表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪奇箱  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/71

仏のケンカ

 山口さんが子供の頃に両親がマイホームを買ってそこに引っ越したのだが、山口さん曰く『私に言われても……』という災難に遭ったそうだ。その事を伺うことにした。


 まだ子供の頃、両親がマイホームを買った理由は、先延ばしにすると山口さんが学校に入ってからになって転校しなければならないので、就学前の幼稚園時代に家を買っておけば転校はしなくて済むだろうという理由だった。


 そうして夢だったのかは山口さんに知るよしもなかったが、訳も分からず新しい家に引っ越すことになった。とはいえ両親の勤務先の都合で車で移動できる範囲だった。ただ、学区が変わるので学校に通っていたのなら転校が必要な距離だった。


 新興住宅地で、家はドンドン建てられ売れていった。その一角を買ったのが両親だったという。職場と近くて新しいので交通の便が良いという理由で買ったと後で聞いた。


 その結果、幼稚園から小学校までの少しの間、一月ほどなのでなんとかなるだろうと家に彼女を一人置いて両親ともに通勤していった。実際幼稚園に通える程度にはなっていたので、両親が知る範囲では問題が無かった。ただ、気になったのは、一つの部屋がやけに涼しいことだ。もうそろそろ暖かさから暑さになろうかという時期の割にはその部屋は肌寒かった。


 ただ、涼しいので過ごしやすいなと思いながら、その黒地に金色が付いた箱がある部屋で過ごしていた。当時はそれが何なのか分からなかったが、後になってそれが母親が信仰している某宗教の仏壇であると知る。


 さて、その部屋が何故涼しいのだろうかと思い、彼女は始め、冷蔵庫から冷気が漏れてきているのではないかと思っていた。当時の年齢なら冷たいものと言えば真っ先に思いついたのがそれだった。ただ、その部屋とキッチンの間の襖をつぶさに調べてもどこにも冷気が漏れている様子はない。


 ではどこから冷気が出ているのかと思い部屋を一周ぐるりと回ると壁の方が冷たくなっていることに気が付いた。とはいえ、壁だ、エアコンなどついていないごく普通の壁から何故冷気が出ているのか不思議に思う。そしてどこが一番寒いか壁に沿って歩くと、あの黒い大きな箱だと気が付いた。仏壇から冷気が出ていると考えると不気味すぎるが、当時の歳ではアレがなんだかよく分からないが冷たい風の出る箱だと思ってしまった。


 幼いながらにそれがエアコンか何かなのだろうと思いその部屋で寝た。そして夢を見る。


 夢の中には髭をしっかり蓄えた恰幅の言い老人が出てきた。何か立派そうな服を着ていたが、後からそれが軍服だと知る。


 そのおじいさんに話しかけると、『ワシは隣の爺さんが好かん、場所を変えてくれるよう言ってくれ』と言われた。意味がよく分からなかったので、山口さんは聞いたままを母親に話した。


 すると子供が見た夢の話だというのに至極真剣に母は話を聞いてくれる。その人が誰かも分からないのだが『おじいちゃんがそう言ったの?』と確認してくる。そうか、アレはおじいちゃんだったのかと思ったので頷くと母は父を呼んで、大急ぎであの冷たい風の出ていた箱を動かした。それからは謎の冷気は出てこなくなったので何が原因だったかは分からないが、あの老人が冷やすのをやめたのだろうと思ったそうだ。


 そして小学生になって隣の家の子供も小学生になった頃、友達になって隣のその子の家に呼ばれた。そこでお邪魔すると、なんだかえらそうな服を着た老人の写真が自分の家の方に飾ってあり、服からあの人もおじいさんの知り合いだったのかなと思った。


 結局、そのまま理由も分からないまま普通に暮らし続けたのだが、かなり後になって夢に出てきた老人が母の祖父で、その人は旧海軍のそれなりに偉い人だと聞くことになり、隣の家の写真に写っている老人は旧陸軍のそれなりに偉い人だと聞く。


 旧日本軍で陸軍と海軍の中が悪かったと知ったのはまだまだ後のことになる。


「いやあ、知らないってすごいですね」


 山口さんは笑って話してくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ