買うもの
300文SS。
悲鳴のような声に驚いた。床に転がり泣き喚く子供がいる。親は見るからに不機嫌そうだ。
「もう行くよ! どうせ飽きたらすぐポイでしょ!?」
じないぃぃぃ、と泣き喚く子供を彼女は強引に抱え上げた。子供はのけぞって暴れる。
「アハハ、懐かしい。どこの子も同じねえ」
隣にいた母がケラケラ笑った。
「買ってやればいいのに。飽きるまでは遊ぶんでしょ」
「甘い甘い」
母はなぜか得意げに否定する。
「あれはねえ、家に着いたらポイよポイ。でもいいの。だって、一時のご機嫌を買うんだからね?」
そういうものかあ。妙な納得を覚えて、わたしはお腹を見下ろした。
何ヶ月後、それとも何年後かな。どうぞお手柔らかにお願いね。