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怪奇箱  作者: にとろ


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夢の中の化け物

 藍那さんはネットでスピリチュアルなグッズを買うのにはまっていた。彼女によると、リアル店舗だといろいろとおすすめされたりして目移りするので邪魔の入らないネットでじっくり探しのが楽しいそうだ。


 ある日、ドリームキャッチャーという、海外で悪夢から身を守ってくれる事で有名な民芸品を手に入れた。海外からなのでそれなりの金額がかかる、何しろ日本は島国なので輸入には空輸か海運をつかうことになる。民芸品なのでリチウムイオン電池のように空輸に制限はかかっていないが、そのために空輸を選んだので送料も結構なものになった。


 実は、最近寝付きの悪さと寝覚めの悪さに困っていたので前々から買おうと思っていたこれを思わず買ってしまったわけだ。それから首を長くして待っていると、数日後に届いた。海外通販は届かないことも多いのでこの早さで届いたことに軽く感動しつつ中を開けてみた。


 そこには植物で編まれた蜘蛛の巣状のネットが入っており、早速枕元に吊してその晩ベッドに入ったのだが、珍しく寝入りが良かった。ベッドに入ってから寝るまでの記憶は無いのだが、夢ははっきり覚えていた。


 夢の中で彼女は餓鬼のようなげっそり痩せこけて手足は枝のようなのだが、栄養失調特有のお腹だけがぽっこり膨らんだ魔物に追われていた。相手の足は遅いのにいくらこちらが全力で逃げても何故か距離が離れない。結局、夜の間中、夢の中で走り続けてようやく目が覚めたときには汗だくだった。疲労感はあるのだが、アレが夢であったことは確かだ。ただ、どうやって逃げたのかは不明である。


 枕元のドリームキャッチャーを見ると、僅かに黄色い結晶が付着していた。そこで、まさかとは思ったのだが嫌な予感がよぎってしまう。黄色い結晶が硫黄なのではないかという考えだ。硫黄は悪魔のようなものが残していくものとして知られている。黄色い結晶からどうしてもそんな嫌な予感が頭から離れない。


 捨てようかと思ったものの、ドリームキャッチャーが悪魔を捕らえたからあの程度で済んだのではないかという考えもある。どうしても捨てる踏ん切りが付かないまま出社した。


 そこで同僚に『どうしたんですか? なんていうか……今日はすらっとしているような』と言われた。げっそりしているとやんわり言っているのだろう。確かに一晩中走り続けるという重労働をしたので結構な疲労感はある。しかし夢の中での運動のはずだ、実際に運動ができているとも思えない。


 そこでふと思った、そう言えば自分は寝付きが悪くなったころからフィットネストラッカーを付けている。睡眠時間を計るために付けていたが、よく考えてみると運動量を計測するものだ。


 昼休みにこっそり専用アプリを開いてトラッカーの情報を更新してみた。すると真夜中の、明らかに就寝中の時間に屋外ランニングが記録されていた。せめて屋内ランニングなら部屋の中で走ったと誤認したとも言えるのだが、そのトラッカーにはGPSが付いているのでランニングの地図を表示できる。


 走った記録を見ると寺や神社を回っていることになっていた。昨日の夜寝ていたことは明らかなのでどう考えてもこの記録はおかしい。さすがに不気味になったので申し訳ないと思いつつお寺に処分をお願いに行った。


 すると住職が出てきて『ご苦労さん』と言ってきた。こちらはまだ来たばかりだというのに何故そんな知った風なことを言うのだろう?


 その考えを見透かすように住職は言った。『あんた、昨日迷っている餓鬼をたっぷり連れてきたんだよ。まあ覚えてないのかもしれんがね』と言われた。


 それからドリームキャッチャーは供養してもらい、それ以降は安眠できるようになったのだが、出所のはっきりしないスピリチュアルグッズを集めるのはさすがに懲りたのだそうだ。

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