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色気より食い気!上品ではなく粗暴!そんなシンデレラと王子様(婚活なう)は結婚できるのか!?

作者: カリフォルニアカリフラワー藻屑

 昔々あるところに、継母とその連れ子である姉二人(以下姉々)にいじめられていた女の子がいました。

 その子の名はシンデレラ。「灰被り」という意味の名前なのですが、彼女はこの名前を「私は灰をかぶると花が咲く木なのだ」と思い込んでわりと気に入ってたりしていました。ポジティブですね。



 ある日のこと。「お城で舞踏会が開催される」という話が国中に出回っていたので、継母と姉々は張り切って華美なドレスを選んでいました。三人は「たまにはシンデレラにもいい思いをさせてやろう(訳:引き立て役に連れて行こう)」と珍しくシンデレラ用のドレスも用意していたのですが、


「年増のドレス姿正直キツい」


 とシンデレラが口走ったため、やっぱり連れて行くのをやめました。



 舞踏会当日。シンデレラは継母姉々を見送ったあと、家の掃除を言いつかっていたにも関わらず、「たまにはいいだろう」と思ったのでしょう、自室でゴロゴロとサボタージュを敢行していました。いい度胸ですね。

 しかし、彼女も女の子。多少なりとも舞踏会に興味が無いわけでは無いわけで。


「行きたかったなあ。しかしドレスを持っていないしなあ」


 そうぼやくシンデレラ。すると、彼女の目の前に黒衣の魔法使いがボワッと登場します。


「そなたの願い、聞き入れて──」


 But、瞬時にそれを不法侵入者と認識したシンデレラ。魔法使いを手近なほうきでボコボコにしてしまいました。



「うん、ごめんね、ビックリしちゃったよね。突然現れた私も悪いね。でもいきなりボッコボコはないよね」


 えぐえぐと嗚咽を漏らしながら謝罪する魔法使い。なんとこのひと、シンデレラにボッコボコにされたはずですが、それでも彼女を助けてくれるらしいのです。お人好しすぎない? でもまあそこはセオリーということでひとつ。魔法使いは魔法の呪文を唱えました。


【ラブタカラブア~】


 すると、みるみるうちにシンデレラは灰に包まれました。そしてなんと、彼女の着ていたみすぼらしい服が、美しいドレスに変わっていったのです。まさに、木に咲く花の如く。

 しかしシンデレラは魔法の灰でめちゃくちゃ噎せていた為、自分の服装が変わっていることにしばらく気が付いてくれませんでした。魔法使いはそれを大変申し訳なく思い、自分でねずみとカボチャを用意すると、それらに魔法をかけ、カボチャの馬車にしました。

 準備を整えると、魔法使いは「午前零時には魔法が解けるので、その前には帰ってくるように」とシンデレラに警告しました。シンデレラはまだまだ噎せつつ了解すると、カボチャの馬車でお城へ向かいました。



 その頃。お城の広間は、煌びやかな舞踏会の真っ最中でした。高みの見物を決め込んでいるのは、この舞踏会の主催にして、この国の王子です。

 実は彼、この舞踏会を自分の婚活の場にしようと目論んでいたのです。が、なかなか好みの女が見つからず、ちょっぴりがっかりしていました。

 そこへ現れたのが、美しいドレスを身に纏ったシンデレラ。王子は一目で彼女を気に入り、すかさずダンスを申し込んだのですが。


「これ食べてからでいいですか」


 色気より食い気なはらぺこシンデレラは、この国の王子よりもご馳走を選びました。

 しかしここで決めないと後がないと思ったのでしょう、なんと王子はシンデレラがご馳走を食べ終わるのを律儀に待っていてくれるのでした。そんなことある?



 ──とまあ、そんなこんなでまもなく12時。シンデレラは帰らなければマズイ時間になりました。しかし、婚活に必死な王子はなかなかシンデレラを離してくれません。


「しつこい男は嫌われるわよ」


 そう言い放ったシンデレラ、王子相手に緊急回避を使うと、お城の出口へ一目散。履いているガラスの靴のこれまた走りにくいこと。そのせいで彼女は階段で転びかけました。

 その拍子に靴のかたっぽが脱げ落ちてしまいましたが、そんなこたあどうでもいい。継母姉々より早く家に帰らないときっとうるさいだろうなあ、と思いながら彼女は家まで全力疾走、なんとか誰も居ない内に帰宅することに成功しました。



 さて、シンデレラが落としたガラスの靴。王子はそれを手がかりに、国をあげて「舞踏会の彼女」を捜しはじめました。どんだけ結婚したいんだこの王子。

 王子は国中の娘たちにガラスの靴を履かせてみましたが、ニアピンは出るものの、なかなかピッタリ合うものは現れません。そしてついにこの国に住まう娘の家は、シンデレラの家で最後となりました。王子ですか? 可哀想なくらい焦燥してます。

 姉々がガラスの靴を履いてみましたが、やはり二人の足にガラスの靴は合いませんでした。王子の婚活はここで終わってしまうのか、と思われたその時、


「履いてみていいっすか」


 シンデレラが靴を履きました。するとなんと隙間なくピッタリ。王子はやっと「舞踏会の彼女」が見つかったと大喜び。それはもう飛んで跳ねる勢いで。

 さっそくシンデレラをお妃にと求婚した王子ですが、なんとシンデレラ、それを真っ向から拒否しました。


「いきなり結婚は嫌なので、お友達からはじめましょう」


 こうしてシンデレラは王子とお友達になりました。二人は無事結婚できるのでしょうか。

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