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第1章 第3話 拷問

「どうだった?」



 朝食から1時間ほど待ち拷問室に行くと、さっき俺を襲って腹に銃弾を受けた男が簡素な木の台に乗せられていた。全裸にされた男の腹には包帯が巻かれているが、その近くにはピンセットやペンチなども置かれている。これで傷口を弄られたらどんな屈強な精神をしていても全てゲロってしまうだろう。なのでその成果をこれを行った人物。華に訊ねる。



「失神しちゃってあんまりです。もう少し時間をいただけますでしょうか」



 メイド服の白い生地に赤を染みつけた華がそう笑う。



「無理にとは言わないけどなるべく死なせるなよ。後処理面倒だから」

「大丈夫ですよ、内臓は無事でしたから。多少過激なことをしても問題ありません」



 元々華は医者になるために幼少期から勉強をしていたらしい。その判断に間違いはないだろう。



「それならいいや。それに最悪死なせちゃってもいいよ。代わりはいっぱいいるだろうし」

「いいえ! この男は若様だけを狙っていました。それが向こうの目的なら、若様を守るために情報の聴取は必須です。殺してでも聞き出しますよ」



 やっぱりそう思うよなぁ……。追い出した過激派の連中は間違いなく俺を殺そうとしている。別にそれはいい。俺だけが殺されるなら返り討ちにすればいいだけだが……俺の傍にいる人たちが狙われたら……。



「華、そろそろ翔子が高校に入学することは知ってるな?」

「はい。そのために同い年の初芝さんが付き人になったんでしたよね?」


「決めたのは組長だから何とも言えないけど、ほぼ間違いなくな。あいつは小学校も中学校もまともに通っていなかった。ヤクザの娘として周りに迷惑をかけるのを恐れていたからだ。敵対組織じゃない。うちの連中の迷惑だ」

「そうですね……華みたいな下っ端が言うのはなんですが、ちょっと前まではかなり乱暴な組織でしたからね……」


「それがようやく……ようやくだ。この組を変えることで、普通の生活ができるようになった。組を大きく変えるんだ。殺されるリスクだってあった。それでも実行したのは、それほどまでに普通の生活に憧れていたからだ。絶対にその夢を壊したくない」

「そうですね……華もその点は理解しています」


「華、翔子と同じで俺の一個下だよな?」

「お断りします」



 俺が言わんとしていたことを理解した華はそうきっぱりと断った。だが俺だって譲れない。



「翔子と同じ学校に入って翔子を守れ。もしかしたら翔子にまで危害が及ぶかもしれない」

「ですが華は若様の……」


「命令だ。翔子と同じ学校に入れ」

「嫌です。華は若様の付き人です」



 はぁ……。そう強い口調で、強い眼差しで言われたら困る。



「忘れたか? お前は俺が購入した、俺の所有物だ」

「んぁぁっ」



 華の口に指を突っ込み、舌を強く掴む。本当に困る。立場上そう反抗されたら、わからせるしかないじゃないか。



「俺は基本的にお前の自由を認めている。でも命令って言ったら絶対服従。そう教えたよな?」

「ひょめ……っ、ひょめんなひゃい……っ」


「駄目だ、お仕置きな」

「ひゃ……ひゃい……っ」



 突然のことに驚き怯えていた華の瞳が何か期待を孕んだものに変わっていく。これだから困るんだよな。華は俺のことを好きすぎる。



「お前は親の借金のかたにされた。品行方正で優秀な中学生だったのにヤクザに売られて人生をダメニされた。本当に不公平だよな」

「ふぁ……ぁぁ……っ」


「俺はその不公平を許さない。お前には意地でも幸せになってもらう。だから高校に入って大学を出て医者になれ。それで好きな男でも見つけて結婚して家庭を築け。俺のいないところでな」

「ひゃ……ひゃなは……」


「お前の意見は聞いてない。命令だ」

「ひゃ……ゃです……」



 舌を撫でられ荒い息と唾液をこぼす華だが、どうしても俺の言うことは聞いてくれないらしい。本当に困ったな……少し乱暴なことをした方がいいのだろうか。



「お前には翔子と幸せになってもらわないと困るんだよ。どうしても聞いてくれないって言うのなら……」

「なに特殊なプレイしてるわけ?」



 拷問室の扉が音を立てて開かれ、腕を組んだ翔子があらぬ疑いをかけながら現れる。これもこれで困った。



「翔子、お前はこれから普通の人生を送るんだ。こんな部屋に入ってきたら……!?」

「忘れたの? あんたも私が買った私の所有物なんだけど」



 振り返った俺の口に、今度は翔子が指を突っ込んで舌を摘まんでくる。……これ、やられると中々屈辱的だな……。



「私の心配をしてくれるのは結構だけど、あんたにその権限はない。私が心配ならあんたも私と同じ高校に入りなさい。高1で中退してるからまた高1からだろうけど文句ないわよね?」

「へも……俺がいたら……」


「私は普通の人生を送るためにあんたと協力してこの組を変えた。でも私の人生にあんたがいないなんてありえない。あんたと一緒に死ぬって決めたから協力したの。これは命令よ。私と同じ高校に入りなさい」

「だから……俺は……」



 翔子の指が俺の舌を離す。そして汚れたまま、俺に手を差し出した。



「私が入学する高校はあんたが元通っていたところよ。つまりあんたの一個下の双子も入学するし、あんたをいじめってたっていう同級生たちもいる。……次はあんたの番じゃないの? 私たちの幸せを阻んでいた奴らに復讐する番は」



 ……本当にこいつは、ヤクザの娘だな。怖すぎるし、かっこよすぎる。



「……そうだな。悪いけど、助けてくれ」

「しょうがないから助けてあげる。なんせ私はあんたのご主人様なんだから」



 翔子の手を取り、俺の復讐が始まった。

都合により現在を1話から1年後→半年後にしました。高校入学の関係でです。見切り発車で申し訳ありません。そして次回からは物語本番です! どうぞお楽しみに!


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― 新着の感想 ―
[一言] もう少しヤクザモノの作品とか研究してから書かない?そんな手間掛けてらんないか…。別にリアリティなんか誰も求めて無いもんなぁ。
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