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怪奇箱  作者: にとろ


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サイン入りゲーム

 レイコさんはレトロゲームを集め、プレイするのが趣味だ。最近では配信をするのに集めている人も居るが、彼女は純粋に昔を懐かしむ意味で集めていた。


 中でもとりわけカセット式のゲームソフトを集めるのを楽しみにしていた。彼女曰く『CDの時代になってくるとどうしようも無いバグがないのでつまらない』だそうだ。荒削りのままリリースされているバランス調整のいい加減なゲームが好きなのだと言って憚らない。


 その日、電気街でレトロゲームを買って帰っている時、一見の新しい店が目に入った。路地を少し入ったところにあったので気づかなかったのだろうが、よくこんな目立たないところで商売しようと思ったなという立地の悪さだった。


 狭い道を少し入ってその店舗に入る。中にはレトロゲームが山ほどあった。めぼしいものが無いか探したのだが、特になかった。しかし、梵字のようなものが書かれているゲームソフトを見つけた。子供が名前を入れたゲームソフトはよく見るが、梵字が書かれたものはそう無い。


 そこでその一本を買って家路についた。ゲーム自体は百円と安いものだ、初期の独自チップなどを載せていないゲームだから安いのだろうと思った。


 帰宅して早速買ってきたゲームをプレイしていた。はっきり言って大半がクソゲーなのだが、クソゲーはクソゲーなりに見るところがあると言うのが彼女の意見だ。カセット時代のゲームには突拍子もないバグがあって、それに遭遇すると笑えてしまうと言う。


 一通りプレイしてから袋の中身を収納ケースに入れてふと気が付いた。新しい店のヤツはまだプレイしていなかったなと思いだした。


 梵字に惹かれて思わず買ってしまったが、プレイしたことのあるゲームなので目新しさはない。しかし、ゲーマーとしては一応さわりをプレイしておきたいと思った。一周くらいするのがゲーマーとしての礼儀のように思える。


 ゲーム機にカセットを挿して電源を入れると、バチンとブレーカーが落ちた。どこかでゲーム機がショートしたのだろうかとも思ったが、それにしてもACアダプタで駆動しているものが、本体不具合でブレーカーまで落ちるだろうか?


 そんなことを考えても仕方ないのでブレーカーを見に行くとゲーム機のある部屋の部分が確かに落ちていたのでそれをあげてゲームを再び起動した。そこでいきなりセーブデータが消えた時のおどろおどろしい音がした。まあこの時代のゲームでいきなり電源が切れたらそうなると納得してそのままプレイを進めていった。


 有名アクションゲームなのだが、幾度もプレイしていたのでサクサクとクラスボスまでいってサクッと倒した。そしてエンディングを見てタイトル画面に戻ってきた。そこでふと気が付いたのだが、よく考えるとこのゲーム機でも初期のもので、そもそもアクションゲームなのでセーブをする要素は一切無い。ではさっき鳴った不気味な音は何だったのか? 気味が悪くなってカセットを引き抜くと、梵字の部分に僅かな焦げがあった。


 一晩金属の箱に入れて屋外に置いておき、翌日見ても火が出ている様子は無かったのでそれはそっとコレクションに加えられたのだそうだ。


 私は『怖くないんですか?』と尋ねると、彼女は笑って『そう言うことがあるから集めているんですよ。光学ディスクに人の怨念みたいなものは似合わないでしょう?』と言っていた。まだまだレトロゲームを集める事を辞めるつもりは無いと言う。

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