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怪奇箱  作者: にとろ


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勘の良い犬は好きだよ

 小原さんはチロという犬を飼っている。まだ産まれたばかりの小さい頃に買って両親とともに熱心に世話をしていた。彼女が小学生に上がりたてくらいの頃の話だ。


 その日もいつも通りチロの散歩をしようと、セット一式を持って玄関に向かった。チロを呼ぶのだがいつもの様に飛んでこない。いつもだったら喜んで来るのになと不思議に思いながらチロのケージまで見に行った。いつもは元気に開いているケージから出て、トイレ以外は部屋をパタパタ走り回ったりしているのに、その日は何故かケージの中で丸くなっていた。


『どうしたの? いくよ?』


 そう声をかけたのだが、微動だにしない。まるで死んでしまっているようだったが、しっかりと瞬きはしているし、体調の悪そうな感じはしない。そこでハーネスをつければ行く気になるかと思い、体に通そうとしたのだが、踏ん張ってどうしても上手くつけられない。仕方ないので抱き上げて半ば無理矢理ハーネスをつけた。


 それから散歩に行こうと引いたのだが、一歩も動かず踏ん張っている。こんなことは初めてだったので不安がよぎった。まさか何かの病気なのでは? そんな嫌な考えが頭をよぎった。そう考えてしまうといてもたってもいられず、ペット保険の一式を持ってチロを持ち上げた。何故かそのときには一切踏ん張ることがなく、スッと持ち上がってそのまま車に載った。


 少し車を走らせて、かかりつけの動物病院に着いた。下ろそうとしたのだが、ドアを開けた途端に元気良く飛び出してきた。とても病気には思えなかったのだが、普通に病院で検査をしてもらった。ただ、そのときには医師にどこが悪かったんですか? と聞かれるほどには元気にしていた。


 結局、何の異常もないということでそのまま帰されてしまった。帰りも車に簡単に乗って何事もなかったように家まで帰り着いた。食欲はあるだろうかと思ってその日は缶詰の食事を与えると、非常に嬉しそうにがっついていた。


 天気が悪いわけでも暑くも寒くもないというのにどうしてあんなに渋ったんだろうと思いながら、その日を終えた。


 翌日、会社から帰ると散歩に連れて行かないとと思いチロの名前を呼んだところ、すぐに足音と共に飛びついてきた。今度はハーネスをつけるのも嫌がらず、ごく自然に足を通してくれたので、昨日はなんだったんだろうと思いながら薄暗い道を歩いていった。


 途中、電信柱が一本根元から折れているのを見つけた。そこに注意書で、昨日の日付で自動車事故があり、車が柱に突っ込んだので仮固定をしているので触らないようにとなっていた。


 帰宅して噂好きの母親に話を聞くと、昨日の夕方車が電柱に突っ込んだのだという。その時間はちょうどチロを散歩に連れて行こうとしていた時間だった。


「犬って勘が良いんですねぇ……今でも命を救われたのだと信じています。それからチロには時々缶入りの少しお高いおやつをあげるようにしています。喜んでがっついてくれるので可愛いものだと思いますよ」


 そうして小原さんは笑った。今のところチロが踏ん張ることはないらしい。犬の勘に頼るのはどうなのかと思っているが、彼女は犬に特別な力があると信じているようだった。

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