があるか分からないので止めようがない。ただ覚悟が出来るだけなので大して役にはたたない。


 ただ、普段使いする分には困るほどその現象が起きるわけではないので不気味に思いつつも使い続けていた。


 決定的なことが起きたのは一学期の終わり頃だ。その日、帰ろうと思いふと時計を見ると、途端に針が高速で回り出した。流石にこれは初めてのことで困惑していると、四時を指してピタリと止まった。死……嫌でも今までのことからその語呂合わせが浮かんでしまう。


 不安を抱えながら大急ぎで帰ると玄関前で飼っていた愛猫が動かなくなっていた。泣きそうになりながら触って見るとまだぬくもりがある。一縷の望みをかけて病院まで運んでもらったが、結局それは無慈悲な事実を告げられるだけだった。


 ただ、猫を荼毘に付してからふと思う。この時計は不幸なことが起きると教えてくれているのだろうか? あの子は少し前に検診をしていて全くの健康体だった。獣医も首をかしげて、死んでいるのは間違いないが原因が分からないと言っていた。解剖すれば分かると言われたが心情的に抵抗があったのでそれは断った。


 つまり普通はそんなことは起きないはずなのだ。となると……この時計は不幸を起こしているのではないか、そう考えると恐ろしくなった。それから夏休みの間、腕時計を外して机の引き出しの奥の方に箱に入れてから詰め込んだ。


 そして夏休みが終わるまで何事もなく平和な日常を過ごすことになった。こうなると時計が原因であるという自説が説得力を持ってしまう。わざわざ買ってもらったものなので多少は心苦しいのだが、腕時計をつけて生活するのをやめてみた。その結果何事もない普通の生活を送れるようになったので結局時計は仕舞ったままにすることにした。


 ちなみに彼女は、現在高校生でアルバイトをしているが、腕時計をつけていない、バイト代が貯まったらスマートウォッチを買う予定だそうだ。彼女曰く『流石に電子器機なら何か悪霊や魑魅魍魎だって対応してないから止められないと思うんですよ』と語る。

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