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怪奇箱  作者: にとろ


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母親っぽい

 大田さんは以前説明のつかないことに遭遇したそうだ。その事について伺った。


「別に回答があるわけじゃないんですけど、気味の悪い話ですよ」


 そう前置きをしてから彼は話し出した。


 あれは……まだ小学生だった頃ですねえ……学校から帰ってきて家の玄関に鍵を突っ込んで開けたんです。それから宿題を後回しにして遊びに行こうとしたところで声をかけられました。


『おやつがあるから手を洗ってきなさい』


 お袋の声が聞こえてきたから無視しようかと思ったんだがなあ……甘いものに飢えてたんだわ。で、洗面所に行って手を洗ってからキッチンに行ったんだ。そしたらテーブルの上にショートケーキがあってな……当時はなんか特別なことでも無いと食えないものだったから喜んでさ……食べようとしたところで『慌てない』とお袋が言ってジュースを一杯置いたんだ。大盤振る舞いだなと思いながらオレンジジュースを飲んでケーキを口に運んだんだ。


 いやあ美味かったね、小学生にとっては貴重なものだからな。今じゃ血糖値がどうこうで止められてるが、当時は平気でバクバク食えたんだよ。ケーキの最後のイチゴを食べた後でジュースを飲み干して遊びに行こうとした時、向にお袋が座ってたんだ。ニコニコ楽しそうな顔をしてたよ。


 そこでふと気が付いたんだよ。ウチって両親が共働きだったんだわ。鍵を開けて帰ったんだから目の前の誰かも多分鍵を持ってるんだろ? オフクロの偽物と思うと怖くなってさ、遊びに行くからといって逃げようとしたんだが、体が動かないんだよ。


 焦って手足に力を入れたんだが、どうやってもお行儀よく座った姿勢を変えられないんだ。そんなことをして居る間に視界が暗くなってな、気が付いたらベッドに寝かされてたよ。


 俺が目を覚ますとオヤジもオフクロも『よかったよかった』って涙目で言うんだよ。どうもキッチンで倒れていた俺を見つけてベッドに運んだんだがなかなか意識を取り戻さないので心配してたらしんだよ。


 まあそれ以降偽物のオフクロなんて見てないから大した話じゃないんだがな、おかしいだろ? 普通子供が意識を失って倒れてんのに救急車どころか病院にも行かずただ寝かせて置いたんだぜ?


 まあそんな気持ちの悪いことがあったせいかな、どうもあの実家に帰る気がしねーんだ。大学も県外に出るために必死に勉強したし、出来ることならあの得体の知れないものと、歯切れの悪い思い出には関わりたいとは思わんよ。


 つまんない話だったろ? 別に幽霊なんて信じちゃいないが、どうにもアレからオフクロが怖くなったんだよ。


 彼の話は以上になる。正体不明な何かに出会ったと言うことだが、その正体は未だ不明だ。読者諸氏はドッペルゲンガーを思い浮かべたかもしれないが、彼によると母親は未だにピンピンしているので違うと思っているそうだ。

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